借換融資を検討するタイミングとは? 返済負担を見直すポイントと注意点を解説

この記事は2026/09/24に専門家 上野 光夫 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

事業を続けていると、売上は確保できているのに、借入金の返済が重く、手元に資金が残らないという状況が起こります。こうしたときに検討したいのが借換融資です。借換えは「返済できなくなった人が最後に使うもの」と考えられがちですが、本来は資金繰りに余力がある段階で返済計画を組み直すための選択肢でもあります。

当記事では、借換融資を検討するタイミング、メリットや注意点、相談前に準備したい資料、失敗しない判断ポイントをわかりやすく解説します。

この記事の監修者
上野 光夫(うえの みつお)
(株)エムエムコンサルティング/ 資金調達コーディネーターⓇ/中小企業診断士
元日本政策金融公庫の融資課長として5000名以上の起業家を支援した上野アドバイザー。現在は、資金調達の専門家として活躍されております。融資を検討されている方はぜひご相談ください。著書「事業計画書は1枚にまとめなさい」「起業は1冊のノートから始めなさい」など。
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- 目次 -

1.借換融資とは?

借換融資とは、現在の借入れを新しい融資で返済し、返済期間や毎月の返済額、金利、借入先などを見直す方法です。複数の借入れを新たな融資でまとめ、返済を一本化するケースもあります。

日本政策金融公庫でも、返済途中の新たな借入申込みが可能です。セーフティネット貸付などを利用して日本公庫の借入残高を一本化する「おまとめ融資」を取り扱っています。

情報出典:日本政策金融公庫「個人・小規模企業の方 よくあるご質問」

https://www.jfc.go.jp/n/faq/jigyoqj_m.html

1)借換融資は既存借入を組み直す方法

借換えの基本は、今ある借入れを新しい借入れで返済し、条件を組み直すことです。単に新しいお金を借りるのではなく、「今後も無理なく返済できる形」に整える点が重要です。

2)借換えと追加融資はちがう

追加融資は、設備投資や仕入れなど新たな資金を調達することが目的です。一方、借換えは既存借入の返済条件を見直すことが中心になります。「資金を増やしたい」のか「返済負担を軽くしたい」のかを明確にしましょう。

3)借換えとリスケのちがい

リスケジュール(リスケ)とは、返済期間の延長や元金返済猶予など、金融機関との間における返済条件を変更することです。借換えは新たな融資で既存借入を組み替える点が異なり、どちらが適切かは業績や資金繰りで判断します。

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2.借換融資を検討すべきタイミング

借換えは「返済できなくなってから」ではなく、資金繰りに不安を感じはじめた段階で検討することが重要です。日本政策金融公庫では、返済途中でも新たな借入申込みができるため、資金が必要になった時点で相談できます。

情報出典:日本政策金融公庫「よくあるご質問」

https://www.jfc.go.jp/n/faq/jigyoqj_m.html

1)毎月の返済額が資金繰りを圧迫しているとき

売上はあるのに、返済後の手元資金がほとんど残らない場合には注意が必要です。この場合、返済期間の見直しで月々の負担をおさえられる可能性があります。「今月は払える」と先送りせず、数カ月先まで資金が回るか確認しましょう。

2)複数の借入れがあり返済管理が複雑になっているとき

借入先ごとに返済日や金利、残高が異なると、資金繰りを把握しにくくなります。複数の借入れを一本化できれば、返済管理を簡素化できる可能性があります。

3)売上減少やコスト増で今後の返済に不安があるとき

原材料費や人件費が上昇したり、主要取引先の発注が減ったりすると、将来の資金繰りがきびしくなることがあります。日本政策金融公庫には、外的要因によって一時的に業況が悪化した事業者を対象とするセーフティネット貸付もあります。

3.借換融資のメリット

借換えのメリットは、毎月の返済額を下げるだけではありません。返済負担を見直し、事業に必要な資金を手元に残して経営を安定させる時間をつくる点にも意味があります。金融機関でも中小企業の資金繰り相談を受けつけており、複数の資金調達方法を案内しています。

情報出典:みずほ銀行「中小企業資金繰り相談窓口について」

https://www.mizuhobank.co.jp/corporate/oshirase/finance/index.html

1)毎月の返済額をおさえられる可能性がある

返済期間を長くすることで、毎月の元金返済額をおさえられる場合があります。短期間で大きな金額を返す計画から、より長い期間で返す計画に組み直せば、月々の資金流出を小さくできる可能性があります。ただし、返済期間を延ばすことが必ずしも有利とは限らないため、総返済額との比較が欠かせません。

2)資金繰りに余裕を作れる

毎月の返済負担が軽くなれば、仕入れや人件費、広告費、納税など、事業を継続するための支出に資金を回しやすくなります。資金不足を理由に必要な支払いができなくなるリスクをおさえるうえでも、返済負担の見直しは重要です。

