創業融資の申込みを検討する際、金融機関に通帳の提出を求められるのではないかと不安を感じる方は多くいらっしゃいます。結論から申し上げますと、創業融資の審査では通帳を確認されることが一般的です。
しかし、金融機関は単に口座の残高だけを見ているわけではありません。自己資金の準備プロセスや日々の入出金履歴、各種支払いの履行状況、さらには資金管理に対する基本的な姿勢までを総合的にチェックしています。
そこで本記事では、審査で確認されるポイントと注意点などをわかりやすく解説いたします。
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- 目次 -
1.創業融資では通帳を見られるのか?
創業融資の審査において、金融機関が申込者の通帳や入出金履歴の確認を求めるケースは非常に多く存在します。これは、事業主が提示する自己資金の本当の出どころや、これまでの金銭管理の実態を客観的なデータとして把握するためです。
主要な融資先である日本政策金融公庫においても、創業計画書を通じて事業の概要や必要な資金調達方法、将来の見通しなどを整理し、客観的な根拠とともに説明することを求めています。
情報出典:日本政策金融公庫「創業計画書セルフチェック」「創業計画の書き方」
https://www.jfc.go.jp/n/finance/sougyou/sougyouselfchek/
1)通帳は自己資金を確認するための重要資料
創業融資において自己資金の存在は極めて重要な審査項目となります。通帳はその自己資金がどのように準備されてきたのかを証明するもっとも信頼性の高い書類として扱われます。
審査では単に申込み時点でまとまった残高が存在していればよいというわけではありません。毎月の給与収入や事業による収益から、計画的かつ継続的に積み立てられてきた資金であるのか、あるいは一時的な借入れなどによる見せかけの資金ではないのかというプロセスの正当性がきびしく確認されます。
2)残高だけでなく入出金の履歴も確認される
通帳の提出を求められた際、チェックされるのは最新の記帳残高だけにとどまりません。過去数カ月から数年間にわたる毎月の定期的な収入、生活費や娯楽費などの支出動向、貯蓄に回している金額の推移などが詳細に確認されます。
さらに、既存のローン返済や家賃、各種税金、公共料金といった定期的な支払いが遅延することなくおこなわれているかどうかも、過去の入出金履歴を通じて細かく審査されることになります。
3)通帳は「お金の管理姿勢」を示す資料でもある
金融機関に通帳を提出する意義は、単に所有している資産の額を証明することだけではありません。通帳の取引履歴は、事業主となる人物が日頃からどのような意識でお金を管理しているかという姿勢を物語る資料となります。
約束された期日までに支払いをしっかりと完了させているか、個人のプライベートな生活費と事業用の資金をしっかりと区別しているかなど、経営者としての誠実さや管理能力を推し量る指標として活用されます。
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2.創業融資で通帳のどこを見られるのか
金融機関の審査担当者は、提出された通帳の記載内容を分析することで、自己資金の真実性や、日々の資金の流れを詳細に把握しようと試みます。とくに創業計画書に記載された「必要な資金」や「調達の方法」と、じっさいの通帳に記録されている現金の動きとの間に矛盾が生じていないかという点は徹底的に照合されますので注意が必要です。
整合性の取れた計画であることを説明するためにも、具体的にどの項目がチェックされるのかを理解しておきましょう。
情報出典:日本政策金融公庫「創業計画の書き方」
https://www.jfc.go.jp/n/finance/sougyou/business-plan/
1)自己資金の貯め方
自己資金の評価においてもっとも高く評価されるのは、本人の給与収入や既存の事業収入から長期にわたってこつこつと計画的に貯蓄されたお金です。通帳に毎月一定額が積み立てられている形跡があれば、創業に向けた強い意志と高い資金管理能力があると判断されます。
一方で、融資の直前になって理由もなく一時的に大金が振り込まれたようなケースは、第三者から一時的に借りた資金ではないかと疑われ、自己資金として認められない可能性が高くなります。
2)急な大口入金
融資申込の直前や、過去の履歴のなかで、普段の収支規模とは見合わない大きな金額の入金が存在する場合、審査担当者から必ずその理由や原資について質問されます。
もし親族からの贈与、あるいは不動産や株式といった資産の売却によるものであれば、それを客観的に証明できる準備が必要です。具体的には贈与契約書や借用書、以前の口座からの振込履歴、売買契約書などの書類を整理し、いつでも提示できるようにしておくことが求められます。
3)税金・ローン・カードの支払い状況
