令和5年度、第10回事業再構築補助金の内容を解説

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

事業再構築補助金は、第9回公募が2023年3月24日で締め切られ、第10回公募が新年度(2023年4月以降)から始まります。この第10回事業再構築補助金について、現在までにわかっていることについてお知らせします。なお、記事中のデータは2023年3月現在のものです。

 

枠組みが変更になる「成長枠などを新設」

10回で大きく変わるのは、申請類型である枠です。事業再構築補助金の申請をするとき、申請者である事業者は、複数の枠から要件に合う枠を選ぶことになります。そして、第10回では複数の既存枠が廃止され、新たな枠がつくられています。 

10回で新設されるのは、成長枠、産業構造転換枠、サプライチェーン強靭化枠です。この三つの枠を含む、第10回事業再構築補助金の枠組みは以下のとおりです。

10回事業再構築補助金枠

  • 成長枠
  • 産業構造転換枠
  • サプライチェーン強靭化枠
  • 最低賃金枠
  • 物価高騰対策・回復再生応援枠
  • グリーン成長枠

また、第9回の枠は「通常枠」「大規模賃金引上枠」「回復・再生応援枠」「最低賃金枠」「グリーン成長枠」「緊急対策枠」でした。

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第10回の6つの枠の一覧表

10回の6つの枠の対象、補助上限、補助率を一覧表にしました。

類型(枠の名称)

対象

補助上限

補助率

成長枠

成長分野への大胆な事業再構築に取り組む事業者

最大7,000万円

12((大規模賃上げ達成で23)

産業構造転換枠

国内市場縮小などの構造的な課題に直面している業種・業態の事業者

最大7,000万円

23

サプライチェーン強靭化枠

海外で製造する部品などの国内回帰を進め、国内サプライチェーンの強靱化、及び地域産業の活性化に資する取り組みを行う事業者

最大5億円

12

最低賃金枠

最低賃金引上げの影響を受け、その原資の確保が困難な事業者

最大1,500万円

34

物価高騰対策・回復再生応援枠

業況が厳しい事業者や事業再生に取り組む事業者、原油価格・物価高騰などの影響を受ける事業者

最大 3,000万円

23(一部34)

グリーン成長枠

研究開発・技術開発や人材育成を行いながら、グリーン成長戦略「実行計画」14分野の課題の解決に資する取り組みを行う事業者

エントリー

最大8,000万円(中堅1億円)

 

スタンダード

1億円(中堅1.5億円)

12(大規模賃上げ達成で23)

参照)事業再構築補助金 令和4年度第二次補正予算の概要

第10回の7つのポイント

10回事業再構築補助金では、成長枠などの新設を含め7つのポイントがありますので、ひとつずつ解説します。

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1、成長枠の新設

成長枠の目的は、成長分野に向けた大胆な事業再構築に取り組む事業者を支援することです。成長枠の要件は以下の4項目です。なお要件12はすべての枠に共通です。

成長枠の要件

要件1(全枠共通)

事業計画を認定経営革新等支援機関や金融機関と策定し、一体となって事業再構築に取り組む

要件2(全枠共通)

補助事業終了後35年で付加価値額を年率平均3.05.0%以上増加させること、または従業員1人当たり付加価値額を年率平均3.05.0%以上増加させること

*成長枠の付加価値額は年率平均4.0%以上増加

要件3

取り組む事業が、過去~今後のいずれか10年間で、市場規模が10%以上拡大する業種・業態に属していること

要件4

事業終了後35年で給与支給総額を年率平均2%以上増加させること

「○%以上増加、拡大」という文言が多用され、成長させることが強調されています。ポイントは要件3の、取り組む事業になるでしょう。
成長枠で申請するには、申請者の事業の市場規模が10%以上拡大する業種・業態に属することが必要です。ただし、対象となる業種・業態については現状決定されていません。事務局は、対象について今後アナウンスするとしています。なお成長枠には売上高減少要件は含まれていません。

2、産業構造転換枠の新設

産業構造転換枠の目的は、産業構造の変化によって事業再構築が強く求められる業種・業態の事業者を重点的に支援することです。この枠の要件は以下のとおりです。なお要件12は先ほど紹介した、すべての枠に共通する要件の再掲になります。

産業構造転換枠の要件

要件1(全枠共通)