3)借入管理を整理できる

複数の借入れを一本化できれば、返済日や残高をまとめて管理できます。借入状況がシンプルになれば、今後の資金繰りを考える際にも数字を把握しやすくなります。

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4.借換融資の注意点

借換えは資金繰り改善に役立つ一方、「月々の返済額が下がれば成功」と考えるのは危険です。返済期間を延ばせば利息を含めた総返済額が増えることがあります。

また、借換えは新しい融資であるため、希望どおりに実行されるとは限りません。金融機関に相談するときは、現在の数字だけでなく、借換後にどう事業を続け、返済していくのかまで説明できるよう準備しましょう。

情報出典:みずほ銀行「金融円滑化への取り組みについて」

https://www.mizuhobank.co.jp/company/activity/finance/index.html

1)返済期間を延ばすと総返済額が増える場合がある

返済期間を延ばすと、利息負担が増える可能性があります。「月々いくらになるか」だけでなく、総返済額も確認しましょう。借換前後で毎月の返済額や返済期間、金利、総返済額を比較し、資金繰りとコストの両面から判断してください。

2)必ず借換えできるとは限らない

借換融資にも審査があります。売上や利益、既存借入の返済状況、資金繰り、今後の事業見通しなどを踏まえて判断されるため、「返済が苦しい」だけでは不十分です。日本政策金融公庫の制度でも、審査の結果、希望に沿えない場合があると明記されています。

3)借換だけでは根本的解決にならない場合がある

「赤字が長期化している」「売上減少が続いている」「固定費が高すぎる」といった問題が残っていれば、借換えをしても再び資金繰りが悪化する可能性があります。その場合は、借入条件の見直しと並行して、価格設定や販路、固定費、人員配置など事業そのものの改善を考えなければなりません。借換えは、問題を直接解決する手段ではなく、根本的な経営改善の時間を確保するための手段です。

5.借換融資を相談する前に準備すべき資料

金融機関に相談する前には、「現在」と「これから」を数字で整理しておくことが重要です。資料が整っていれば、返済負担の原因や必要な条件も伝えやすくなります。日本政策金融公庫も、事業の状況を確認できる資料や計画書などを用意することを案内しています。

情報出典:日本政策金融公庫「個人・小規模企業の方 よくあるご質問」

https://www.jfc.go.jp/n/faq/jigyoqj_m.html

1)借入一覧表

まず、すべての借入れを一覧にします。借入先や現在の残高、金利、当初の借入額、返済期間、毎月の返済額、返済日、保証の有無などを整理すると、どの借入れが資金繰りを圧迫しているのか見えてきます。複数の借入れがある場合は、金融機関ごとに別々に管理するのではなく、1枚の表にまとめるのがポイントです。

2)資金繰り表

次に、今後6カ月から1年程度の資金繰りを確認します。売上の入金時期や仕入、外注費の支払い、人件費、税金、社会保険料、借入返済などを月ごとに並べ、「いつ資金が不足する可能性があるか」を把握しましょう。

3)直近の決算書・試算表

法人は決算書、個人事業主であれば確定申告書や収支資料、直近の試算表などを準備します。赤字なら「原因」「一時的かどうか」「改善策」まで説明できるようにし、結果だけでなく改善可能性を示しましょう。

4)今後の事業計画

借換後にどのように返済を続けるのかを説明するため、今後の売上や利益、必要経費、投資計画などを整理します。事業計画は金融機関への説明資料であると同時に、経営者自身が借換後の資金繰りを確認するための道具です。

6.借換融資で失敗しないための判断ポイント

借換えでは、「苦しいから借りる」のではなく、「今後も返済を続けられる形に組み直す」という視点が大切です。金融機関へ相談する際も、事業の現状や資金繰り、改善策を一体として示すと、相談の土台を作りやすくなります。金融機関では、資金繰りについて幅広い調達方法を含めた相談を受け付けています。

情報出典:日本政策金融公庫「よくあるご質問」、みずほ銀行「中小企業資金繰り相談窓口について」

1)資金が尽きる前に相談する

避けたいのは、預金残高がほとんどなくなってから相談することです。余裕があれば、借換えだけでなく追加融資や条件変更、経費削減などを比較できます。「返済の負担が重い」と感じた時点で借入状況を整理し、早めに金融機関や専門家へ相談しましょう。

2)毎月の返済額だけで判断しない

月々の返済額が下がっても、返済期間が延びて総返済額が増えるのなら、必ずしも有利とはいえません。毎月の返済額や総返済額、金利、返済期間をセットで比較し、その条件が現在の利益計画に合っているか確認してください。

