農業法人 Vol.4 中小企業の農業は儲かる?儲からない?

事業計画

執筆者: ドリームゲート事務局

こんにちは。農業専門コンサルタントの岩崎です。
前回のコラムでは農業生産法人の要件や参入時の平均投資額についてご紹介しました。
「Vol.3 株式会社の農家は過去3年で倍増。その理由とメリット、そして中小企業農業に新規参入する際の平均投資額について 第3回」
ご興味お持ちいただけましたか?

さて今回は、「農業は儲かる?儲からない?」というテーマでお話しします。

1.国内農家の年間売上はどれくらい?

最新の農林業センサス(2010年)の統計を見ると、日本国内の総農家数は252万8千戸で、このうち農産物を販売しない自給的農家数は89万7千戸、農産物を販売している販売農家数は163万1千戸となっています。

そして販売農家の年間販売金額規模別の内訳を見ると、

年間売上
 500万円未満・・・140万戸(85.7%)
 500万円以上~1000万円未満・・・11万2千戸(6.8%)
 1000万円以上~3000万円未満・・・9万5千戸(5.8%)
 3000万円以上~1億円未満・・・2万3千戸(1.4%)
 1億円以上・・・2200戸(0.1%)
となっています。

この数字を見て、「やっぱり農業は儲からないのか・・・」と思うか、「まだまだこんなにチャンスが転がっている!」と思うかはあなた次第です。

私も仕事柄、多くの農家に会いますが、新規就農者であっても専業農家として、きちんと継続的に1000万円以上の売上をあげている方はいらっしゃいます。組織農業として年商1億円以上の売上をあげている農業生産法人もあります。

今は、歯科医でも弁護士でも資格を取っただけでは儲からない時代です。
「農業は儲からない・・・」というのも同じで、儲かる人はきちんと儲けていますし、儲からないと思う人は、儲からないのです。
農業だけが特殊なわけではなく、商売という視点で考えたときに、どのような経営をしていくのか?をしっかり考え、取り組む必要があります。

2.儲かる農業3つのポイントとは?

では、具体的に儲かる農業ビジネスをするための3つのポイントをご紹介しましょう。

①誰を顧客にするか?
農業に限らず、すべての商売には顧客がいます。
多くの農業者が、「何を栽培しようか」という発想から入ることが多いため、作ったけれども売れない・・・ということになりがちです。
しかし、私がお会いする儲かる農業をしている経営者は、「誰を顧客にするか?」をまず考えています。

農業の場合は、顧客(販売先)が多様化していることに加え、顧客によって生産する農産物の品目、品種、出荷量や頻度、規格、設備などが全く異なるため、あとから容易に変更ができません。

さらに販売先によって利益率が5倍、10倍にも変わります。
通常の市場出荷では、生産者の手元に残るのは小売り価格の約3割です。スーパーで1000円分の野菜が売れたとすれば、生産者には300円が支払われていることになります。そこから経費などを差し引くと、実際に所得としては100円~150円程度でしょう。
しかしこれを消費者への直接販売に切り替えた場合、1000円がそのまま生産者の売上になります。売上で約3倍、利益は5倍~8倍程度になるでしょう。

上記は一例ですが、
「誰を顧客にするのか?」が極めて重要なことがご理解いただけたのではないでしょうか?

②どんな組織形態にするか?
次に、中小企業が農業生産法人を設立して農業生産に参入する場合、一定規模の経営面積を組織的に管理・運営していく必要があります。
その際、儲かる農業をしている農業生産法人の組織形態には、大きく2つのタイプがあります。

まず最初は「ユニット型農業」です。
ひとりもしくは複数名でチームをつくり、ひとつのチームが播種から収穫・出荷までの作業を責任をもって管理する運営形態です。ひとりひとりが一連の作業を理解し、臨機応変に対応していかなければならないため、従業員の習熟に時間がかかります。しかし人が育てば、将来的に離れた地域などにも独立したユニットを増やせるため、拡大しやすい利点があります。 のれん分けのような形で将来独立を支援するケースも多いため、優秀なやる気のあるスタッフが集まりやすいという利点もあります。

次に「分業型農業」です。
分業型は、全体の作業工程をチーム単位で分業する運営形態です。ハウス100棟で葉物野菜を周年栽培しているある農業生産法人では、播種チーム、栽培管理チーム、収穫チーム、出荷調整チーム、営業チームのように分業体制で運営しています。
ひとつひとつの作業工程を細分化・マニュアル化しやすいため、熟練度の低い作業初心者でも仕事ができるのが利点です。
地域の雇用創出に貢献したい中小企業には良い選択肢のひとつだと思います。

③どのようにキャッシュフローを改善するか?
最後に、いかなる事業も帳簿上は黒字でも、実際に手元にキャッシュ(現金)がなくなればおしまいです(黒字倒産)。
農業は、初期投資して農産物を生産しはじめてから、収穫し、出荷し、実際に現金が回収できるまでのサイクルが極めて長く、キャッシュフローが非常に悪い事業です。

そのため、儲かる農業をしている経営者は、いかに早くキャッシュを回収するか?を最初に考え、事業を設計しています。

たとえば、小松菜やホウレンソウといった葉物類は、種をまいてから1ヶ月~2ヶ月で収穫・出荷が可能です。一方、トマトやナスといった果菜類は種をまいてから出荷まで5ヶ月ほどかかります。
また葉物野菜は、1年に4回~6回転させることができますが、果菜類は1年に1回~2回転しかできません。
このように作物によってキャッシュフローが全く異なります。

個人経営の農家の場合は、旬の季節だけ野菜を出荷し、普段は別の仕事をしている・・というケースも多いのですが、農業生産法人の場合は常時従業員を雇用しているため、それでは経営の安定化は望めません。

儲かる農業をしている経営者は、年間を通して需要があり、且つキャッシュフローが良い作物を中心に添えながら経営を安定化させることを優先させています。

以上、3つのポイントをご紹介しました。

自然の影響など不確定要素に左右されにくい農業という特殊な部分はありますが、経営という面においては、他の業界と同じく、顧客や組織、財務など抑えるポイントは同じです。
ただ、これまでの農家は生産さえすればよいという環境にあったため、良くも悪くも経営についての経験がありません。
中小企業が経営経験を活かして、地元の農家とも連携しながら農業経営を始めれば、まだまだ多くの可能性が眠っていると思います。

ぜひ、多くの中小企業の参入を期待したいと思います。

3.最後に

これまで全4回にわたって農業ビジネスについてご紹介してきました。

農業の世界は奥が深いので、紙面の都合上、本当に一部しかご紹介できませんでしたが、農業に可能性があることは感じていただけたのではないでしょうか?

個人的には、農業経営以前に、人間として食べ物を自分で作ることは本質だと思いますし、これからの時代、個人だけではなく会社単位で、自社の食料を生産していくことは生き残るための最大のリスク対応策だと思います。
実際、時代の流れに敏感な経営者ほど、真剣に自社社員のための食料生産を検討されはじめています。

ぜひ、これを機会にあなたも真剣に農業参入を検討してください。
どこかの畑でお会いできる日を楽しみにしております!(^0^)/
ありがとうございました!

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