駆け出し起業家に多い質問3選!
起業初期に注意すべき税務

会計・ファイナンス

執筆者: 加賀谷 豪

個人事業主が知人に臨時で手伝いを依頼した場合、税務上の取り扱いはどうなるか。

【質問】
現在1人で事業をスタートし、知人に臨時で業務を手伝ってもらうことを考えております。
手伝ってもらった費用を経費にする場合、どのような計上項目になりますか?
以前に、外注費の基準が難しく、間違えれば追徴があると聞いたことがあります。
また、支払金額が月に数十万円の高額になった場合は、自身の所得の内からの支払いになりますか?

【回答】
税務上、実は、この「外注費」に該当するか、「人件費」に該当するかで、費用を支払う側、受ける側それぞれ税務上の取り扱いが大きく異なることになります。

・支払側
「外注費」に該当する場合、費用を支払う側はそのまま費用総額を支払えばよく、支払先から請求書、領収書などをもらうだけです。もし「人件費」に該当する場合、その支払額から、源泉所得税として一定の計算のもとに算定された所得税を、支払額から控除して支払う必要があります。
追徴というケースは、「外注費」として処理していた経費が「人件費」に該当すると認定された場合、源泉所得税の徴収漏れという結果になってしまうためです。
また、「外注費」には消費税が含まれるため、支払う側の消費税の計算において税額控除ができますが、「人件費」は非課税は扱いとなるため、「外注費」として処理していた経費が「人件費」に該当すると認定された場合、消費税の納税漏れという結果にもなってしまいます。
加えて、当該支払は給与として取り扱うことから、継続して支払をすると年末調整などの事務も支払者側に生じることになります。また雇用関係のため、雇用保険の加入、勤務日数次第では社会保険への加入手続きが支払者側に義務付けられます。

・支払いを受ける側
そして、支払を受ける側は、「外注費」として支払を受けた場合、当該受取金額を事業所得上の売上として、確定申告する義務が生じます。
もし、「人件費」として支払を受けた場合、源泉所得税が支払額から引かれ、継続して支払を受けると、年末調整にて所得税が精算されることになります。

・「人件費」と「外注費」
お手伝いに対する対価で、「人件費」に該当するか、「外注費」に該当するかの判断基準は、難しい点です。雇用関係が生じているか否かが主な判断材料となりますが、雇用関係が生じているか否かの判断基準の一つとして、下記のような消費税法基本通達などが挙げられます。

(1) その契約に係る役務の提供の内容が他人の代替を容れるかどうか。
(2) 役務の提供に当たり事業者の指揮監督を受けるかどうか。
(3) まだ引渡しを了しない完成品が不可抗力のため滅失した場合等においても、当該個人が権利として既に提供した役務に係る報酬の請求をなすことができるかどうか。
(4) 役務の提供に係る材料又は用具等を供与されているかどうか。
 ※国税庁より引用

実際に「人件費」か「外注費」については、個別の事案ごとに検討すべきであり、専門家などにもご相談頂いた方が安全と言えます。
また、支払額が高額になった場合ですが、その職務内容に対する対価として社会通念上適正なものであれば、「人件費」でも「外注費」でもいずれの場合も経費として認められる余地はあると思います。

知人とルームシェアしている自宅を経費に計上することは可能であるか。

【質問】
初めまして、これから開業を考えております。
現在、知人とマンションをシェアしており、そのマンションを事務所にしたいのですが、経費計上は可能でしょうか?もし可能である場合、どこまでの範囲が計上可能ですか?
オフィスとしての利用面積は全体の3割程度で、契約名義は自分、同居人記載欄が知人です。
また、新たに(知人と)自宅マンション兼事務所として物件を契約する場合の経費性(敷金、礼金、仲介料、保険料など)についてもお伺いしたいです。

【回答】
・家賃の経費計上について
マンションをシェアしている場合において、そのマンションを事業用として使用している場合には、当該マンションの支払い家賃等について、経費性が生じます。
そして、契約当初より事業用として使用予定の場合、家賃の他、礼金、仲介料、保険料、鍵交換費用など、入居時に発生した場合の費用についても、経費性が生じると言えます。
ただし、礼金については、繰延資産として、通常5年間で減価償却として経費計上していくことになります。
敷金は退去時に返還されなかった場合にのみ、返還されなかった金額に応じて経費性が生じます。

・経費割合について
さて、経費性があると想定される範囲ですが、全額が経費計上されるわけではありません。シェアハウスであることから、その知人が使用している部分もあると想定されます。
まず経費計上するためには、本ケースのように、原則シェアハウスの契約者名義が事業者本人であることが理想です。経費計上の金額を算定するためには、支払っている家賃から、シェアしている知人からもらう家賃を差し引いた上で、事業用として使用している面積、頻度などにより、合理的に算定された割合をもって算定する必要があります。
本ケースの場合、利用面積割合が3割という計算ですので、3割の経費計上になると想定されます。
また、新たに(知人と)自宅マンション兼事務所として物件を契約する場合も、基本的には上記考え方で経費を計算していきます。

