4分でわかる事業再構築補助金とは? 初心者にもわかりやすく申請のポイントを解説

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: 引地 修一

最近「事業再構築補助金」が各所で話題になっています。この記事をお読みの方の中にも利用したいとお考えの方も多いでしょう。

事業再構築補助金とは、ポストコロナ・ウィズコロナの時代の経済社会の変化に対応するため、中小企業等の事業再構築を支援し、日本経済の構造転換を目的とした補助金制度です。令和3年4月15日に第1回目の公募が開始され、令和3年7月2日に第2回公募が終了しました。

この補助金は、補助対象となる経費の範囲が広く、補助上限が6,000万円・補助率も2/3(中小企業通常枠の場合)の大型の制度です。また、補助金は返済の必要がないため、上手に活用すれば、ビジネスのコスト軽減が可能です。

この記事では本日時点(令和3年7月19日)で公表されている情報に基づき、事業再構築補助金に関する概要や申請要件の他、スケジュールの見通しについて説明します。

 

事業再構築補助金の概要ともらえる額について

事業再構築補助金は、新たな取り組みにより事業の再構築を目指す中小企業が利用できる補助金です。

事業再構築補助金の概要

事業再構築補助金は、中小企業庁が実施する補助金の一つで、中小企業などが新たに取り組む付加価値を高める事業を支援するため、広い分野において補助をするものです。

具体的には、「新分野展開や業態転換、事業・業種転換等の取組、事業再編又はこれらの取組み」が事業の対象となります。現時点では、計6回程度の実施が予定されています。

予算規模

事業再構築補助金の予算規模は、令和2年度第3次補正予算については1兆1,485億円とされています。

https://www.kanto.meti.go.jp/seisaku/chukaku/data/20210127shisetsu_setsumeikai_shiryou.pdf

補助金額

補助額 申請枠 補助率
中小企業 100~6,000万円 通常枠 2/3
6,000万円~1億円 卒業枠 2/3
中堅企業 100~8,000万円 通常枠 1/2※
8,000~1億円 グローバル
V字回復枠
1/2

※補助対象経費が8,000万円以下の場合。それ以上の場合は8,000万円を超える部分の経費は補助率1/3

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事業再構築補助金のスケジュールと今後の予定

事業再構築補助金は、これまで2回の公募を行っており、今後の予定を含めたスケジュールは以下のとおりとなっています。

第3回目の実施スケジュールは未定ですが、これまでの実施では「公募開始」〜「公募締切」までの期間は約40~50日の期間しかないことから、早めの準備の取り掛かりが必要といえます。

各実施回における状況

第1回

2021年3月26日 公募開始
2021年4月15日 申請受付開始
2021年5月7日 応募締切
2021年6月16日 採択結果の公表(緊急事態宣言特別枠)
2021年6月18日
 採択結果の公表(通常・卒業・グローバル枠)

 

第2回

2021年5月20日 公募開始
2021年5月26日 申請受付開始
2021年7月2日 応募締切
2021年8月下旬~ 採択結果の通知・公表見込み

 

第3回

2021年7月下旬 公募開始予定

なお、5月31日に行われた行政事業レビューの「公開プロセス」において、「一部改善」の評決がされました。

この時には、改善論点として「成果目標は事業者の規模や補助対象事業の性質によって、異なるものを設定すべき」や「審査基準が全て定性的な書きぶりになっており、可能な限り審査基準は定量的に設定することを検討すべき」などの意見が取り上げられたことから、第3回では審査項目が変更される可能性に注意する必要があります。

公開プロセス動画 https://www.youtube.com/watch?v=SQq8MD4qcM4

事業再構築補助金に申請するための3つの要件

事業再構築補助金では、申込みにあたり遵守しなければならない要件が決められおり、この要件が満たされていない場合には補助金の獲得が難しくなってしまいます。

通常枠の申請の際に注意しなければならない主な要件としては、以下の3つがあります。

売上が減っている

申請時の売上げが、「2020年10月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年又は2020年1~3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少している」必要があります。

