通過率30%の補助金申請に成功し、売上10倍になった秘訣とは?【起業家インタビュー】

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

福島美穂さん

商工会議所による「小規模事業者持続化補助金」事業は、新型コロナウイルスによる経営環境悪化に向けた「コロナ特別対応型」でも知られますが、もともとは2013年に従業員数の少ない会社や個人事業主への支援制度として始まったもの。最大50万円・補助率2/3の補助金がもらえますが、採択率は3割という狭き門です。

今回は、じっさいにこの補助金を申請して、売上増をかなえた事業主と、そのサポーターであるアドバイザーのお2人に、難関である補助金の獲得に成功した理由と、売上増にどう活かしたのかを伺います。

今回インタビューしたのは・・・

高岡 博美さん

漢方養生サロン たか・りら代表

セラピスト専門学校を卒業後、大手サロン勤務を経て、2010年にリラクゼーションサロン「たか・りら」 をオープン。自身の婦人科系疾患の経験をふまえ、漢方の知恵を取り入れながら、女性の元気とキレイを応援するべくサロン運営に励む。

ドリームゲートアドバイザー 福島 美穂さん

株式会社マイクリエイト代表取締役/中小企業診断士。

「融資・補助金活用」や「女性客集客」で多くの実績や再現性の高い知識ノウハウを保有し、女性起業家の支援を中心に活躍する福島アドバイザー。経営や集客上のあらゆる課題の支援に定評があり、多くの女性から絶大な支持を誇ります。

 

10周年を前に売上が伸び悩み、自己流経営の限界を痛感

―個人事業主として、手技を用いて心身の緊張を弛緩させるための施術を行うリラクゼーションサロンを営まれる高岡博美さんですが、以前の経営状況を教えてください。

高岡:この業界では、就職したサロンでの勤務を経て独立する人が多く、私もそうでした。リラクゼーションサロンは、美容院やエステのような大きな設備投資がいらず、自宅の一角でも行えるため、個人でも開業しやすいのです。ですが、そのために数が多く、コンビニエンスストアの2倍の店舗があるとも。競合がひしめくため、10年継続できる事業者はわずか5%といわれます。

私自身は、都内にあるビル内で2010年1月に開業し、この2020年に10周年を迎えました。常連で定期的に通ってくださる固定客はついていましたが、新規のお客様が増えず、売上も伸び悩んでいたのです。

―売上の伸びない原因は、何だったのでしょうか。

高岡:地域や立地柄から、目立つ看板やちらしでの呼び込みができないことでした。ブログやサイトは開業当初からつくって運用はしていましたが、まったくの自己流で、そこから新たなお客様が入ってこられる流れもできていなかったのです。

それで、自己流の経営では限界だと感じ、コンサルタントを探し始めました。いまから2~3年前のことです。「女性サロン、経営」などのワードで検索して福島さんを見つけ、まずはメルマガ登録をしました。そして、興味のもてるテーマで主催されていたセミナーに参加したところ、目線が近く、スタンスがとても気に入ったのです。

―目線が近いとは、どういうことですか。

高岡:いかにもコンサルタントといった方からは一方的に教え諭すような、上から目線での接し方をされることが少なくありません。逆に、難しいことは分からないだろうといった感じで、ものすごく下手に出られてしまうこともあるものです。

福島さんには、それがなかったんですね。単に女性同士だからというだけではなく、頼れるお姉さん的な人柄や、ご自分でも起業経験があって、女性の個人事業主の気持ちをよく分かってくれているのが良かったのでしょう。

もっと福島さんからアドバイスをもらいたいと思い、会員となって月1回オンライン会議で、テーマごとに経営のことを勉強するようになりました。その場では福島さんからの話を聞くだけでなく、参加者全員が一人ずつ発言するコーナーもあるので、自分の問題や疑問の解決にちゃんと役立てられました。さらに細かい相談には、Facebookやメールでフォローしてもらえたのも良かったですね。

新規顧客獲得と新たな収入の柱づくりをテーマとし、申請にチャレンジ

―そうして、「小規模事業者持続化補助金」に挑戦されることになるのですね。

高岡:きっかけは、福島さんからいろいろと情報を得るなかで、その存在を知ったことでした。それでも当初は「小規模事業者=会社」だろうと思い、他人事でしたが、実は私のような個人事業主にも使えるものだと分かり、ムクムクと興味がわいたのです。

それで福島さんに相談したところ、その場で申請書類を作成する「書き方講座」を紹介され、受講してみました。私のようなサロン以外にも、さまざまな業種の個人事業主が参加していましたが、福島さんが会場をまわってマンツーマンでの指導もしてくれたので、自分のサロンの状態を書類に落としこむことができました。それで自信がつき、補助金申請にトライしようと決めたのです。

