【飲食店開業M&A 第6弾】プラットフォーム型M&A仲介サービスとは

事業計画

執筆者: 萩原洋

普通、M&Aは多くのプロセスを経ながら進められますが、これら一連のプロセスには、高度な知識やノウハウが要求されます。ですからM&Aでは、ビジネス、ファイナンス(財務)、リーガル(法務)、 IT、人事などについて個別の専門的な知識、ノウハウをもったスタッフが必要になります。

過去に何度もM&Aを経験しているような大手企業では、効果的なM&Aを行うために、自社内でビジネス、ファイナンス(財務)、リーガル(法務)、 ITあるいは人事といった専門の部署を持っており、必要に応じて外部からさらに専門的な知識を持ったプロに依頼することが少なくありません。しかし、飲食店などの小規模事業では、資金面からの余裕もないため、自らの事業所内に専門スッタフを持つことは難しく、外部の専門家に依頼せざるを得ません。

飲食店をはじめ個人レベルのM&Aを仲介する事業者には、M&Aアドバイザーをはじめ、いろいろな事業者がいます。そして、このような事業者により、様々な M&Aサービスが提供されています。

こうしたサービスのひとつに「プラットフォーム型 M&A仲介サービス」というものがあります。この原型であるプラットフォーム型ビジネスは、2000年前後からのインターネットの進展とともに注目されるようになってきたビジネスモデルです。プラットフォーム型M&A仲介サービスは、このビジネスモデルをM&Aというカテゴリーに利用したものです。

プラットフォーム型M&A仲介サービスの解説をする前に、まず、プラットフォーム型ビジネスから見ておきましょう。

プラットフォーム型ビジネスとは

少々堅苦しくなってしまいますが、プラットフォーム型ビジネスの定義といったものを確認しておきます。

プラットフォーム型ビジネスとは、物やサービスを提供する側と、それらを使用・利用する側とが出会う、あるいはつなげる基盤(プラットフォーム)を提供することで成り立つビジネス」と定義されます。2000年前後のインターネットの急激な進展とともに成長したビジネスです。

その最大の特徴は、インターネットによる「ネットワーク効果」を最大限利用するものです。1人で1億稼ぐよりも、10人で10億以上稼ぐビジネスモデルともいわれています。1人で1億稼ぐ1回限りのビジネスチャンスに対して、プラットフォームといった場で多くのユーザー、消費者に出会うことで、その後も継続的な取引ができ、さらに成長することが可能になります。

こうしたネットワーク効果を利用した場を提供するものは以前からありました。豊洲市場、築地市場といった水産市場・食肉市場、あるいは証券取引所などがその典型です。多くの水産業者と仲卸業者が、市場という場で出会い、取引を行っています。そして、より多くの事業者が出会う市場はそのメリットも多く、また、影響力も大きなものになります。

こうしたビジネスを仮想の世界で実現したものが、プラットフォーム型ビジネスです。プラットフォームというバーチャルな場所で、多くの参加者が情報を媒介とする取引をすることで成り立つビジネスです。

このビジネスモデルで成功した企業としては、「アマゾン」、「アップル」などのグローバル企業があります。国内でも「楽天市場」などはその典型的なものです。このビジネスモデルをM&Aに利用したものが、プラットフォーム型M&A仲介サービスです。

「プラットフォーム型M&A仲介サービス」とは?

現在、我が国のM&Aは飲食店をはじめ、中小企業から個人店舗による買収が主流となっています。買収とは、「株式譲渡」、「事業譲渡」といったスキーム(手法)を使った、会社、事業あるいは店舗などの売買のことです。M&Aにおけるプラットフォーム型ビジネスとは、こうした会社や事業などを売却したい売手側企業情報と買収したい買手側企業情報を、M&Aプラットフォームを通して提供し、双方企業のマッチングを実現するものです。

一般的なM&Aでは、M&Aアドバイザーといった仲介会社が売手側企業・買手側企業とFA(ファイナンシャル・アドバイザー)契約を結び、売買案件を探しながら双方の間に入って交渉・契約などを支援するものです。