通帳の履歴からは、事業主の信用力を測るために各種支払いが問題なくおこなわれているかが確認されます。住民税や所得税などの税金、住居の家賃、電気・ガス・水道といった公共料金、さらにはクレジットカードの引き落としや各種ローンの返済履歴などが対象です。
これらの引き落としにおいて残高不足による遅延や未払いが発生している場合、資金管理能力が著しく欠如しているとみなされ、融資審査において非常に不利な影響を及ぼすことになります。
4)生活費と事業資金の混在
個人事業主の開業準備においてよく見られる失敗が、個人のプライベートな生活費口座と開業準備のための事業用口座が一体化してしまっているケースです。同じ口座内で日常の買い物や個人的な支出と、店舗の契約金や機材の購入費が混ざり合っていると、資金の正確な使い道や、自己資金の本当の残高が分かりにくくなってしまいます。開業準備の初期段階から事業専用の口座を用意し、支出を明確に区別して整理しておくことが極めて重要です。
3.通帳でマイナス評価になりやすいケース
創業融資の審査においてマイナス評価を受けてしまう要因は、単に自己資金の額が少ないことだけではありません。「お金の出どころが不透明」と思われたり、将来的に融資をおこなったとしても返済が滞るリスクが高いと判断されたりするケースが存在します。
どのような状態が資金管理上の不安要素として認識されてしまうのかを具体的に把握し、事前に不適切な状態を解消しておくことが審査通過への第一歩となります。
情報出典:みずほ銀行「創業期の資金調達に備える 事業計画書の作成手順とポイント」
https://www.mizuhobank.co.jp/corporate/account/tips/topic_100.html
1)見せ金に見える入金がある
審査を優位に進めたいがために、融資の直前になって一時的に友人や知人などから口座にお金を振り込んでもらい、自己資金を多く見せかけようとする行為は「見せ金」と呼ばれます。金融機関はこれまでの平均的な預金残高や収支の傾向をきびしく確認するため、こうした不自然な大口入金はすぐに察知されてしまいますので注意が必要です。
見せ金と判断された場合、信用は失墜し、自己資金として評価されないばかりか審査じたいが否決となる原因になります。
2)支払い遅延が多い
クレジットカードの引き落としや家賃、公共料金、各種ローンの返済において過去に何度も遅延が発生している形跡が通帳に残っている場合、金融機関からの評価は著しく低下します。支払期日を守らない姿勢は、融資を実行した後の「返済約束を守らない可能性」へと直結して評価されるためです。
もし過去にやむを得ない事情で遅延が生じてしまった経験がある場合は、その明確な理由と現在はすでに改善されている旨を誠実かつ論理的に説明する必要があります。
3)自己資金の出どころが説明できない
通帳上に一定の残高が存在していたとしても、そのお金がどのような経緯で形成されたものかを自分自身の言葉や資料で説明できない場合は注意が必要です。タンス預金として自宅に保管していた現金を直前にまとめて入金した場合や、出どころの不明な現金振込が多数存在する場合、金融機関側は犯罪収益や不正な借入金を疑わざるを得ません。説明のつかない資金は、いくら口座にあっても自己資金として認定されないリスクが高まります。
4)開業資金と生活費の境目が曖昧
個人の日常的な生活費を開業準備資金から無計画に引き出していたり、逆に個人のプライベートな資金を場当たり的に事業費に充当していたりすると、資金繰りの不透明さが際立ってしまいます。
このように開業資金と生活費の境界線が曖昧な状態は、経営者としての財務管理能力に疑問符を付けられる要因となります。資金の使途が明確でないと、融資した資金が本来の事業目的以外に流用されるのではないかという不信感を抱かせる結果となりますので、ご注意ください。
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4.通帳を確認される前に準備すべきこと
融資の申込みをおこない、通帳を金融機関へ提出・確認される前の段階で、自分自身で過去の入出金記録をくまなくチェックしておく作業が不可欠です。面談の場になってはじめて金融機関から不審な点や不明な入出金について指摘され、回答に詰まってしまうような事態は絶対に避けなければなりません。
事前に通帳の内容を分析し、同時に作成する創業計画書との間に矛盾がない状態を作り上げておくことがスムーズな審査へとつながります。
情報出典:日本政策金融公庫「創業計画書セルフチェック」
https://www.jfc.go.jp/n/finance/sougyou/sougyouselfchek/
1)直近数カ月分の入出金を確認する