―申請はどのように行っていったのですか。

高岡:サロンの経営改善ポイントとなる、私の強みに気づかせてもらい、申請のカギとしました。福島さん自身、3回の受給実績があり、役所とのやり取りにも慣れているので、そうしたニュアンスを含め、アドバイスがもらえました。また、こちらの思いを引き出し、上手くまとめてくれるので、相談を通じて自分でも整理ができたのも収穫でしたね。

―そうして見つけた強み、経営の改善ポイントは、どのようなものでしたか。

高岡:まず新規顧客獲得のため、見込み客に訴求できる分野に絞って「女性の生理の不調改善サロンに特化」することにしました。あまたある競合サロンに埋もれてしまわないよう、差別化を図り、強みとなる自分らしさを際立たせるためです。

もう一つは、福島さんからのアドバイスとして、手技を用いて心身の緊張を弛緩させるための施術以外に、柱となる収入源をつくることを勧められたため、「薬膳茶の物販を本格化」することを方針としました。私はもともと漢方に心酔し、勉強してオリジナルのお茶をサロンで扱っていたので、それをぜひ自分らしく、しっかりと展開してみたいと思ったのです。

―その2つを改善ポイントとして、申請に必要な事業計画をつくっていったのですね。

高岡:そうですね。特化したサロンの特徴をアピールするための、サイトリニューアルやリーフレット作成と、物販の商品となる新しい薬膳茶の開発・販促を核として、必要な資金を算出し、事業計画書を作成しました。その結果、採択率3割の難関を突破して、補助金の獲得に成功したのです。

単なる補助金申請のノウハウを教えてもらうだけでなく、事業の「強み」を見出し、収益の柱を計画できたことで採択率の低い補助金申請に成功した高岡さん。その補助金をつかって経営改善をはかった結果はどうだったのでしょうか。

経営に関するモヤモヤが、他の人の目線のおかげでスッキリと

―実際の成果について、教えてください。

高岡:薬膳茶が新たな収益の柱になり、1~3月期で前年同期比売上が10倍となりました。計画値から200~300%アップでしたので、予想をはるかに超えた大成功ですね。

商品を案内するリーフレットとディスプレイ棚で、来店のお客様への認知度が上がったのが、成功のカギでした。施術を受けるお客様の9割が薬膳茶を購入され、7割がリピートされているのです。また、自分用に購入されるのに加え、ご家族・友人用にも買われていくのが、売上の伸びに大きく貢献しています。

―福島さんのアドバイスを振り返ってみて、いかがですか。

高岡:福島さんから強く言われたのは、「一貫性をもたせる」ということでした。その教えを受けて、ブログもリーフレットも漢方への思いを込めたのが、お客様にうまく伝わっているのではと分析しています。

また、福島さんはこちらの気持ちに寄り添ってくれ、しかも発想力が豊かなんです。いろいろ考えていくなかで、私が何げなく発した言葉も拾い上げ、アイデアを広げてもらえました。

―経営を見直す環境としては、どうだったでしょうか。

高岡:セミナーなど通じ、他業界の人の意見から気づきを得られたのが良かったですね。同業者であるサロンの仲間内ではあたりまえなことも、一般には意外に知られていないもの。例えば「よもぎ蒸し」。同業者では誰もが知っているサービスなのですが、他業者の中には、そもそも存在自体知らない人がいると気づかされました。自分のサロンのサービス内容を丁寧にアピールするだけでも、強みになると感じました。

また、IT系の経営者からは「最近のLINEの機能では、こんなこともできる」などと、サービス提供に役立つヒントを教えてもらえたこともありました。私も含めサロン業界の人はITに長けた人が少ないので、同業者だけの会話では知りえなかったと思います。このように業界外の方と交流するためにも、セミナー参加は役立つと思います。

―最後に、高岡さんと同じ個人事業主の方へメッセージをお願いします。

高岡:「小規模事業者持続化補助金」に挑戦して良かったのは、まず補助金申請に向けての準備時点で、経営改善に手応えを感じられたことです。申請自体が、経営を見直すよいきっかけになりました。

また、福島さんを通じて、自分だけ、周りの同業者だけでは出てこない考えや発想、刺激をもらえたと感謝しています。目線が合う福島さんに相談をすることで、自己流の経営でモヤモヤしていた状態から突破口が開け、10周年を明るく迎えることができました。次の10年に向け、またアドバイスをもらいながら、経営をブラッシュアップさせていきたいですね。

同じようなモヤモヤを感じている個人事業主の方も、ぜひ肌の合う、頼れる存在を探してみてはいかがでしょうか。

採択率3割でも、補助金が獲得できたワケとは

―ここからは、コンサルタントの福島美穂さんに伺います。高岡さんが、採択率3割という難関の「小規模事業者持続化補助金」の獲得に成功できたポイントは、何でしょうか。

福島:3つあると思っています。アドバイスや意見を「否定せず素直に」受け止め、それを「臆せず行動」に移し、結果を「必ず検証」されたことですね。ご自身の性格や姿勢によるものですが、それでPDCAを進めることができたのが大きかったと思います。ぜひ参考にしていただきたいですね。

