起業アイデア 第9回 学習テーマ【創業スタッフの決め方】

事業計画

執筆者: ドリームゲート事務局

共同経営するなら、志は同じ、能力は別が鉄則

解説

【顧客は全国の個人商店。自社営業は無理】

個人商店用POSソフトの開発を考えた干野仙一さ んは,SEのBさんと共に会社を設立した。だが彼は「あと一人仲間が必要」と考え、その人材を見つけ出して経営に参加してもらう。それが功を奏し、干野 さんの会社は絶好調。さて、彼が求めた3人目の人物とはどんな人か? また、3人が仲間割れもせず、事業を成功させられたのはなぜか?

3 人目の Cさんは、大学卒業から13年間にわたって、あるチェーン店の本部に勤務していた人物だ。特に退職までの7年間は、加盟店の開発や獲得に従事してきた。ポ ス野さんはコンサル会社勤務当時、仕事先の商店街で、この Cさんと出会っていた。

「チェーン加盟を勧める現場にたまたま同席したんです。 狙う相手の選び方が鋭く、説得力もあり、何より熱心。大した男だと思いました」と干野さんは述懐する。

干野さんがCさんに何を期待した か、もうわかっただろうか。Bさんが完成させたPOSソフトの販売網構築を、Cさんに託したのだ。全国に広がる個人商店をターゲットにするのだから、自社 営業は無理。また、販売だけでなく、指導や保守の必要もある。それらを請け負ってくれる販売店や事業者を各地に確保すること。これができなければ、どんな にニーズを満たした製品でも普及は望めない。

【自らは、自らの得意分野で頑張る】

新 たなビジネスを提案し、相手にそれを賛同させる。Cさんのキャリアとセンスが、この目標の達成にうってつけだと干野さんは考えた。もっとも会社設立当初 は、自分自身で販売網構築に取り組もうと考えていたという。だが、「餅は餅屋」と考え直したのだ。

「自分は市場理解には自信がある。何しろ 全国の商店街を歩いてきたんですから。とは言っても、製品開発ができるわけじゃない。だから技術者であるBさんと組んだ。それを思い出した時、販売網構築 も、その道のプロに頑張ってもらうべきだと気づいたんです」

【一人一人がプロジェクト・リー ダー】

こうして、3人の共同経営が始まった。会社設立から1年半、干野さんは全国を飛び回って、製品の機能はもとより、価格やサービス などへのニーズを拾いまくった。Bさんはソフトを開発しながら、並行して周辺機器の開発も担当した。Cさんは販売店募集戦略を練り、契約書の基本内容から 販売促進支援策まで作り上げた。

3人の業務は別々だが、「この製品は売れるし、売れることが社会の役に立つ」という思いは共通していた。そ して、そのとおりの結果が表れた。

【動機が不純な共同経営は必ず失敗する】

こ こまでの説明で、3人がなぜ仲間割れを起こすこともなく、事業を成功させられたのか、おおよそわかったかもしれない。もちろん、意見を激しくぶつけ合う シーンは、何度もあっただろう。だが、3人のうち誰が欠けても、「今までになかった製品を世の中に広める」という目標に支障が出ることを、3人ともよくわ かっていたのだ。

一般的に、会社の立ち上げ当初からの共同経営は避けたほうがいいと言われる。確かに共同経営は、リーダー不在になったり、 反対にリーダーだらけになったりする危険性が高く、志半ばで空中分解するケースが多い。

なぜ、そんな事態が起きるのか。形式上の問題で見れ ば、事前に権限や責任、報酬、意思決定ルールなどの取り決めをちゃんとしない。または、決定までのプロセスで十分な論議をしないなどが考えられる。干野 さんたちは、無論、こうした点はクリアしていた。

しかし、より根本的な理由は、共同経営を選択した動機にあることが多い。創業に参加する人 数が多くなれば各人の金銭的な負担や業務上の負担が軽くなる。人数が多いほど、顧客を獲得しやすくなる。こういう動機で共同経営を選択した会社は、まず挫 折する。

共同経営は、自分にはない能力を持つ者同士が、共通の志や夢を持ち、なおかつ、その志や夢の実現のためには、その異なる能力がどう しても必要になる。そういうケースに限って選択すべき起業スタイルである。まさに干野さんたちのケースがそうだ。

 

今週のキーワード<専門能力>

誰に売るのか」に負けず劣らず、「誰と売るのか」も重要な検討事項だ。自分単独で始めるのがいいのか、仲間を集めるのがいいのか。その
判断は、事業を立ち上げるために不可欠な専門能力が何かによって決まる。その能力が自分だけで満たせるなら単独で、自分だけでは不足
するなら仲間を集める、と考えればわかりやすいだろう。

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