事業計画を認定経営革新等支援機関や金融機関と策定し、一体となって事業再構築に取り組む

要件2(全枠共通)

補助事業終了後35年で付加価値額を年率平均3.05.0%以上増加させること、または従業員1人当たり付加価値額を年率平均3.05.0%以上増加させること

*産業構造転換枠の付加価値額は年率平均4.0%以上増加

要件3

過去~今後のいずれか10年間で、市場規模が10%以上縮小する業種・業態に属していること

要件4

地域における基幹大企業が撤退することにより、市町村内総生産の10%以上が失われると見込まれる地域に属しており、当該基幹大企業との直接取引額が売上高の10%以上を占めること

「市場規模が10%以上縮小する業種・業態」や「地域における基幹大企業が撤退する」とあることから、きびしい環境下に置かれている事業者が対象になっていることがわかります。

なお市場規模が10%以上縮小する業種・業態については、業界団体が「10%以上縮小する要件を満たす」と示し、それが指定された場合に決まります。

3、サプライチェーン強靱化枠の新設

サプライチェーン強靱化枠の目的は、海外製造の国内回帰を進めることにあります。国としては国内サプライチェーンを強靭化させたい狙いがあります。また、補助金上限額は、最大の5億円となっています。

サプライチェーン強靱化枠の要件

要件1(全枠共通)

事業計画を認定経営革新等支援機関や金融機関と策定し、一体となって事業再構築に取り組む

要件2(全枠共通)

補助事業終了後35年で付加価値額を年率平均3.05.0%以上増加させること、または従業員1人当たり付加価値額を年率平均3.05.0%以上増加させること

*サプライチェーン強靱化枠の付加価値額は年率平均5.0%以上増加

要件3

生産拠点を国内回帰する事業であること

要件4

取引先から国内での生産または増産の要請があること

要件5

取り組む事業が、過去~今後のいずれか10年間で、市場規模が10%以上拡大する業種・業態に属していること

要件6

下記の要件をいずれも満たしていること

  • 経済産業省が公開するDX推進指標を活用し、自己診断を実施し、結果を独立行政法人情報処理推進機構((PA)に対して提出していること
  • IPAが実施する「SECURITY ACTION」の「★★ 二つ星」の宣言を行っていること

要件7

下記の要件をいずれも満たしていること

  • 交付決定時点で、設備投資する事業場内最低賃金が地域別最低賃金より30円以上高いこと。ただし、新規立地の場合は、当該新事業場内最低賃金が地域別最低賃金より30円以上高くなる雇用計画を示すこと
  • 事業終了後、事業年度から35年の事業計画期間終了までの間に給与支給総額を年率2%以上増加させる取組であること

要件8

「パートナーシップ構築宣言」ポータルサイトにて、宣言を公表していること

ポイントは要件345になります。生産拠点を国内に回帰させるだけでなく、取引先から生産・増産要請があり、市場規模が10%以上拡大する業種・業態でなければなりません。対象となる業種・業態は、今後事務局からアナウンスがあります。

4、グリーン成長枠の拡充

グリーン成長枠は以前から存在しましたが、第10回で一部の要件が緩和されています。要件を緩和し、創設されたのがグリーン成長枠エントリーと、グリーン成長枠スタンダードです。グリーン成長枠スタンダードは、エントリーよりも要件がきびしくなっています。ふたつの要件は以下のとおりです。両者の違いを【 】で囲いました。

グリーン成長枠エントリーの要件

要件1(全枠共通)

事業計画を認定経営革新等支援機関や金融機関と策定し、一体となって事業再構築に取り組む

要件2(全枠共通)

補助事業終了後35年で付加価値額を年率平均3.05.0%以上増加させること、または従業員1人当たり付加価値額を年率平均3.05.0%以上増加させること

*グリーン成長枠【エントリーの付加価値額は年率平均4.0%】以上増加

要件3

グリーン成長戦略「実行計画」14分野に掲げられた課題の解決に資する取組として記載があるものに該当し、その取組に関連する【1年】以上の研究開発・技術開発、または従業員の【5%】以上に対する年間20時間以上の人材育成をあわせて行うこと

要件4

事業終了後35年で給与支給総額を年率平均2%以上増加させること

グリーン成長枠スタンダードの要件

要件1(全枠共通)

事業計画を認定経営革新等支援機関や金融機関と策定し、一体となって事業再構築に取り組む

要件2(全枠共通)