まずは提出予定の通帳について、直近数カ月から過去1~2年分程度の入出金明細を自分自身で入念に確認してください。毎月の定期的な収入と支出のバランス、現在の貯蓄スピード、過去にうっかり発生してしまった口座振替の遅延履歴、さらには一見して用途が分かりにくいような不明瞭な入出金がないかを事前にすべて洗い出します。面談時に金融機関からどの部分を質問されたとしても、その場で根拠を持って即座に説明できる状態を整えておきましょう。
2)大口入金の理由を整理する
給与以外のまとまった入金や大口の振込が存在する場合は、その資金がどのような性質のものであるかを第三者に証明するための裏付け資料をあらかじめ準備しておきます。
親族からの贈与であれば贈与契約書や贈与者の通帳コピーなどを準備します。退職金を充当するのであれば退職金支給決定通知書や源泉徴収票、生命保険の解約返戻金や不動産売却益であれば解約返戻金明細書や不動産売買契約書などを揃え、資金の出どころを完璧に証明できるようにします。
3)自己資金として説明できるお金を整理する
口座内にあるすべての現金がそのまま自己資金として認められるわけではないという前提に立ち、自己資金の区分けを厳密におこなう必要があります。自分自身でコツコツと貯めてきた純粋な預貯金、親族などから正式に贈与を受けた資金、返済義務のある借入金、さらには一時的に預かっているだけの資金などを明確に分離します。
金融機関に対して誇張することなく、正当に自己資金として主張できる金額がいくらであるのかを正しく把握しておくことが重要です。
4)開業準備費の支出を記録する
融資を申し込む前の段階であっても、店舗物件の仮契約費用や市場調査費用、設備や備品の購入代金、ホームページの作成費用など、すでに自己資金から支払っている開業準備費用が存在するケースは少なくありません。これらの支出については、領収書や納品書、契約書、振込控えなどを日付順に整理して保管しておきます。すでに事業のために支払った資金であることを証明できれば、それらも自己資金の使用実績として評価される場合があります。
5.通帳と創業計画書の整合性を取る
通帳の取引履歴は「過去から現在に至るお金の実績」であり、創業計画書に記載する数値は「これから事業で動かす未来のお金の計画」です。融資審査においては、この過去の実績と、未来の計画が一本の線で美しくつながり、相互に整合性が取れているかどうかがきびしく判定されます。
二つの資料の矛盾をなくすことで、計画全体の説得力が格段に高まり、金融機関に対して事業の実現可能性や返済能力を強くアピールすることが可能になります。
情報出典:みずほ銀行「事業計画書とは?主な記載項目と書き方のポイント」
https://www.mizuhobank.co.jp/corporate/account/tips/topic_09.html
1)自己資金欄と通帳残高を一致させる
もっとも基本的でありながらミスが発生しやすいのが、創業計画書の「調達の方法」に記載した自己資金額と、じっさいに提示する通帳の確認可能残高との不一致です。
計画書に記載した金額よりも通帳残高が少ない場合はもちろんのこと、逆に通帳残高の方が極端に多い場合であっても、説明がなければ金融機関側は不審感を抱きます。計画書上の自己資金と通帳に存在する準備資金の額を正確に一致させ、差額がある場合はその理由を明確に補足する必要があります。
2)必要資金と支払い予定を通帳から説明する
創業計画書に計上した「必要な資金」の各項目について、通帳の過去の履歴や、今後の支払い予定としっかりと結びつけて説明できるように準備が必要です。
すでに着手金や契約金として通帳から引き落とされた費用があるならば、その振込履歴と見積書を照合して証明します。また、これから支払う予定の資金についても、融資が実行された後にどの口座からどのようなスケジュールで決済されるのかを論理的に説明できるように準備しておくことが求められます。
3)通帳は「返済できる人か」を示す補助資料になる
金融機関が融資をおこなう際にもっとも懸念するのは、貸し付けた資金が将来的に滞りなく回収できるかという点です。通帳に刻まれた毎月の安定した収入実績、無駄な浪費をおさえて手元に残す貯蓄能力、そして期日どおりに各種支払いを完了させる几帳面さは、すべて「この人物は約束どおりに返済を実行できる人か」を判断する強力な補助資料となります。優れた計画書だけでなく、それを裏付ける通帳の健全さがあってはじめて高い信用が得られます。
6.よくある質問
創業融資における通帳の確認や提出に関しては、実務を進めるなかで多くの方が疑問や悩みを抱えるポイントが存在します。確認される期間の長さや、近年利用者が急増しているネット銀行の取り扱い、さらには親族から借り入れた資金の扱いなど、よくある質問とその解答をFAQ形式で整理しました。じっさいに申し込む際の具体的な必要書類や確認範囲の細部については、最終的に手続をおこなう金融機関の窓口へ確認することが推奨されます。
情報出典:日本政策金融公庫「創業計画の書き方」
https://www.jfc.go.jp/n/finance/sougyou/business-plan/
1)通帳は何カ月分見られますか?
