起業時に補助金を得る審査書類の書き方5つのポイント

資金調達

執筆者: 赤星 宏一

起業する上で、補助金を活用することは、金銭面の安心と成長のお墨付きを得るための必要な戦略です。
起業時に必要な資金は、日本政策金融公庫や金融機関からの借り入れが多いでしょう。
しかし、資金調達と併せて「企業価値向上」を強力に進めてくれる「補助金」の活用があまりされていません。
せっかくなので、低リスクで高リターンの期待ができる補助金を起業時に活用されてはいかがでしょうか?
補助金があまり活用されていない理由は3つあります。

1つは、「申請書類の書き方」が面倒
2つめは、「採択後の完了報告までの事務処理」が面倒
3つめは、「補助金を知らない」

です。
本コラムでは、「申請書類の書き方」が面倒で活用できていない方々向けに、申請書類の書き方のコツを記載しています。
助成金は、「要件」を満たせば給付されます。しかし補助金は「審査で採択される」必要があります。そもそも補助金は、競争もあり補助金の目的に応じた書き方が採択に重要となっております。
どんな補助金申請でも、申請が通りやすい書き方はあるのでしょうか?

補助金は経営戦略の一つであるアピールをすること

補助金を採択すれば、信用力のアップになります。

また、初期投資は最小限で済みます。

つまり、低リスクで経営力の向上につながります。

そのため、補助金の申請・採択は経営戦略の一つと考えてもいいのです。

では、「経営戦略」であることをアピールするとなぜ、採択されやすいか?

それは、補助金の目的があるからです。

補助金ごとに何らかの政策目的があります。

その「政策目的」にあう企業戦略であるかの確認が重要です。

例えば、「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(以下、もの補助)」では、「生産性向上や地域経済への波及効果拡大に資する革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援するもの」とあります。

具体的には、審査項目にある「政策面」に書いています。

① 厳しい内外環境の中にあって新たな活路を見出す企業として、他の企業のモデルとなるとともに、国の方針(「経済の好循環実現に向けた政労使の取組について」において示さ れた賃金上昇に資する取組みであるか等)と整合性を持ち、地域経済と雇用の支援につな がることが期待できる計画であるか。

② 中小企業・小規模事業者の競争力強化につながる経営資源の蓄積(例えば、生産設備の 改修・増強による能力強化)につながるものであるか。

上記共通のキーワードが、「持続可能な発展が期待できる事業」です。

もの補助では、雇用、経済発展が期待できる「経営戦略」を示すことが採択への第一歩なのです。

補助金の種類ごとの評価の違いで書き方は異なる

各補助金の狙いによって、評価は異なります。まずは、「違い」を知ることが書き方の第一歩です。

主な補助金を一覧にしました。

補助金名 目的 評価 書き方(一例)
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 持続可能な発展が期待できる事業の支援 ①革新性
②収益性
③生産性向上
①今までにない新しい取り組み
②リードタイム短縮、省人・省力化、生産効率向上
③稼ぎ続ける力(5年計画付加価値額年率3%)
戦略的基盤技術高度化支援事業 ものづくり基盤技術の向上する製品化につながる可能性の高い(1つ)
①研究開発
②試作品開発
③販路開拓への取組
への支援
①革新性
②妥当性(技術・事業面)
③効果(産業政策・嘲笑企業政策との整合性含む)
①今までにない新しい取り組み
②川下企業の課題解決・実現性(開発面・事業化面)・販売戦略・知財戦略など
③関連産業への経済的効果・業界全体の課題解決
IT導入補助金 生産性向上の実現を図ること ①生産性向上 ①課題・ニーズに対応するITツール(ソフトウエア・サービス等)の導入(事業の目的と導入ツール)。
地域創造的企業補助金(創業補助金) 起業による新たな雇用創出・創造によって国の経済を活性化すること 事業計画の
①独創性
②優位性
③採算性
①地域「初」の商品やサービスの提供といった独創性
②既存品・他社品に比べて構造や機能、体制等についての優位性
③採算の取れる市場規模が見込める事業

そのほかには、

  • 小規模事業者持続化補助金
  • 事業承継補助金

等もあります。

各補助金の目的をまずは調べて、理解しましょう。目的に沿った申請書でなければ、採択はされません。

補助金申請書は、わかりやすさで審査の負担を減らす工夫をする

目的に沿った内容が決まれば、次は実際の書き方です。
審査書類は、その分野の有識者・専門家などが個別審査・グループ審査・審査会等で評価し判断します。
ポイントは、その審査員に「わかりやすい」ことです。