3)借換後の資金繰りをシミュレーションする

借換後の返済額を資金繰り表に反映し、資金が残るか確認します。売上下振れや経費上昇も試算しておきましょう。借換えの目的は融資を成立させることではなく、その後の事業を安定して続けることだからです。

4)上野光夫氏の動画で確認したいポイント

借換融資を単なる資金繰りの場当たり的な穴埋めにするのではなく、将来にわたって返済を継続できる形に再構築するためには、現状の財務状態と今後の計画を事業計画書として客観的に整理することが欠かせません。

ここで参考になるのが、元・日本政策金融公庫職員で資金調達のスペシャリストである上野光夫氏の動画「事業計画書を作成する目的とは」です。

上野氏は動画のなかで、事業計画書を作成する目的には「自分の頭のなかを整理し認識を深める目的」と「金融機関など第三者に説明して評価を得る目的」の2つがあると解説しています。借換融資の相談においても、自社の返済計画を自ら把握したうえで、金融機関に対して客観的な根拠をもって提示できる計画書に落とし込む作業が審査の成否を分ける大きな鍵となります。

7.よくある質問

ここでは、よくある疑問を整理します。

1)借換融資はいつ相談すべきですか?

返済が遅れる前、資金繰りに不安が出はじめた段階で相談するのが望ましいでしょう。日本政策金融公庫では、返済途中でも新たな借入申込みが可能となります。「来月の返済ができない」という段階まで待つのではなく、数カ月先の資金繰りを見て早めに動くことがポイントです。

2)赤字でも借換融資はできますか?

赤字だからといって可能性が完全になくなるとは限りません。ただし、「赤字の原因が何なのか」「一時的なものなのか」「どのような改善策を実行するのか」「借換後にどう返済するのか」などを説明する必要があります。制度によって対象要件も異なるため、個別の条件を確認しながら金融機関へ相談してください。

3)借換えとリスケはどちらがよいですか?

通常、借換えは金融機関からの信用度(格付)が下がることはありません。しかし、リスケの場合は信用度が下がりその後の融資が難しくなる可能性が高いというデメリットがあります。金融機関からみて、返済を継続できる見込みがあり、新しい融資によって返済条件を組み直す余地があるなら借換えを検討できます。重要なのは、事業を継続しながら返済できる状態を作れるかどうかです。

8.ドリームゲートアドバイザーに相談する

借換えの判断では、借入一覧や資金繰り表、決算書、事業計画などを整理し、「どの条件なら返済を続けられるか」を考える必要があります。自社だけで判断するのが難しい場合は、資金調達や経営改善にくわしいドリームゲートアドバイザーへ無料相談する方法もあります。専門家に確認してもらえば、借換えだけでなく追加融資や条件変更なども比較しやすくなるため便利です。

1)上野 光夫(うえの みつお)

上野光夫氏は、日本政策金融公庫で長年勤務し、融資課長を務めた経験を持つ資金調達の専門家です。現在は資金調達、財務改善、銀行対応などについて中小企業経営者を支援しています。借換えや返済交渉を含め、金融機関からどのように見られるかを踏まえて相談したい方に向いています。

メール相談はこちら: https://www.dreamgate.gr.jp/consul/pro/mmconsulting

2)佐藤 達也(さとう たつや)

佐藤達也氏は、資金調達や経営改善、財務領域を中心に支援する専門家です。借換えや資金繰りだけでなく、経営行動計画を含めて今後の改善策を考えたい場合に相談しやすいでしょう。

メール相談はこちら: https://profile.dreamgate.gr.jp/consul/pro/ikaduchi

9.まとめ|借換融資は資金繰りに余力があるうちに検討する

借換融資は、返済が苦しくなってから慌てて利用する「最後の手段」ではありません。毎月の返済額が重い、複数の借入管理が複雑、売上減少やコスト増で将来の返済に不安があるといった段階で、資金繰りを見直すための選択肢です。

ただし、月々の返済額が下がることだけを見て判断すると、総返済額が増えたり、問題を先送りしたりする可能性があります。借入一覧表や資金繰り表、決算書、今後の事業計画などを整理し、「借換後なら本当に返済を続けられるのか」を確認することが重要です。

資金が尽きてからでは選択肢が限られるため、少しでも不安を感じたら早めに金融機関や専門家へ相談しましょう。借換えを「返済計画を組み直す経営判断」と捉えることが、安定につながる第一歩となります。

執筆者プロフィール:ドリームゲート事務局

ドリームゲートは、経済産業省後援のもと2003年に誕生した日本最大級の起業支援プラットフォームです。起業アイデアの整理から事業計画書作成、資金調達・融資支援まで、実務経験豊富な専門家が起業家一人ひとりの課題に寄り添い、実現までをサポートします。(運営:株式会社プロジェクトニッポン)
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