とっておきの問題解決の手法「セレンディピティ思考術」

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

出題・解説: 羽根 拓也(アクティブラーニングスクール代表)

http://www.als.co.jp/

会 社を起こし、社長になれば、毎日これでもかというくらい多くの難問が押し寄せてくる。会社の代表であるあなたは、真っ向からこの難問に向かっていき、明確 な解決策を導いていかなければならない。そんな状況で、あなたはどのように解決策を導くだろうか?経営書や経験者の話も大いに参考になるだろう。しかし、 やっかいなことに、現実に突きつけられる問題は、本には正解が書かれていない、人に聞いても正解のわからないような問題が大半だ。「正解の書かれた教科 書」は、ビジネスの世界では存在しない。起業家には、自分自身で解決策を見つけようという姿勢が不可欠なのだ。今回は、そんな起業家の予備軍である皆さん に、今日からぜひ使ってもらいたい、とっておきの問題解決の手法を紹介してみたい。

 

今回のアントレプレ ナーズ・メッセージにおける木村氏のストーリーをお読みいただけただろうか?雑誌を売るために、病院の入院患者の中心人物に営業をして、短時間でノルマの 倍の量を売り切った話。徹底的な商品リサーチの結果、「ワンルックトータル」というコンセプトを生み出した話、などなど、思わず「うまい!」とうなってし まうような戦略を取り続け、成長していったことが伺える。端的に言うと、問題解決の手法に非常に長けていたのだ。

当然、そのような「うまい!」と思わせるような戦略は、「棚からぼた餅」のように頭に浮かんできたのではない。「自分自身の体験から積極的に何かを発見し、行動に生かしてやろう」という思考を取り続けることが、優れた問題解決を可能にするのである。

「セレンディピティ」という言葉をご存じだろうか?

「セレンディピティ」とは、Serendipの童話が語源になった言葉で、「幸運な発見」を意味する。今、この言葉が科学者の間で流行っているが、セレンディピティの例として有名な、ペニシリンの発見を取り上げてみよう。

イ ギリスの病理学者フレミングは、病原菌の研究中、偶然飛んできた青カビを病原菌に付着させてしまった。普通の人なら青カビが生えているのを見た瞬間、実験 は失敗だったとして終わらせてしまうだろう。しかしフレミングはただの失敗では終わらせなかった。青カビのまわりでは菌が増えないことを発見し、病原菌を 退治する働きのある画期的な抗生物質「ペニシリン」をカビから取り出すことに成功したのだ。青カビが飛んできたのは、偶然だったかもしれない。しかしそれ を「幸運な発見」に結びつけることができたのは、フレミングが「何かを発見して研究に生かしてやろう」という「積極的な思考」を持ち合わせていたからに他 ならない。

先ほど述べた、「自分自身の体験から積極的に何かを発見して行動に生かす」思考法は、以下の三段階のステップを踏んでいる。

1. あたりまえの日常に「なぜ?」と問題を提起する

2. 「なるほど!」という問題に潜む原理原則を予測、発見する

3. 原理原則を応用した「これだ」という解決策を提案する

こ のような思考法を、アクティブラーニングではセレンディピティにちなんで、「セレンディピティ思考術」と呼んでいる。「セレンディピティ思考術」の特徴 は、日常の体験の中から自分自身で有用な知恵を学び取り、生活に生かしていくことができることだ。この考えた方こそが、「正解の書かれた教科書」のないビ ジネスの世界を生きていくために不可欠なのである。

さあ、あなた自身の思考パターンは、常に何かを見つけて活用しようと「積極的な思考」になっているだろうか。難しく考える必要はない。たとえば、

1. 「なぜ?」 なぜ電車の座席で多くの人が気持ちよさそうに眠っているのだろうか。

2. 「なるほど!」 電車の揺れ具合が、眠っている人にとって心地よいからだ。

3. 「これだ!」 電車の揺れを再現できるリラクゼーション椅子やベッドを開発すれば多くの人に受け入れられるに違いない。

な どなど、答えはいくらでも導くことができるはずだ。初めのうちは、「うまい!」と周囲を納得させるような解決策を導くことができないかもしれない。しか し、大事なことは、1や2の段階でうまく考えが思いつかないからと「思考を停止」させないことだ。とりあえず3までやり通し、自分自身の力で答えを導いて いく習慣を身につけてほしい。この作業を繰り返してゆけば、あなたの思考回路は自然に1~3のプロセスをたどるようになってゆく。つまりは、起業家として さまざまな問題に直面したときに、即座に解決策をみちびけるような思考回路を持つことができるに違いない。今日から早速、積極的な思考回路を作ることに、取り 組んでいただきたい。

 

 

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 【羽根 拓也 プロフィール】

日 本で塾・予備校の講師を勤めた後、1991年渡米。ペンシルバ大学、ハーバード大学等で語学専任講師として活躍。独自の教授法はアメリカでも高い評価を受 け、94年、ハーバード大学より優秀指導賞(Certificate of Distinction in Teaching)受賞。「知識を与える教育」から、「自己成長力を向上させる教育」こそが、世界に求められていると考え、97年に東京に「アクティブ ラーニングスクール」を開校。これまで日本にはなかった「自己成長力」を育成する教育機関として各界より高い評価を得ている。独自の教育理論えおその指導 方法に、有名企業、政府関係機関、教育機関などより指導依頼が絶えない。

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