今、人々の意識に変化が起こっています。端的に言えば、「お金のため」ではなく「自分の持てる能力を社会に役立てたい」と望む人が増えたということです。今回の震災は、そんな変化に拍車をかけたように思いますが、「Toka!!」や「プロボノ」といった新しいムーブメントが生まれているのをご存じでしょうか? こうした意識の変化を、経営者はよくわかっておく必要があるでしょう。
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「Toka!!」という新しい等価交換のカタチ

そもそも「貨幣」の歴史を紐解くと“価値交換”に行き当たるわけですが、その昔は魚と大根を交換するという「物々交換」の世の中でしたよね。しかし、魚や大根は簡単に腐ってしまう・・・その不便さを解消するために「貨幣」というものが誕生したわけです。ところが、貨幣経済が発達するにつれ「何に価値があるのか」が非常にわかりにくい世の中になってしまいました。お金そのものに価値があるわけではなく、お金は「モノやサービスの価値を写したもの」だったはずです。そのあたりの矛盾に、多くの人が気づき始めたのかもしれません(*^_^*)
「プロボノ」という新しいボランティアのカタチ
そうした人々の意識の変化もあり、最近では「お金のためにだけ働くのはイヤだ」と考える人たちが増えています。ボランティアに向かう若者、社会起業家を志す人たちもその一例だと思いますが、一般企業に勤めている人たちの中からも「プロボノ」という活動が生まれています。「プロボノ」とは、自分がこれまで仕事上で経験してきたことやその知識・技能を活かして行うボランティア活動のこと。もともとは、アメリカやイギリスの弁護士たちが始めた無料相談からはじまったもので、ラテン語の「Pro Bono Publico(公益善のために)」を語源とした造語です。日本では、主に資金や人材不足に悩むNPOや社会起業家たちを、「自分の持っている能力で」支援しようという活動となっているようですが、たとえば、NECでは昨年の夏よりプロボノチームを若手社員15人で編成し、採血による健康診断事業を展開する「ケアプロ」と、農業の収益性向上を目指す「オリザ」を支援しています。ケアプロもオリザも、それぞれの業界内の構造改革を目指す社会起業家がつくったベンチャー企業ですが、NECチームは、ケアプロの顧客情報のデータベース化や、診断結果をグラフ化し、健康状態に応じて医療機関を紹介する携帯電話向けのプログラム開発などを行いました。
一方、オリザに対しては、休日に栽培現場を訪れて農業専門家たちにも取材を行い、ホームページを刷新するなどの支援を行いました。NECの社員さんたちも、自分の仕事が目の前でかたちになることに手ごたえを感じているようです。同社の他にも、ゴールドマン・サックス証券が女性社員中心のチームをつくって、教育・子育て関連のNPOの財務面の見直しを支援したり、日本IBMが教育関連のNPOを支援したりという動きが広がってきています。
人々の意識変化はビジネスのキーである