補助事業終了後35年で付加価値額を年率平均3.05.0%以上増加させること、または従業員1人当たり付加価値額を年率平均3.05.0%以上増加させること

*グリーン成長枠【スタンダードの付加価値額は年率平均5.0%】以上増加

要件3

グリーン成長戦略「実行計画」14分野に掲げられた課題の解決に資する取組として記載があるものに該当し、その取組に関連する【2年】以上の研究開発・技術開発、または従業員の【10%】以上に対する年間20時間以上の人材育成をあわせて行うこと

要件4

事業終了後35年で給与支給総額を年率平均2%以上増加させること

5、大幅賃上げと事業規模拡大にインセンティブを設定する

上記で紹介した成長枠とグリーン成長枠では、一定条件をクリアすると補助金の額を上乗せしたり、補助率を上げたりする措置がおこなわれます。補助金の上乗せといったインセンティブを設定することで、事業者に大幅賃上げや事業規模拡大を促す狙いがあります。

大規模賃金引上促進枠(補助金の上乗せ)

以下のふたつの要件を満たすと、補助金額3,000万円が上乗せされます。補助率は中小企業12、中堅企業13

  • 成長枠、またはグリーン成長枠の補助事業の終了後35年の間に、事業場内最低賃金を年額45円以上引き上げること
  • 成長枠、またはグリーン成長枠の補助事業の終了後35年の間に、従業員数を年率平均1.5%以上増やすこと

補助率を引き上げる

以下のふたつの項目を達成した場合、成長枠、またはグリーン成長枠の補助率を中小企業は23、中堅企業は12に引き上げます。

  • 給与支給総額を年平均6%以上増やすこと
  • 事業場内最低賃金を年額45円以上引き上げること

 また、成長枠、グリーン成長枠、サプライチェーン強靭化枠においては、加点措置が存在します。事業終了後35年で、給与支給総額年率平均3%~5%以上増加させた事業者を対象に、上げ幅に応じた加点をおこないます。

6、業況がきびしい事業者への支援

9回公募にあった回復・再生応援枠は、今回の第10回公募では名称が変わり、物価高騰対策・回復再生応援枠となっています。名称変更の背景には、コロナ禍や物価高騰などで依然として業況がきびしい事業者の存在があります。物価高騰対策・回復再生応援枠(10)の要件は以下のとおりです。

物価高騰対策・回復再生応援枠の要件

要件1(全枠共通)

事業計画を認定経営革新等支援機関や金融機関と策定し、一体となって事業再構築に取り組む

要件2(全枠共通)

補助事業終了後35年で付加価値額を年率平均3.05.0%以上増加させること、または従業員1人当たり付加価値額を年率平均3.05.0%以上増加させること

*物価高騰対策・回復再生応援枠の付加価値額は年率平均3.0%以上増加

要件3

20221月以降の連続する6か月間のうち、任意の3カ月の合計売上高が、20192021年と比較して10%以上減少していること

要件4

中小企業活性化協議会などから支援を受け、再生計画等を策定していること

7、一部の枠は複数回の採択(申請)を可能とした

事業再構築補助金の採択は原則、1事業者につき1回です。しかし、一部の枠では複数採択も可能となっています。その例外ルールは以下のとおりです。

  • グリーン成長枠以外で1度目の採択を受けた事業者は、第10回以降、グリーン成長枠、または産業構造転換枠、またはサプライチェーン強靭化枠で申請できる
  • グリーン成長枠で1度目の採択を受けた事業者は、サプライチェーン強靭化枠で申請できる

第10回公募も申請に関する相談はドリームゲートへ

事業再構築補助金の目的は、「思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業などの挑戦を支援することで、日本経済の構造転換を促すこと」にあります。「思い切って事業を再構築したい」と思い立ったら、ドリームゲートの専門家にご相談ください。

ドリームゲートの「事業再構築補助金 認定支援機関さがせる窓口」なら、採択率90%の実績をほこる方や、元・補助金審査員など、優秀なパートナーのなかから認定支援機関を探すことができます。

申請を予定している方はご相談ください。

 

執筆者プロフィール:ドリームゲート事務局

ドリームゲートは経済産業省の後援を受けて2003年4月に発足した日本最大級の起業支援プラットフォームです。
運営:株式会社プロジェクトニッポン
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