経営戦略 Vol.26 「スペースカレー」にみる成熟市場への参入方法

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
宇宙飛行士たちが、青い地球を眺めながら食べるレトルトのカレーがちょっとした話題になっています。それは、ハウス食品が2007年11月に発売した「スペースカレー」という商品なのです。

JAXAの依頼で開発した「宇宙日本食」

 ハウス食品が2007年11月に発売したこの「スペースカレー」とは、実際に宇宙飛行士たちが宇宙で食べるレトルトのカレーです。長期間、狭いスペースでの生活を余儀なくされる宇宙飛行士たちにとって、宇宙での最大の楽しみは「食事」なのだとか。しかし、現在の宇宙食は、米国とロシアのメニューが中心となっています。

 そこで、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、日本国内の食品メーカーに「宇宙日本食」の開発を委託しました。ハウス食品もその委託を受け、「おいしさと健康にこだわったオリジナルのカレーを作ろう」と、ゼロからの開発に乗り出したのです。

 

濃い目の味で宇宙飛行士気分?!

 宇宙では、無重力の影響からか、地上より濃い目の味が好まれるそうです。しかし、ハウスの開発チームが実際宇宙へ行って試食することはできませんから、夜勤明けの人と通常勤務の人の味覚を比べたり、宇宙飛行士たちの意見を聞いたりしながら、開発を進めていったようです。

 試行錯誤の結果、辛さは5段階中の「4」、つまりやや辛口で、通常よりスパイスの量を多くし、無重力環境で弱くなりがちな骨を強化するため、カルシウムとその吸収を促すビタミンDなども加えました。さらに無重力でも飛び散らないように、粘り気を通常の1.5倍に設定し、「おいしさと健康にこだわった」カレーが完成したのです。

 人間の宇宙へのあこがれは普遍的なものなのか、予想以上の売れ行きだそうですよ(*^^)v。

 

売り方と告知の仕方で新たなマーケットも

 このスペースカレーは、同社の通販サイトのほか、国立科学博物館、日本科学未来館、JAXA筑波宇宙センターの売店などで販売されているようですが、こうした特殊な商品は、「売る場所を限定」することで価値が増すのです。今、美術館のショップは、ちょっとした雑貨店が勝てないくらいの販売力を持っていますが、美術館というちょっとハイソサエティな環境のなかでセンスのいい商品を販売すれば、「ここでしか買えない」という気持ちも手伝って、多少値段が高くてもお財布を開いてくれるものです。同様に、宇宙食も「特別な場所」での販売が合っているのでしょう。

 また、同社でも「閉鎖空間でのストレスが軽くなるように工夫したので、受験生にもいいかもしれません」と話していますが、頭脳明晰な宇宙飛行士のイメージを上手にアピールすれば、菓子メーカーの参入で加熱気味な「受験生応援」マーケットの目玉的商品に育つ可能性もありますね!(^^)!。

 ありとあらゆる商品が出尽くした感のあるカレーというマーケットにも、まだまだ工夫しだいで新たな可能性が開けるものだと、このスペースカレーの人気ぶりを楽しく眺めています。あなたなら、カレーにどんなアイデアを出しますか(^.^)/~~~。

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