経費計上に関するトラブルを防止!
会社設立の前後に多い疑問を解決

会計・ファイナンス

執筆者: 加賀谷 豪

    起業前の支出した経費について

    【質問】
    来年IT関連の起業を予定しており、現在は準備段階に至ります。起業するにあたり、パソコンの購入やセミナーへの参加、書籍購入などの起業前の支出を起業後に確定申告する場合、領収書の宛名はどうすればよいですか?

    【DGアドバイザーの回答】
    開業時において、会社を設立した初年度だけに発生する特別な費用(“開業費”、“創立費”、またその他の経費)があります。

    開業費は、会社を設立してから営業開始までに支出した費用になり、該当する項目は、“交際費“、“広告・宣伝費”、“調査・旅行費”などがあります。(10万円以上の備品などは固定資産として資産計上することになるので、開業費には含まれません)

    創立費とは、会社の設立までに支出した費用になります。該当する項目は、“定款作成費用”、“会社設立登記”、“登録免許税” などがあります。
    創立費も会社設立前の費用にはなりますが、会社の設立そのものに直接に係る費用なので、取り扱いが異なります。

    この“開業費”と“創立費”は、会社設立をした1期目に費用とする、もしくは資産計上し、その後任意のタイミングで費用計上することができます。
    すなわち、会社の売上が増加した際に費用とすることもできる、便利なものになります。

    さて、ご質問いただいた経費に計上する方法ですが、通常、会社の経費にするためには、宛名に会社名が記載された領収書をきちんと保管することが原則です。

    ただし、公共機関などのように、必ずしも、会社名記載の領収書がなければいけない、というわけではなく、領収書の宛名も、「宛名なし」や「上様」、「個人氏名」のみでも問題ありません。

    重要なのは、その業務の関係が第三者(税務署)から見ても明確であるかどうかです。
    しかしそれでも、会社名のない領収書は少なからず個人での使用を疑われてしまいます。
    基本的に領収書やレシートは、会社設立後は会社名、会社設立前は個人名で保管するようにしましょう。
    また当該のセミナーの参加費や書籍の購入費用は、目的が“勉強”にあたるかと思います。したがって、費用として計上できるかは内容次第になるかと思いますので、会社設立前の費用に含めておくというのも一つの方法です。

     

    起業前の研究費も創業費にできるのか?

    【質問】
    現在、医療研究機関で研究職をしており、近々友人と共同で起業を考えております。開発期間が一年必要なため、実際に起業をするのは一年後としております。
    起業前に使った費用などを計上できる創業費というものがあると思いますが、私と私の友人がそれぞれ使った費用もすべて開業費としても問題ないでしょうか。
    たとえば、“業務用パソコン”、“製品開発のための資料請求費”、“実験機器の部品”など、合計200万円程度です。

    よろしくお願いいたします。

    【DGアドバイザーの回答】
    創業の掛かった費用の中には、“創立費”と“開業費”の2つがあります。法人税法での創立費とは、発起人に支払う報酬、設立登記のために支出する登録免許税、その他法人の設立のために支出する費用で、当該法人の負担に帰すべきものをいいます。
    一方開業費とは、法人の設立後事業を開始するまでの間、開業準備のために特別に支出する費用をいいます。内容的に、製品開発のための費用は、開業費に該当しますが、開業費は法人(会社)設立後の費用だけとなりますので注意が必要です。(個人事業の場合、開業届を出したあと)
    また開業費は、要件に該当すれば特に金額の上限はありませんが、固定資産として資産計上するものは開業費に含められません。具体的には、車、高額なパソコン、複合機などです。

    さて、ご友人が支払われた分についてですが、ご友人と一緒に会社を設立、あるいはご質問者様の個人事業の従業員として起業するのであれば、基本的には経費となります。
    ただし、それぞれが個人事業として独立するのであれば、それぞれの個人事業の経費となってしまいます。
    また開業費は繰延資産ということで、発生した時ではなく、任意で償却することができます。つまり、利益が出たときに、利益分だけを資産から取り崩して費用として計上できる、とても便利な費用になります。
    最後に、開業までに時間や費用が掛かるようであれば、簡単でもいいので事業計画のようなものを作成すると、費用やなすべきことの整理になります。

     

    起業前の備品購入で融資におよぼす影響は?

    【質問】
    起業にむけて、パソコンなどの備品を揃えようと思います。当該備品にかかる費用は資本金の中から出すことを想定しておりますが、会社登記前のタイミングで備品を購入してしまうと、会社登記時の資本金額が減ってしまい、銀行への融資申請時に不利になる(融資額が資本金の〇倍で決まる場合)のではないかと懸念しています。今備品を購入した場合、資本金額の影響はどのようになるのでしょうか?
    将来の銀行融資申請時に、資本金が可能な限り厚い方が有利と考えているのですが、その場合会社登記後に備品を購入したほうが良いのでしょうか?

    【DGアドバイザーの回答】
    確かに、現在の資本金に余裕がない場合、先に備品を購入してしまうと会社設立時の資本金が減ってしまい、融資に影響を及ぼす可能性もございます。しかし、会社設立の際に資本金の証明資料として添付を求められるのは資本金の入金を行った通帳のコピーですので、そのコピーさえとってしまえば会社設立前に資本金からお金を使っても通帳の記載額が資本金となるため問題ないと思います。

    また、法人口座の開設には登記簿謄本が必要になります。したがって、通帳のコピーを行う際には、最初は個人間の二つの口座の資金移動を行います。その後、最後に資金移動をさせた口座の通帳の記帳ページ、表紙、裏表紙の3枚が会社設立時の必要書類となります。

    たとえ資本金に余裕がない場合でも、この方法で融資申請を行うことが可能です。

     

    お店のポイントで物品を購入し、経費にできるか?

    【質問】
    起業時にかかるコストを極力抑えたいと考えております。
    現在、事務用品やプリンターなどを揃える必要がありますが、個人的に貯めた量販店のポイントを使って会社の備品を購入した場合、経費として処理できるのでしょうか?

    【DGアドバイザーの回答】
    個人で貯めたポイントで備品を購入し、その領収書を会社の経費と処理した場合、経理上、経費を計上したにもかかわらず、会社のお金が減らないという問題が起こります。

    例えば、会社に300万円の現預金があったとしても、会社のお金で20万円の買い物をすれば、会社の現預金は帳簿上、実際の残高共に280万円になります。しかし、ポイントを使って買い物をした場合は、実際の現預金は300万円のままなので、20万円分経費として計上して、帳簿上の現金残高が20万円減ってしまうと、帳簿上と実際の現預金と残高が不一致になります。
    そのため個人のポイントを使用して会社の備品等を購入した場合は、経費計上しないほうがよいかと思います。

     

    執筆者プロフィール:
    ドリームゲートアドバイザー 加賀谷豪(税理士、ファイナンシャルプランナー)
    株式会社ピクシス 代表取締役/税理士法人アクシオン 代表社員

    1981年 北海道札幌市生まれ
    同志社大学卒業後、税理士事務所業界経験12年の内、起業者の税務顧問をメインとして携わる中で、より起業支援に特化した研修、勉強会などのサービス提供を目的として、平成26年に株式会社ピクシスを設立。マーケティング戦略・ネット集客に係るプランニングにより、売上のビジョンを明確化するという目的と、それによる充実した事業計画を作成活用することで、融資対策につながるご提案を目的とした「10-million-school」の共同開催を継続的に行っている。平成28年に税理士登録とともに、税理士法人アクシオンを設立

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