確認される期間は申込みをおこなう金融機関や融資制度、あるいは個々の審査状況によって異なりますが、一般的には直近6カ月から1年分程度の入出金履歴を確認されるケースが多く見られます。
案件によっては過去2年分以上の提示を求められることもあります。直前の数カ月だけ口座状況を整えても、それ以前の履歴から不備が発覚することもあるため、基本的には直近1年以上の期間を見られているという前提で、前もって準備を進めておくのが安全です。
2)ネット銀行でも大丈夫ですか?
近年は店舗を持たないネット銀行をメイン口座として利用する方が増えていますが、ネット銀行であってもまったく問題ありません。紙の通帳が発行されないタイプであっても、オンライン上のマイページなどからダウンロードできる取引明細書や、入出金履歴が確認できるPDFデータ、画面のハードコピーなどを印刷して提出することで公式な確認資料として認められます。その際、口座名義人や口座番号、取引日付、残高が明確に印刷されているかを確認してください。
3)親から借りたお金は自己資金になりますか?
親や親族から資金の提供を受けた場合であっても、それが「返済義務のある借入れ」であるならば、金融機関の審査上は自己資金としては認められず、負債やそのほかの借入金として扱われるのが原則です。
もし返済義務のない「贈与」として支援を受けたものであれば自己資金として認められる可能性がありますが、その場合は後日のトラブルを防ぎ証明性を高めるためにも、贈与契約書を作成し、贈与者の口座から直接振り込まれた履歴を残す必要があります。
7. 創業融資の相談先
創業融資はプロと相談しながら進めるのが得策です。
まずはメール相談を利用して、申込の準備をしましょう。
上野 光夫(うえの みつお)
メール相談はこちら:
https://www.dreamgate.gr.jp/consul/pro/mmconsulting
西内 孝文(にしうち たかふみ)
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https://profile.dreamgate.gr.jp/consul/pro/astolat?advisor_field_id=
中野 裕哲(なかの ひろあき)
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https://profile.dreamgate.gr.jp/consul/pro/vspirits?advisor_field_id=
まとめ
創業融資の審査において通帳が確認されるのは、単に現時点での口座残高の多寡を見るためだけではありません。過去の入出金履歴や各種支払いの状況を通じて、自己資金がどのように準備されてきたかというプロセスや、事業主としての金銭管理に対する姿勢そのものを総合的に評価するためです。
重要なのは、ただ表面上の残高を一時的に増やすことではなく、そのお金をどのような経緯で準備したのか、そして今後どのように事業へ投入して返済をおこなっていくのかを客観的な資料とともに論理的に説明できることです。
ご自身の通帳内容で審査に不安がある場合や、創業計画書と通帳データの整合性をどのように取ればよいか判断に迷うときは、資金調達のプロフェッショナルに事前に相談してみることを強くおすすめします。起業家と専門家をつなぐ総合支援プラットフォームであるドリームゲートであれば、融資実績が豊富な専門家に対して初回のメール相談を無料でおこなうことが可能です。
一人で悩みを抱え込まずにプロのノウハウを積極的に活用し、万全の準備を整えて創業融資の審査に臨みましょう。
執筆者プロフィール:ドリームゲート事務局
ドリームゲートは、経済産業省後援のもと2003年に誕生した日本最大級の起業支援プラットフォームです。起業アイデアの整理から事業計画書作成、資金調達・融資支援まで、実務経験豊富な専門家が起業家一人ひとりの課題に寄り添い、実現までをサポートします。(運営:株式会社プロジェクトニッポン)
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