経営戦略 Vol.99 ワイン1本から預かる!? 寺田倉庫の新戦略が開拓した潜在的マーケット

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

 トランクルームの寺田倉庫が、ワインや美術品を最適な湿温度管理のもと「1つ」から預かってくれるサービスを開始したのをご存じでしょうか? その名も『テラダプレミアム』。この新戦略を私なりの視点で分析してみたのですが、サービスの「単位」を見直してマーケットを広げたことはもちろん“ある潜在的なマーケット”までをも巻き込んでいる点は見逃せません(*^^)v

ワインや美術品を「1つ」から預る新サービス

 アベノミクス効果なのか、このところ「高級品」の動きが良いようです。この夏の贈答品で高級なワインなどを頂き、その保管場所に困っている・・・なんて方はいらっしゃいませんか? じつはトランクルームを運営する寺田倉庫が、そんなあなたにピッタリなサービスを始めたのです。その中も『テラダプレミアム』。ワインや美術品を最適な湿温度管理のもと、1つから預かってくれるという画期的なサービスです。

これまでは、保管庫ごと貸し出すスタイルだったため、ワインが約50本入るセラーで月額5~6千円ほど、絵画などの美術品用としては30~40cm四方のロッカーで月額4400円、1.5m四方のスペースで約7万円という保管料だったようです。

今回あらためてその「単位」を見直して、1つから預かるようにしたわけですが、ワイン1本だと月額700円程度。25号サイズ(横70cm×高さ90cm)の絵画で月900円程度から預けられ、自分の好きな時に引き出せるのだとか。頂き物のワインを記念日に最高の状態で飲むためには、なんとも最適なサービスですよね(*^_^*)

商品の「量」や「単位」を見直してマーケットを広げる

 商品は、その「量」や「単位」を見直すと新たなマーケットが動き出す・・・というのはマーケティングの王道です。たとえば、今ではすっかり定番になっているお菓子の小分けなどもその一例です。その昔、煎餅といえば大きな袋にガサっと入っていたものですが、ある時それを小分けの内袋に入れ始めたメーカーがあったのです。すると、どうでしょう。これまでは、茶の間で食べるおやつにすぎなかった煎餅が、バス旅行やドライブのお供に変化した・・・つまり、マーケットがグッと広がったわけです。また、日本酒も同じで、これまでは一升瓶か四合瓶で買うしかなかったところ、かわいいガラスの器に入った「カップ酒」が登場して、女性や若者たちに裾野を広げていきました。

商品と同様、サービスの「単位」も見直してみる必要があります。今では「お一人様」もすっかり認知されましたが、焼肉もフレンチもカラオケも「一人」で入りやすくする店側の工夫で、マーケットを広げることができるのです(*^^)v

解約のわずらわしさから動き出す「つい忘れちゃう」マーケット

この『テラダプレミアム』にも、そういう要素が多分にありますが、と同時にビジネスモデルとして“なんとも賢い視点”が隠されていることにお気づきでしょうか? このサービスをちょっと斜めから眺めてみると、私が「つい忘れちゃうマーケット」と呼ぶところの、潜在的なマーケットと紐づいていることがわかります。え? 何のことかって?? たとえば、携帯電話付加サービスとか、月定額制のダウンロードサービスとか・・・じつは大して使ってないのに、百円単位の課金だと、ついついめんどうくさくて解約もせず、何年間も料金を支払っている・・・なんてことないですか?これが「つい忘れちゃうマーケット」です(笑)。

ワインも50本預けていればさすがに忘れることはないでしょうが、たった1本しか預けてない場合は、今年の結婚記念日に出しそびれ、そのままにしているうちに翌年も忘れてしまった・・・なんてことが起こるかもしれません。もちろん、同社があえてそれを狙っているわけではないでしょうが、今、携帯関連ビジネスが、このマーケットのおかげで潤っていることは否めない事実です。ぜひこのことを、知っておいてください。モノゴトはひとつの方向だけでなく、あらゆる角度から眺めてみることがとても大切で、それが私の提唱する「人称を上げる」ということでもあるのです。よかったら参考にしてください(@^^)/~~~

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