Vol.18 「一番最後に来てください。」という広告の真意とは?

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
マーケティングと いえば、我先にと顧客を囲い込むといった印象があるかもしれません。 しかし、ある広告には「一番最後に来てください」というメッセージが・・・ いったい、この広告の真意とは?

先と後、どちらが印象に残るのか? 

  先日、ある中古車の広 告を見かけたときです。そこにはこんな言葉が広告に添えられていました。

「当店へは最後にお越しください」

  ずいぶんと余裕のある会社だな、と思われたでしょうか?でも、このメッセージには別の意味がこめられているのかもしれません。心理学で「初頭効果」「新近 効果」といわれるものがあります。

 簡単にお話すれば、同じ情報を与えられたとしてもその順番により、印象が異なってしまうということで す。

 例えば、○○さんてどんな人?と聞かれて「温和な人です。まじめで知的、判断力に優れていて、はっきりした性格、冷静な面もありま す」と言われるのと「冷静な人です。はっきりした性格で判断力に優れていて、知的でまじめ、温和な面もあります」と言われるのでは、○○さんに対して受け る印象が温和な人と冷静な人とで違ってくるということです。(書いてあるのを読むと違いが分かりにくいという人もいるかもしれませんが)

  始めに与えられた情報により強い影響を受けることが「初頭効果」と言われ、その反対に最後に受け取った情報により強い影響を受けることを「新近効果」と言 われています。早い話が一番最初か、一番最後に言われたことが印象に残るということですが、それではどちらがより印象に残るのかという疑問も湧いてくるか もしれません。

 それに対しては、初頭効果は同じ人からの情報の場合に起こりやすく、新近効果は複数の人からの情報の場合に起こりやすいと されています。そのことを知ってか知らぬかはわかりませんが、冒頭の「当店へは最後にお越しください」は新近効果を期待できる広告コピーです。

 

新近効果の他に期待できる効果

 初頭効果、新近効果は心理学の実験により導き出されているわけ ですが、その他にも実践的に良い面も実はあるのです。

 ひとつは、広告を見たほとんどの人に当てはまるということです。「最初に来てくださ い」では、もうすでに実際に行動を起こして検討段階の人には今頃遅いよと思われてしまいます。でも「最後に来てください」なら実際に行動を起こしている人 にも、これから行動しようとする人にも受け入れられます。検討するうえでの1社には入れる可能性が高くなるということです。

 そして、もう 一つは「最後」という言葉の持つ期待感です。

 ファイナルアンサー?と聞くクイズが流行りましたが、本当にうちに来る前に決めていいの?と いうニュアンスも含まれています。広告を出す側の自信を感じ、そしてそれに伴って見る側としては期待を感じる部分も出てきます。

 そして、 3つめですが実は最後に来てもらうとクロージングが楽だということがあります。いろいろと回ってもなお、他で買わなかったわけですから、すでに検討基準は 固まってきている可能性が高い顧客が多くなります。一言で言えば、契約に直結する情報が取りやすい人達です。

 手間の掛かる部分は他店訪問 でしてきてもらって、あとはその条件に合う提案ができるかどうかに集中することができるのです。

 実際、「最後の」という言葉には さまざまな意味が込められているわけですが、これらの事は逆に言えば接客や商品の品質しだいでは、諸刃の剣の側面もあるということです。活用には注意して ください。

 

 それと、この記事を見た人がみんな「最後に来てください」と言い始めたら、どこに最後に行けばよいの か?そんなことも気になりますが・・・

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