Vol.2 使える補助制度 その2

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

 前回は、補助制度にはどんな業種でも使える「ジェネラルな」補助金と、業種によって異なる「スペシャルな」補助金があるというお話を、具体的な事例を挙げて説明しました。今回は、後者の「スペシャルな」補助金について、さらに自分のビジネスに大きくかかわってくる政策動向をどのようにして情報収集していくかということについてお話をしていきます。
 

政府機関を利用せよ

田舎イメージ1 結論から申し上げると、

「政府機関を利用せよ」

ということになります。当たり前といえば当たり前なのですが、自分のビジネスは役所とは関係ないからそんなことをする必要はないと思っている方がけっこういらっしゃいます。
 もちろん、官民が異常な接触をするということは、今の時代は厳しく罰せられますし、癒着があってはならないのは当然のことです。しかし、官民の距離があまりにも離れると、ビジネスの実態を役所が把握できず、政策が絵に描いた餅になります。また、役立つ政府の補助制度があっても、広報が足りず申請が少なかったため予算が消化できなかった、などということも実際にあります。「健全な」官民の情報交換は、日本の産業を元気にしてくれる起爆剤になるのではないかと私は思っています。

 まず、政府機関として4種の機関を頭に入れておきましょう。

1、    各省庁(本省)  例:国土交通省、経済産業省、厚生労働省など
2、    各省庁の地方支分部局 例:関東地方整備局、東北経済産業局、九州農政局など
3、    都道府県   例:東京都庁、北海道庁、大阪府庁、宮城県庁など
4、    市町村   例:横浜市役所、府中町役場、滝沢村役場など

 通常は3種(国・都道府県・市町村)ですが、補助金や政策動向についての情報は各地域ブロックごとに置かれている、各省庁の地方支分部局でも丁寧に教えてくれたり、窓口が置かれていたりしますので、見落とさないようにしたいです。

 自分のビジネスの所管省庁・所管課がどこかということをまず調べましょう。日本で行われているほとんどのビジネスは、いずれかの行政機関に所管があります。複数省庁が所管することもあります。

 たとえば、「起業支援ビジネス」であれば、経済産業省経済産業政策局新規産業室が所管ですね。さらに中小企業庁経営支援部新事業促進課も該当するでしょう。
まずはこの経済産業省新規産業室のホームページを見てみましょう。するとそこには現在進められている施策などの最新情報があります。「課」のホームページを見るそのことだけで、補助金情報や税制優遇措置、その他の有益な情報が得られます。
 そしてそのページには、下のほうに所管課の電話番号が載っていますので、疑問点や気になることがあれば電話をしてみるのもいいかと思います。
 

顔なじみになってしまおう

田舎イメージ2 次に、調べた本省の課で「地方支分部局の担当課」と「都道府県の担当課」「市町村の担当課」がどこなのかを聞いてみましょう。関東経済産業局に地域経済部新規事業課があります。たとえば横浜市に住んでいたら横浜市経済局中小企業振興部経営・創業支援課になるでしょう。それぞれの担当課に加えて、相談窓口が設置されている場合もあります。
それぞれみなさん役所の仕事がお忙しいことと思いますし、普通は敷居が高いなあと思ってしまいがちですが、何度か丁寧に質問し通ってみると顔なじみになってきます。
その分野で、補助制度や政策動向にもっとも詳しいのは、こうした役所の人たちです。数年で異動してしまいますが、この人たちと仲良くなっておくことが重要です。

別の例をあげてみましょう。あるペットショップの方からお話をいただいたので、私が調べてみたところ、国の所管課は、環境省自然環境局動物愛護管理室でした。このホームページには連絡先だけではなく、丁寧に都道府県・指定都市・中核市の窓口までホームページに記載されていました。ちなみにこの一覧を見ると、動物愛護に力を入れている行政と力を入れていない行政が一目でわかります。
 県と市の窓口もわかりましたが、さらにこのホームページでは審議会の資料もPDFで公開されています。これを読んでいくとわかるのですが、政府は2012年をめどに動物愛護管理法の改正を検討しており、ペットショップの販売時間の規制やネット販売の規制、飼養施設の規制、さらには犬猫のマイクロチップ義務化などを現在審議会等で議論をしているのです。
 これは、新聞ではなかなか大きくは報道されないことなのですが、ペットショップの経営者のみなさんにとってはビジネスの在り方が大きく変わるきっかけになる法改正でしょう。
犬猫のマイクロチップについては、現在横浜市や厚木市などさまざまな自治体で補助金が出ていますが、全国で義務化となればその補助制度の議論が出てくるかもしれません。ペットショップを運営していくうえでは、こうした情報を知っているのと知らないのとでは大きな差が出てくるでしょう。法改正の内容によっては売り上げが落ち込むお店もあるかもしれません。

以上のように、どの業種であっても国や自治体に「所管の課」があるはずですので、その窓口やホームページを見ることによって、最新の補助制度、税制の情報などを押さえるとともに、場合によっては今後の政策動向を知ることもできますので、把握しておきましょう。

具体的に、補助制度や政策動向をどのように見ていくかという話をしてきましたが、次回はさらに一歩進んだお話、新聞や政府予算の読み方などワンランク上の情報収集術についてくわしく説明していきたいと思います。

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