経営戦略 Vol.85 リアルの次はネットを制す!? ヤマダ電機の口コミサイト「ピーチクパーク」に注目

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

 家電のレビューサイトといえば「価格.com」を思い出す方も多いと思いますが、家電量販大手のヤマダ電機が、自社で家電口コミ情報サイトを立ち上げました。日本最大の店舗網というリアルの強みを活かすべく、「実際の購入者のみ投稿できる」サイトにしたのです。今後、リアル店舗とどのような相乗効果を生み出していくのか、しばし注目したいところです。

リアルの次はネットのライバルを狙え!

 「価格.comに対抗できるサイトを作りたい!」。家電量販大手の株式会社ヤマダ電機の社内で、そんな話が盛り上がったのは、2010年の夏頃のことだそうです。2005年には47都道府県のすべてに店舗を展開し、専門量販店で初となるナショナルチェーンを実現した同社は、さらに大都市部への「LABI」出店に続き、小商圏型店舗の展開も積極的に行ない、地域密着のフランチャイズ店舗と合わせると、今や全国に2,700を超える店舗を構えるまでになりました。
 「リアルの次はネットの覇者に!」とばかり、自社で家電の口コミ情報サイトの企画を始めたわけですが、それから約1年半の歳月を投じ、2012年2月にリリースされたのが『 P! Ch! Ku Park (ピーチクパーク)』です。なかなかユニークなネーミングですよね(*^_^*) リリース後、約2ヵ月で25万件超の投稿を集めたそうですから、まずまずの出足と言えるのではないでしょうか。

「購入者限定」の書き込みでサイトの信憑性を高める

 『P! Ch! Ku Park(ピーチクパーク)』の何よりの特徴は、投稿者を自社の顧客に限定している点です。同社は、購入から2週間後に口コミ投稿をお願いするメールを送信するしくみを構築しています。そして、投稿してくれた人には、最大30ポイントを付与するという特典もつけました。
 このサイトでは、「デザイン」「機能性」「操作性」「サイズ」の4項目を5つ星で評価してもらうほか、コメントも自由に書き込めるようになっているのですが、購入店舗や購入日を記入するようになっている点はさすがです。最近「口コミサイト」には、“やらせ疑惑”の問題がついてまわりますが、投稿者を「実際の購入者」に限定し、さらに購入店舗や購入日まで明記してもらうことで、グッとその信憑性は高まりますよね。なかなか賢い視点だと思います(*^^)v
やはり、サイトの信憑性に関しては、ネットオンリーの企業は、リアル店舗を持っている企業にかないませんよね。自社の強みをよくわかった上での戦略と、言えるのではないでしょうか。

口コミ情報サイトが接客スタッフの力量をも補完する!?

 さらに狙ったのは「売り場との連動」です。同サイトは、パソコンはもちろん、携帯電話やスマートフォンからも手軽に閲覧できるようになっているのですが、店頭に展示されている商品の値札には「QRコード」が付いていて、来店者が携帯電話でそれを読み取ると、同サイト上でのユーザーの評判をその場で確認できるのです(@_@。 今ドキの消費者心理を上手に汲んだ、かなり賢いしかけだと思います。
 同社が意識しているかどうかはわかりませんが、じつはこのしかけが、売り場の接客スタッフの力量をも補完することになるはずです。消費者たちの間では、買い物をする前に「実際のユーザーのレビューを参考にする」のが、今や常識となっているからです。当日接客してくれたスタッフの商品知識が多少乏しくとも、同サイトを使って、カテゴリーごとのランキングや各アイテムのレビューをその場で確認できたなら、大した問題にはならないと思います。いや、むしろそのほうが、客観的な判断ができるかもしれませんね。
こんなふうに、リアルな店舗網を持った会社がネットを味方に付けたら、ネットオンリーの店舗は、もう安売りに走るしかありません(>_<)。 ネットとリアルの相乗効果がどう出るか…同社の今後の展開に、しばし注目していきましょう(@^^)/~~~

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