  1. 申請した補助事業の「目的」は、本補助事業の目的と合っていることが明白
  2. 自社の課題を「補助金の目的」視点で観察している。
  3. 目的の背景から、課題が導かれ「解決すべき問題」が具体的であること。
  4. 強みと弱みが示され、強みを活かすのか弱みを強化するのかが明白
  5. 市場分析は、優位性が見込めかつ、中長期な視点であり根拠を添えているか?
  6. 図表、写真を駆使して、「分かりやすさ」に配慮しているか?
  7. 目的と解決策がムリなくストーリー性がずれていないか?

が「審査員の負担を減らす工夫」の主な書き方になります。
特に、6項は重要です。文字ばかりの申請書は、見てもらいにくいだけではなく、「理解されにくい」のです。

もの補助などにある技術面は特に専門性が高く、その道の専門家でも理解に時間がかかります。そのため、審査時間がかかる申請書については、「読み込み不足」というリスクが発生します。

せっかく良いことが書かれていても、理解されずに不採択になります。審査員のせいではなく、読み手への配慮がない=信頼がない、という判断です。

補助金採択後の価値向上が認められやすい書き方

国や地方自治体が考える補助金の目的は、「持続可能な企業をつくる」ことです。そのため、この補助金を使い、持続可能になるきっかけを目指してほしいのです。

審査のポイントは、わかりやすさと価値向上なのです。一過性の改善ではなく、この申請を採択されたのちには、企業価値がアップし更なる発展が望まれています。

例えば新規性があっても、市場のニーズに沿わないものや自社の強みが活かせていないものでは、この価値は低く見積もられます。そのため、やろうとしていることの内外環境を把握(よくあるSWOT分析)して、価値があることを示さなければなりません。

外部環境とは、政治動向、経済・景気、社会動向、技術動向、業界環境の変化や顧客ニーズ等のことで、自社の努力で変えられない環境のことです。

これらを、機会(O)と脅威(T)に分けていきます。内部環境は、自社でコントロールできる環境のことです。自社の強み(S)と弱み(W)のことです。
自社のビジネス拡大に向けた戦略策定のためのSWOT分析をします。

まずは、価値向上を目指した仮説を立てます。今の時点では、5年後なんて分かりません。だから仮設なのです。仮説がなければ、SWOT分析もできません。仮説についての内外環境を分析するからです。

例えば、ものづくり企業で、金型製作が20年の経験と実績があり強みとなるのであれば、「3Dプリンティングで金型生産を1/2にする」といった仮説が立てられます。

この仮説を元に、不足しているリソース(設備等)を洗い出し、技術的な課題を設定すればいいのです。

SWOT分析については詳しく書きませんが、まずは外部を知ってからそれに必要な内部環境は何かを考えてください。

外部に必要とされなければ、「価値向上」が見込めないと判断されるからです。

起業・事業の成功や価値向上に向けて補助金の活用を

補助金というのは、国や地方自治体から交付されるお金(税金)です。

原則として返済の必要はありません。

ただし補助金の交付を受けて取り組んだ事業に利益が出たとき、国に返却する必要もあります(収益納付)。

そのため、金融機関からの融資のように、必ず返済が求められません。

しかし、価値向上すれば返却します。

価値向上すれば、補助金の返金ぐらいは無担保・ゼロ金利で融資されたこと以上に価値があります。

国の政策目的に合致する取り組みであれば、補助金申請は初期投資を押さえた低リスクな取り組みです。

書き方さえ理解して、後は申請し実行報告すればいいのです。

実行報告については、事務作業の複雑さはりますが、ここでは「まず申請」について述べてきました。

補助金は、単なる融資ではなく、採択後の「信頼」へつながります。

それは、あなたの事業を成功に導いてくれることも意味しています。

「分かりやすさ」と「価値向上」を考えた申請書で、補助金申請にチャレンジしてください。

執筆者プロフィール:
ドリームゲートアドバイザー 赤星 宏一(赤星宏一技術士事務所)

モノづくりのスペシャリストとして、30%生産性向上を実現。 2018年7月には、赤星宏一技術士事務所を開所。 現在、経験を活かしたモノづくり企業の技術力向上を支援(生産改革・商品開発・5S人財育成等)を行いつつ、モノづくり補助金審査を行う。「国語力+技術力」を強みに、刺さる審査書類の書き方を教えます。

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