Vol.06 誰をも納得させる企画書の真髄とは?

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
今回はこれまでの解説をまとめながら、実際に私が作成した企画書を用いて、相手を納得させるための企画書づくりのポイントを解説していきます。

企画書は、時に一人歩きを始めることがある

 提案書や企画書は、時に一人歩きする場合があるものと認識しておきましょう。プレゼン当日、いくらその場で結論を引き出そうと頑張っても、「持ち帰って社内で検討させてください」……。担当者からのこの一言で、あなたのプレゼンテーションによって生き生きと輝いていた企画書は、後日、その場の臨場感など全く知らないクライアント社内の誰かの手に渡ることになるのです。担当者は、もしかしたら若い新入社員に意見を求めるかもしれない。もしくは50代の上司に判断をあおぐかもしれない。当然のことながら、彼・彼女たちは企画書に書かれた内容のみで、提案の良し悪しを判断することになります。そうなったときのことも想定しながら、企画書をつくっておかなければならないのです。

 その昔、私は勤務会社の上司からこんなアドバイスを受けました。「高城、優秀な営業ほど、伝えたい言葉を“開いて”から伝えるんだ」と。ちょっとわかりづらいですよね(笑)。では、具体例をもって説明します。「35歳のビジネスパーソン向けに、最適で安全な食品に関する情報を届けることで、健康な体づくりを応援するインターネットメディア」。この言葉を一度開くとこうなります。「中年男性向けに、最適な健康に関する食品情報を紹介するサイト」。さらにこれを開くと、「健康食品の最低価格がわかる検索サイト」となります。「な~んだ、最初からそう言ってよ」って感じですよね。

「言葉を開く」とは、よりわかりやすくするという意味。要するにその上司は私に、「本当に伝えたいことは、できるだけ短い言葉に変換してから伝えよ」ということを教えたかったのです。企画書をつくる際にも同じことがいえます。誰が読んだとしても提案内容がわかりやすく、理解するまでのスピードが速い構成の企画書をつくっておくこと。誰をも納得させる企画書をつくりたいのなら、これに尽きます。

 

わかりやすい企画書ほど少ないページでまとめられている

 

 では、基本的にどのような企画書が良い企画書といえるのか。私自身の経験則から考えますと、最低限の必要情報を簡潔にまとめた、表紙を含めてA4用紙5、6枚の企画書の勝率が一番高かった。過去には、必死で頑張って、あれもこれも情報を盛り込んだ数十ページの企画書をつくったことも数え切れないくらいあります。しかし、それによって契約を勝ち取った記憶があまりないのです。営業の現場で、企画提案の成功と失敗を繰り返しながら、私が至った結論。できるだけ少ないページで構成された、わかりやすい企画書が強いということなのです。

 では、そんな企画書をつくるために、私が大切にしている基本的な考え方と構成の仕方をお教えしましょう。

(1)クライアントに課題を認識していただき、お互いがその課題を共有する
(2)その課題を克服するための解決方法を提示する。
(3)解決方法を実現させるための具体的なスケジューリングを提示する。
(4)そのためにかかる費用。いわゆるお見積もり

 この4つのコンテンツを揃えておけば、その企画書は最低限の提案情報を押さえているといえます。その際に、起承転結を考えて、物語をつくるような構成を心がけておくと良いでしょう。

 ちなみに、(2)と(3)の間に、競合などとの比較などを行い、自社の商品・サービスのメリットを強調するページをつくることもあります。「A社の機能とはどう違うの?」「本当に御社のサービスが一番費用対効果いいの?」などなど、クライアントにあえて突っ込んでもらうことで、提案内容の理解度を高めることができるケースもあるのです。通常はあえてこのようなページをつくりませんが、クライアントの担当者の性格が突っ込み好きのようであれば、このようなページを加えておいても良いでしょう。

 

実際に使用した企画書を用いて解説しよう

 

 では、上記のポイントを守りながら私が実際に作成した企画書をお見せします。これは、会社が目指すビジョンが希薄になったことによって、社内でさまざまな問題が頻発するようになってしまったある企業へ提案させていただいた、「ビジョンの再構築」のための企画書です。

■1ページ目(表紙)

 

  ここには、クライアントに実現していただくこととは何なのか、わかりやすい言葉でタイトルをつけています。その言葉もできるだけ“開いて”考えることが重要です。どの会社にも汎用的に使っている企画書ではなく、「御社のためにオリジナルで作成した企画書なのです」ということをタイトルに変えて伝えるということを肝に銘じておいてください。

■2ページ目(課題の洗い出し(1))

 本連載第3回で解説した「ゆるい結論」を伝えるページです。まずはクライアントに、企画全体のイメージを把握してもらいましょう。最初に「ゆるい結論」を理解させることで、その後のプレゼンに集中してもらえるというメリットもあります。

■3ページ目(課題の洗い出し(2))

 過去にできていたこと、未来にできるようになりたいことを認識し、「まずは現在の課題を抽出しましょう」という提案をしています。現状が認識できて初めて、現在と未来のギャップが見えてきます。

■4ページ目(解決方法の提示)

 

 現状認識からあぶりだされたギャップを埋めるための行動規範を制定し、「会社としてのビジョン、ミッションを達成するためのスローガンをつくりましょう」という提案をしています。

■5ページ目(具体的なスケジューリング)

 課題を抽出し、ビジョン、ミッションを達成するためのスローガンをつくるまでの行動と、そのスケジュールを提案しています。提案内容の具体的な進め方を見せることで、具体的なイメージをもってもらうことができます。

※ この企画書の場合、お見積もりは別添資料としています。また、そのほかの補足資料もここでは解説を割愛させていただいています。

 

 いかがでしたでしょうか。もちろん、使用する言葉は、できるだけ“開いて”考える。その中でも強調したい言葉は、文字のポイント数を大きくする、色をつける。図版、イラスト、写真を加えて、提案内容をよりイメージしやすくする。そういった工夫も大切です。色を美しく再現するには、性能の良いカラープリンターは必須です。紙焼きの写真を効果的に使う際には、スキャナ機能があるといいですね。プレゼン前日、当社のインクジェット複合機はフル稼働です。最近では、大量の部数を印刷する時に便利な大容量給紙や高速プリントのほか、自動両面印刷機能がついた複合機などもあるようです。ぜひ、取り入れてみてください。

 誰が見てもわかりやすい企画書というのは、できるだけ少ないページで解説されたものなのです。今後、あなたが企画書をつくる際には、ぜひ、どこまで簡潔に内容をまとめることができるのか、そこに苦心してみるといいと思います。

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