Vol.7 会計ソフトで効率的に経営状況をチェック

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
6回にわたって、さまざまな角度から効率よく業務を進めるためのノウハウをご紹介してきました。そこで、今回は切り口を変えて、会計ソフトを使って実際にどう業務の効率化を実践し、経営に役立てているか、経営者の方にインタビューしてみました。大いに参考にしてください。

 

日本発のスニーカーブランドを立ち上げ

株式会社TORICO
 安藤拓郎さん

  日本発の個性的でファッショナブルなスニーカーブランドとして、今、若者の注目を集めている「TORICO」。創業者の安藤拓郎さんは、以前、外資系ソフ ト会社や総合商社に勤務していました。「もともとファッションに興味がありましたが、表参道などで売られているのは海外ブランドばかりなのに疑問を感じて いたんです。自分の履いている靴も海外モノでしたし(笑)。以前勤めていた商社で、海外の靴工場と仕事をした経験があったことを思い出し、ならば自分で手 がけてみようと思い立ったのです」と起業の経緯を語ります。
 
 創業直前からしばらくは、会社の立ち上げや商品のデザイン、工場とのやり とりなどやることが山のようにあって、なかなか社内の業務まで手がまわらなかったそうです。「会計や経理など、やらなくてはならないことはわかっているの ですが、忙しくて余裕がありませんでした。最低限必要な売上や経費などの管理は、しばらくの間エクセルで行っていました」。

 

効率的な業務を進めるためにソフトを活用

 起業家を対象にしたあるビジネスプランコンテストの存在を知り、応募したところ見事優勝を果たした安藤さん。そのコンテストはあるベンチャーキャピタル(VC)が主催しており、その縁で資金を提供してもらうことになりました。

「月 に1回、そのVCに経営状況を報告することになったのですが、エクセルでの管理では、報告に必要な財務諸表を別途作成しなければならなかったのです。エク セルでは、ただ単に数字を入力しておくだけで経営状態を把握するのにあまり役立たない、と実感しました。前々から会計ソフトの存在は知っていましたが、 VCの担当者からも勧められて導入することにしたのです」

 

作業時間が半減、分析資料をいつでもチェックするように

 

  実際に会計ソフトを使ってみると、入力時間はエクセルの時と同じでも、必要な書類をアウトプットする時間がかからなくなり、総じて作業時間を半減させるこ とができたそうです。以前から入力作業は毎日行っていましたが、エクセルの間は手間がかかるので、経営分析資料はVCに報告するタイミングの時だけ作成し て見ていました。今では手間がかからないので、気になった時にいつでもアウトプットして見るようにしているそうです。

「例えば、何かプロ モーションを仕掛けたい時とか、在庫を多めに持つ必要がある時に、財務状況にどれだけ余裕があるかをリアルな数字で把握しておきたいですよね。以前は『何 となく売れているから大丈夫だろう』といった感覚値で判断していました(笑)。でも、イメージと実際とにギャップがあったのです。ボンと売れた日がある と、すごく儲かっているように思ってしまうんですが、月にならすとそれほどでもない(笑)。それで恐い、と思ったんです」

 

決算作業も自分で乗り切る

  安藤さんは、VCへの報告時に会計ソフトからアウトプットした損益計算書や貸借対照表に基づいてさまざまなチェックを受けています。「何にいくら使っているの かが如実にわかるので、『この科目にこんなに必要?』などと細かく指摘されています。それが経営を見直すいい機会になっていますね」

 株式 会社TORICOは、2006年3月末、初めての決算を迎えました。「税理士に依頼せずに自力でやりました。やり方は税務署に電話して確認しましたが、大 した利益もなく、科目も複雑にはなりそうもなかったので、会計ソフトからの出力だけで対応できると判断したんです。途中でムリだとわかれば、その時点で頼 めば済むことですし」

 ただ、2007年度は新規事業が増え、経営の規模も広がっているので税理士に依頼する方針であるとのことです。今後の経営ビジョンについても聞いてみました。

 

財務諸表を経営のロードマップに

「や りたいことは10個あるのに、3個くらいしかできていません。事業の拡大に社内体制が追いついていないので、今はちょっとブレーキを踏んでいる感じです。 今アクセルをふかすと社員に負荷がかかりすぎてしまう。しかし、チャンスを逃したくはないので、マンパワーの増強や、社内でやる必要のない作業を外注化す るなどの手を打っているところです」

 資金的にも、VCに要請して増資を計画中。VCも経営状況を評価して合意しているそうです。「毎月、 財務状況を報告していますので健全性や可能性を認めてもらえています。状況がよく見えているので、VCとアクセルとブレーキの使い分けも共有できていま す。会計ソフトからアウトプットする財務諸表は、いわば経営のロードマップみたいなものですね」

 

経営状況を見ながらスピード調節が肝要

 最後に、これから起業を目指す人にアドバイスをお願いしました。
「自分の人生や周囲の人たちの生活がかかってくるわけですから、やると決めたら堅実に経営してほしいと思います。飛ばすだけではなく、経営状況を見ながらスピードを調節することも大切ではないでしょうか」 

 

会社概要

 

株式会社TORICO
事業内容/スニーカーの製造・販売
設立/2005年7月
資本金/1001万円
代表者/代表取締役 安藤拓郎
売上高/5000万円(2006年3月期)
従業員数/6人
所在地/東京都中野区
 

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