・消費税の取り扱いについて
シェアハウスとして使用している物件の場合、賃貸契約書において、使用用途が「居住用」と明記されているケースがあります。
この場合、居住用の家賃は消費税が非課税として取り扱いされているため、事業用として一部使用していたとしても、消費税の申告計算において、売上に係る消費税から、家賃について税額控除することはできないため、注意が必要です。
自宅マンション兼事務所の場合も、使用用途が「居住用」と明記されているケースが想定されますので、ご注意下さい。

自宅サロンの法人化のタイミングと雇用について

【質問】
静岡の4LDKの自宅マンションでネイルサロンを経営している者です。
主人と子供の3人暮らしで、2部屋をサロンに使用してます。
現在、開業して1年が経ち、売上げは月95万円、所得は70~75万円です。予約はかなり込み合ってます。
将来的に店舗展開をしたいため、従業員を雇おうと考えており、早々に法人化するべきかについても悩んでいます。

・法人化した方が良いかどうか。
・従業員を雇用する上での注意点
・社員とアルバイトのどちらが良いか
・経営上のアドバイス

【回答】
法人を検討する際に、個人事業と比較して、メリットとデメリットを理解した上で検討が必要です。
■法人化のメリット
本ケースの場合、開業1年目で年間売上1000万円を超えると、開業3年目より消費税の納税義務が発生する可能性があるため、例えば3年目より法人化することで法人化後最大2年間消費税が免税となるというメリットがあります。
個人に係る所得税は、所得の増加に伴って税率が上がる累進課税というしくみになっているため、一定の所得がある場合、法人化した方が、トータル的に税負担軽減につながるケースが考えられます。例えば本ケースの所得を従業員雇用後も維持できれば、法人化した方が、税負担が少なくなる可能性があります。個人事業と比較して、会社組織としての信用を得られ、円滑な取引につながる可能性があります。代表者につき、社会保険として厚生年金に加入することができるため、将来の年金を手厚くすることができます。

■法人化のデメリット
法人と代表者は別の人格であるため、毎年定額の役員報酬を定めることになり、事業に係る資金を生活費として自由に使用することが難しくなります。どこの地域の会社であっても、均等割という定額の地方税が通常7万円以上毎年発生するため、赤字申告であっても税負担が必ず生じます。代表者含めて、各従業員の社会保険加入が義務付けられるため、社会保険料の負担が大きくなる可能性があります。

上記の通り、法人化はメリットもデメリットもあるため、これらを考慮した上で検討が必要です。ただ、事業規模をある程度拡大してくために法人化は必要不可欠と言えます。

■従業員を雇用する上での注意点
従業員を雇用する場合、まず労働保険に加入させる必要があります。労働保険は労災保険と雇用保険に分かれ、労災保険は原則全従業員を被保険者とする必要があります。雇用保険は1週間の所定労働時間が20時間を超え、継続して1か月以上雇用する予定の従業員につき、被保険者とする必要があります。
また、個人事業の場合でも、常時雇用する人数が5人以上の場合は、社会保険も加入義務がありますので、ご注意下さい。
加えて、従業員を雇用した場合、各従業員の所得計算を事業主が行う義務も生じます。具体的には、源泉徴収という方法で、毎月の給与から所得税を差し引き、納付した上で、12月又は1月に年末調整という手続きで各従業員の1年間の所得に係る所得税額を計算し、源泉徴収した所得税の一部還付、又は不足分の徴収などの精算作業を行う必要があります。
このように、従業員を雇用することにより、事務作業が増加するのと、それに伴う各種保険の費用が増える点、ご理解下さい。
最後に、従業員の雇用の仕方については、労働基準法という法律で明確に規定されているため、当該法律に違反するような雇用方法をとった場合など、従業員からの訴訟リスクも生じますので、注意が必要です。

■社員とアルバイトのどちらが良いか
雇用の目的によって、社員かアルバイトか、判断が必要かと思います。
ある程度人が流動的に入れ替わっても、雇用負担を一定以下に抑えたいということでしたら、アルバイトという選択肢になるかと思います。
一方、店舗展開していくにあたり各店舗の軸となる人材を確保したいという目的がある場合は、社員が必須だと思います。
加えて、今人材確保が難しい業種も多いため、例え社員雇用で給与や社会保険などの雇用負担があったとしても、アルバイト形態で都度人材の入れ替わりが激しい場合は、募集に係る経費も大きくなるため、逆に社員雇用の方がよい場合もあるでしょう。

執筆者プロフィール:
ドリームゲートアドバイザー 加賀谷豪(税理士、ファイナンシャルプランナー)
株式会社ピクシス 代表取締役/税理士法人アクシオン 代表社員

1981年 北海道札幌市生まれ
同志社大学卒業後、税理士事務所業界経験12年の内、起業者の税務顧問をメインとして携わる中で、より起業支援に特化した研修、勉強会などのサービス提供を目的として、平成26年に株式会社ピクシスを設立。マーケティング戦略・ネット集客に係るプランニングにより、売上のビジョンを明確化するという目的と、それによる充実した事業計画を作成活用することで、融資対策につながるご提案を目的とした「10-million-school」の共同開催を継続的に行っている。平成28年に税理士登録とともに、税理士法人アクシオンを設立

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