―個人事業主の方にとって、コンサルティングを受けるメリットを教えてください。

福島:客観的な目線でアドバイスを受けられ、未来への一歩が踏み出せることだと考えています。日々の小さな改善への気づきは同業者からも得られますが、未来につながる大きな一歩となる発想は、業界外の別の目線だからこそ得られるものです。私が主催するオンライン勉強会では全員が発言できる時間があり、他業種からの目線に気づく機会としていただけるでしょう。

もちろん、コンサルタントからも客観的な目線でアドバイスが得られるわけで、そうした気づきの積み重ねが、実際の行動につながるのだと思います。

―福島さんがコンサルタントとして、アドバイスする際に心がけていることはありますか?

福島:「一歩先の未来を示す」ことです。この改善の先にどうなるか、を合わせて伝えることで、未来が想像できるもの。そうして感じるワクワクがモチベーションとなり、行動の原動力となります。

起業というのは「取捨選択する力が問われる働き方」です。上司がいるわけでも、上から示された経営方針があるわけでもなく、自分自身で常に選択をしていかねばならないのですね。そのなかでは、つらい・苦しいことをがんばるよりも、楽しく取り組めるほうが成功につながるもの。私自身の経営経験や、コンサルタントとして延べ4000人以上の個人事業主会員を見守ってきた経験から、そう実感しています。

コンサルタントのアドバイスを受けるということは、ひとりで経営していては気づかないことに目を向ける機会にもなり、ワクワクする「未来」を想像することができる。それを素直に事業に活かす姿勢が大事なのですね。

資金獲得に加え、経営の実践的学びになるというメリットも

―高岡さんも、楽しく「小規模事業者持続化補助金」の申請に取り組めたようでしたね。あらためて、個人事業主にとっての、この補助金のメリットを教えてください。

福島:3点に整理できると思います。

  • 自己負担金が1/3で済むので、トライしたい一歩を踏み出しやすいこと
  • やりたいことを明確化して、注力できること
  • 申請することで、事業を見直す時間や機会が得られること

ですね。ただし、2点目について、補助金ありきになって何にでもお金を使うのはNGです。経営改善に必要なことにのみ、集中すべきですね。

そのほか、副次的なメリットとしても、

  • 事業の振り返りにより、新たなアイデアが生まれるきっかけになること
  • 計画書の作成過程で、キーワードが明確化・洗練化し、ターゲット層に届きやすくなること
  • 8割が男性で年配の方が多い、中小企業診断士による審査を通ることで、社会においても理解者が増え、経営者としての自信になること

などが考えられます。じっさい、経営計画が明確になることで、金融機関から融資を受けやすくなった例もあります。

また、この補助金は毎年採択される制度ですので、事業の成長に応じて何度か申請していくことで、経営者としてのステップアップにもつながるでしょう。

―単に資金調達の手段としてだけでなく、実際に事業を見直すことができ、経営者としての学びになるわけですね。「小規模事業者持続化補助金」の活用について、個人事業主の方へメッセージをお願いします。

福島:難しく考えずに、まず制度を知ることが大事です。その次のステップとして、自分に引き寄せて考えてみましょう。いま使わなくても、必要なときに思い出して役立てられればよい、くらいの考えでかまいません。

その上で自分のビジネスを見直せば、補助金によって可能性が広がります。サービス向上につながる機器の購入や、思いを発信するサイトの充実など、必要なことを予算にしばられずトライできるわけですね。

いまは新型コロナ対応で、個人事業主の方には特に手詰まり感のある時期となっていますが、時間のあるときだからこそ考えてみてはいかがでしょうか。こうした補助金は、私たちの税金が財源なので、遠慮せずトライし、うまく乗り切ってほしいと思います。

―とはいえ、事業計画の策定など、小難しそうだと二の足を踏む方も多そうです。

福島:皆さん、確定申告は毎年されているでしょう。それを見直すことが「事業計画策定」の第一歩です。ポイントとなるのは「顧客数・単価・リピート率」ですが、数字の見方はアドバイスするので大丈夫です。

どなたのビジネスにも強みはあるもので、気づけていないだけです。私はコンサルタントとして、それを引き出すお手伝いをさせていただきます。一歩先の未来をお伝えするので、一緒に考えていきましょう。ぜひ相談ください。

今回ご紹介した小規模事業者持続化補助金に限らず、事業を助ける制度はさまざまあります。それらを知り、うまく活用するサポートを受けられるのが、福島さんのような専門家を頼るメリットですね。「どなたのビジネスにも強みはある」という福島さんの言葉がとても心強いです。
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