Vol.10 「リース」「レンタル」「購入」、どれがお得なの?

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
開 業すれば、机やキャビネットなどのオフィス家具や、コピー機、ファックスなどの事務機器をそろえる必要が生じます。それらの品を調達するには、「リース」が トクなのか、「レンタル」のほうがいいのか、いっそ買ってしまったほうがラクなのか、と悩む人もいることでしょう。結論を言えば、それぞれに一長一短があ り、さまざまな事情に応じて最適な手段を選択することになります。では、ここでそのことについて解説することにしましょう。

 

「リース」「レンタル」「購入」の定義

 
 まず、それぞれの定義について確認しておきましょう。

「リース」:狭義には「ファイナンス・リース」といい、「ノン・キャンセラブル」(※1)、「フルペイアウト」(※2)という2つの要件を満たす特殊な賃貸借契約のことをいいます。

※1ノン・キャンセラブル:中途解約不能の意味

※2フルペイアウト:リース対象物品の購入価額、金利、税金、保険料等の物品の取得に伴う諸費用の概ね全額を、リース料によって回収すること

 広義には下記のレンタルも含めて、一般的な賃貸借契約のことをいいます。ここでのリースは狭義のリース、すなわちファイナンス・リースを指すものとします。

「レンタル」:一 般的な意味での賃貸借契約です。レンタル会社が揃えた物品をユーザーが時間・日・月単位という短期間で賃借するしくみのことです。なお、オペレーティン グ・リースと呼ばれる取引形態も、レンタルと基本的に仕組みは変わりませんが、通常はレンタルよりも契約期間が長く(1年超となる場合が多い)、場合に よっては解約不能要件が付される場合もあります。多くのユーザーに繰り返し賃貸し、最終的には中古市場において物品の売却を想定しているため、汎用性が高 く、中古市場が発達している自動車や、パソコン等に物品が限定される傾向があります。

「購入」:一般的な意味での売買契約です。ユーザーが代金を支払って、物品を自分の所有物にすることです。

 次に、それぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。メリット・デメリットは、いくつかの角度から考えることができます。比較表も参照してください。

 

1)金利や事務コストがかかる・かからない

 リース料には、物品の代金、金利、固定資産税、保険料、事務手続き料などが含まれます。一括払いで現金で購入すれば金利や事務手続き料はかかりませんので、その分を節約することが可能です。

  一方、リースの場合、税金や保険料などの支払い手続きはリース会社が行うので、ユーザーにはこれらの手間がかからなくて済みます。レンタルも同様。購入す ると、購入に伴う代金支払事務、減価償却計算、固定資産台帳作成、償却資産税申告および納付、保険契約の締結および支払といった固定資産管理に伴うさまざまな事務 コストが発生します。

 ちなみに、固定資産管理機能がついている会計ソフトを使えば、上記のうち、減価償却計算、固定資産台帳作成、償却資産税申告および納付に伴う事務コストはかなり軽減されるでしょう。

 

2)資産にする・しない

 

  リースやレンタルにすれば、月々のリースもしくはレンタル料金を経費に計上するだけでよくなり、物品の取得価額を固定資産に計上しなくても済みます。一 方、購入すると固定資産に計上しなければなりません。そうすると、バランスシートがふくらみ、資本利益率が悪化してしまいます。

 資本利益率は、一定の資本の額でどれだけ利益を生み出しているかを見る重要指標。金融機関が融資をする際の審査に使いますし、また株式公開を目論む会社に対しては、ベンチャーキャピタルなどもチェックに活用します。

 つまり、一台の機械を使用するという実態は何も変わらなくても、リースやレンタルを選択すれば、少しでも資産を効率的に運用しているように見せることが可能なのです。

  ただし、国際会計基準や米国会計基準ではリースの場合でも資産に計上することになっており、日本も早晩、そのように会計基準が変更される可能性が濃厚で す。ユーザー側からすると、リースは「ノン・キャンセラブル」、「フルペイアウト」という2つの要件を満たす賃貸借契約であるため、通常、リース期間が終 了した時点で物品の取得に伴う諸費用はすべて支払い済みであり、再リース時は名目的な格安のリース料を支払うのみとなります。しかも、解約不能ということに なれば、これは実態として物品を「割賦購入」(※3)したのと変わらないと見ることができるため、会計上は資産計上するべきであるとの理屈になるわけで す。

 ※3割賦購入とは:月賦や年賦などで、商品代金の支払いを行うという契約が結ばれた物品購入方法のこと

 

3)物品を所有する・しない

  リースやレンタルは、契約期間が満了すれば物品をリース会社やレンタル会社に返却しなければなりません。リースの場合は2~6年程度と長期で、期間修了後 は再リースすれば済みますが、レンタルの場合は頻繁に再レンタルの手続きを行わなければなりません。購入の場合は、そういった手間は一切不要になります。

  また、物品を所有するということは、メンテナンスの手間やコストが発生するということです。レンタルならばその一切はレンタル会社が負いますが、リースの 場合は、所有権はリース会社にあっても、一般的に別途「メンテナンス契約」を交わす、つまりメンテナンス費用があらたに発生します。

 一方、物品を所有するということはそれ自体を借り入れの担保として金融機関に提供するということも可能です。

 

4)物品のライフサイクルを重視する・しない

 原則的に、物品をいったん購入するとクーリングオフは別にして、物品を返して代金を取り戻すことはできません。購入価格よりも相当安い金額で中古業者に売るか、廃棄する場合は、廃棄業者に処理を依頼する手間とコストがかかります。

 リースの場合、原則的に中途解約はできません。どうしても解約する場合は、割高な違約金を支払うことになります。レンタルの場合は中途解約可能で、レンタル料金は按分されて戻る場合が大半です。

  例えばIT系の企業など、パソコンなどライフサイクルが2年程度と短く、常に最先端のものを使わなければならないことがあります。パソコンの法定耐用年数 (償却年数)は4年と定められているので、購入すると償却し終わる前に入れ替えが発生することになり、不利益が発生します。リースの場合も中途解約せざる を得なくなりますが、通常リース期間は法定耐用年数よりも短く設定されますので、その点では購入の場合よりも有利といえます。また、レンタルならば中途解 約可能ですので「足かせ」は少ないといえるでしょう。逆に、ライフサイクルが長く、比較的長期的に利用する資産ならばリースや購入の方がトータルコストが 安くなるため有利でしょう。

 なお、2007年度の税制改正で、固定資産の減価償却が100%できるようになります。従来は95%までしか償却できませんでした。税務上のメリットという観点からは、この改正は購入の場合にプラスに働くということができます。

 

状況に応じて最適な選択を

  今まで、それぞれの視点からメリット・デメリットを見てきましたが、簡単にまとめると一般的には下記の表のようなことがいえるでしょう。案件となる機器類 などひとつずつについて、「リース」「レンタル」「購入」、それぞれの特徴を踏まえて、最適な選択を行うことが必要です。

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