一方、このプラットフォーム型M&Aサービスの場合、売手側企業・買手側企業双方がM&A仲介会社を介さず、直接問い合わせ、売手側情報、買手側情報からマッチングを実施し、面談・交渉そして契約まで行うことが可能です。過去に何度か事業拡大や多角化などのため、M&Aによる買収を経験している会社であれば、仲介会社への高額な手数料・成功報酬を支払うことなくM&Aを行う、いわゆる「中抜き」することもできます。

また、M&Aアドバイザーなどの事業者も、自社の営業担当を使って全国くまなく売却案件を求めて営業を行う必要も減り、人件費、コスト削減効果も期待できます。

事実、大手のM&A仲介会社などでは、本来の仲介業務のほか、自社でプラットフォーム型M&A仲介サービス事業を立ち上げ、主に小規模事業から個人店舗を対象とした「スモールM&A」対応のプラットフォーム型 M&A仲介サービスを提供しています。

飲食店開業とプラットフォーム型 M&A仲介サービス

飲食店の開業、とりわけサラリーマンが脱サラして開業する場合、自己資金を貯め、調理技術をマスターし、出店場所と店舗物件を探し、設計・施工その他いろいろな業者との交渉と契約、そしてスッタフの募集とすべてを1人でやらなくてはなりません。

これでは時間もコストも労力もかかってしまうため、こうしたものを少しでも節約しようと「居抜き物件」を探したり、 M&Aアドバイザーに仲介を依頼したりします。

特に、 M&Aアドバイザーを利用すれば、時間と労力を節約しながら、すでに成功した飲食店を引き継ぐことも可能なため、多くの飲食チェーンや異業種の大手企業が事業の多角化や新規事業展開の一環として、M&Aによる飲食店の買収を行っています。こうした流れは「スモールM&A」という形で小規模事業者や個人レベルにまで波及することが予想されますから、これからの個人型飲食店開業のひとつのトレンドになるかもしれません。

ただ、 M&Aアドバイザーなどの仲介事業者に依頼すると、相当の額の手数料・報酬が発生してしまいます。その割に希望した飲食店舗を取得できるという保証はありません。しかし、プラットフォーム型の M&A仲介サービスを利用して売手側飲食店オーナーと買手側とが、プラットフォーム上で出会い、話合い・交渉の結果マッチングがうまくいけば、 M&A仲介事業者に依頼するよりも、コストを抑えながら納得する飲食店舗を手に入れることもできます。

プラットフォーム型 M&Aサービスを利用する場合の要点

プラットフォーム型 M&A仲介サービスを利用する場合の効果的な利用法としては、まず、「商工会・商工会議所」や「事業引き継ぎ支援センター」といった公的支援機関を使い、 M&Aについての相談・アドバイスを受けるとともに、プラットフォームを利用して案件探しを行います。その後、話合い・交渉などを経ながら、要所要所で認定支援機関、ドリームゲートアドバイザーといった高度な専門知識やノウハウを持った専門家に依頼して、 M&Aによる店舗売買契約を締結するといった流れがよいでしょう。

なお、飲食店に特化した M&Aプラットフォームは、ネットで検索すれば、有料・無料のいろいろな事業者が出てきます。事業者を選ぶ際のポイントは、コストよりも自分の考えている業態の店舗に強いのか、個人レベルの案件にも力を入れているのか、といったところです。そのためにも、3〜4社ほどの事業者に登録し案件情報を流してもらうのが理想的です。

さいごに

今後のM&Aによる飲食店の開業は、事業承継のための一手段として利用されることが予想されます。こうした飲食店の承継を目的としたM&Aは、「スモールM&A」などの小規模なものが多くなりますから、コストを節約できるこのプラットフォーム型M&A仲介サービスの需要は増えていくと思われます。

執筆者プロフィール:
ドリームゲートアドバイザー 萩原洋(有限会社銀河企画 特定行政書士)

外食FC立ち上げへの参画や自らも複数店舗の経営を行った後に独立。
フードビジネスコンサルタントとして20年のキャリアをもつ萩原アドバイザー。
飲食店等を長年経営し引退を考える経営者が、事業を他者に譲り渡す「事業承継M&A」に複数携わるなど、ゼロからの出店ではなく立地や顧客を引き継ぎながら経営を始めるという分野のご経験を豊富にお持ちのアドバイザーです。

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ドリームゲートアドバイザー萩原洋

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