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1年分の税額を確定し、その差額を精算
このファーストナビ「効率よく業務を進めるノウハウとは?」のVol.6でもふれたとおり、会社では、年に1度、「年末調整」というものが行われます。月 次の給与計算は税額などを「みなし」で計算して支払いますが、この年末調整で、年末に1年分の税額を確定し、その差額を精算するわけです。
また、この機会に出産などによる扶養親族の増減や住宅購入、生命保険加入などによるさまざまな控除の申請も行います。自営業者の「確定申告」の会社員版、といった位置づけです。
必要書類回収に手間

従業員から年末調整に必要な書類 (「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」、「保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書」、「住宅借入金(取得)等特別控除申告書」や、生 命保険の控除を証明する資料、住宅借入金の残高証明書など)を回収することも手間がかかります。これらがそろわないと、作業を進めることができません。ま た、回収しても、記入モレや記入の誤りがあったり、資料の添付モレがあったりと、そのチェックや再提出の連絡など何かと労力がかかります。
早め早めに動くのが一番
これをスムーズに行うには、早め早めに動くのが一番の対策。年末調整分の差額調整・支給は12月度の給与で行います。作業期間は1カ月半程度しかありませ ん。従業員数にもよりますが、10月になったら準備を始め、11月頭には従業員への案内を開始し、11月中下旬には回収するようにしたいもの。案内は、従 業員が何をすればいいか、書き方の説明をできるだけわかりやすく工夫することで、余計な手間を削減することができるでしょう。
なお、すでにご存じの方も多いと思いますが、平成17年度の税制改正で、社会保険料(国民年金保険料)控除証明書を添付する必要が生じました。創業間もなくの会社などで、国民年金を支払っていた従業員がいる場合は注意が必要です。
税制改正に要注意

このため、「年末調整のための所得税額の速算表」が平成19年度から変わっています。手作業で計算する場合、この表に照らし合わせて一人ひとりの所得税額を調整するわけですが、前年度まで使用していた表を用いると間違えるので、これも注意が必要です。
「年末調整のしかた」の熟読を

いずれにしろ、年末調整のシーズンになると、所轄の税務署から「年末調整のしかた」という資料が送られてきます。詳細はすべてそこに書かれていますので、よく読んでから作業に取りかかることをお勧めします。
なお、次の人は原則として年末調整が不要です。
・本年最後の給与支払前(もしくは12月31日以前)に退職した人(死亡退職を除く)
・最終的に「扶養控除等(異動)申告書」を提出していない人
・本年の支払給与額が2000万円を超える人
・国内に1年以上住所または居所のない人(非居住者)
・2カ所以上の給与所得があり、他社に扶養控除等申告書を提出している人
・災害被害者で源泉所得税の徴収猶予または還付がある人