たとえば、2020年11月~2021年4月のうち、「1~3月の売上高」と「2021年1月~3月の売上高」を比較して次のようになっている場合には、この要件を満たすことになります。

【2020年1~3月の売上高】

2020年1月 2020年2月 2020年3月
売上高(A) 500 400 350  1,250

 

【2021年1月~3月の売上高】

2021年1月 2021年2月 2021年3月
売上高(B) 430 320 300 1,050

 

{(B)1,050/ (A)1,250}×100 = 84.0(%)   >  90(%)

 

なお、任意の3か月については、「2020年10月以降の連続する6か月間」の範囲内であれば、連続している必要はありません

なお、第2次公募よりコロナ以前に創業を計画していた事業者を特例的に事業再構築補助金の対象にすることが発表されました。その要件は以下のとおりです。

  • 2020年3月31日以前から創業を計画し、2020年4月1日~12月31日までに創業した
  • 売上高減少要件は次のとおり:2020年10月以降の連続する6カ月間のうち任意の3カ月の合計売上高を、2020年の創業時から同年12月末までの1日当たり平均売上高の3カ月分の売上高と比較して算出
  • 事業計画で1)2020年3月31日以前から創業を計画していたことを示す、2)コロナ禍の影響で売上が減少したことを示す必要があります。

事業再構築に取り組む

事業再構築補助金の申請では、補助の対象となる事業の内容が、次の5つのいずれかであることが必要です。

1、新分野展開

中小企業等が主たる業種または事業を変更することなく、新たな製品を製造または新たな商品もしくはサービスを提供することにより、新たな市場に進出すること

2、事業転換

中小企業等が新たな製品を製造し又は新たな商品やサービスを提供することにより、主たる業種を変更することなく、主たる事業を変更すること

3、業種転換

中小企業等が新たな製品を製造し又は新たな商品やサービスを提供することにより、主たる業種を変更すること

4、業態転換

中小企業等が製品または商品もしくはサービスの製造方法または提供方法を相当程度変更すること

5、事業再編

会社法上の組織再編行為(合併、会社分割、株式交換、株式移転、事業譲渡)渡)等を行い、新たな事業形態のもとに、新分野展開、事業転換、業種転換または業態転換のいずれかを行うこと

認定支援機関と計画を立てる

事業再構築補助金では、「事業計画を認定経営革新等支援機関や金融機関と策定し、一体となって事業再構築に取り組む」ことが要件とされています。

認定支援機関は、経営革新等支援機関とも呼ばれ、「中小企業経営力強化支援法」による経営革新等支援機関の認定制度にもとづき国の認定を受けた専門家や機関です。

事業再構築補助金の申請では、上記2つの要件が満たされている必要があるだけでなく、認定支援機関に協力してもらうことが不可欠となります。

そのため、申請時には、以上のことを証明するため、認定経営革新等支援機関による確認書への押印が条件となっています。

認定支援機関による確認書

https://jigyou-saikouchiku.jp/pdf/kakuninsho_shienkikan.doc

なお、補助金額が3,000万円を超える案件は金融機関(銀行、信金、ファンド等)も共同して策定する必要があります。しかし、金融機関が認定経営革新等支援機関を兼ねる場合は、金融機関のみで構いません。

金融機関による確認書
https://jigyou-saikouchiku.jp/pdf/kakuninsho_kinyuukikan.docx

以上のように、事業再構築補助金の申請では認定支援機関の協力が必要となるだけでなく、そのサポート力が結果にも大きくかかわってくるため、どのような認定支援機関を選ぶかは、重要なポイントとなります。

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その他

  • 事業再構築補助金の申請は、採択結果公表前に重複して申請することはできません。しかし、第1回公募で不採択であった場合には、採択公表日以降に申請することが可能です。
  • 同一法人・事業者の「通常枠」、「卒業枠」、「グローバルV字回復枠」及び「緊急事態宣言特別枠」への応募は、1回の公募につき1申請に限ります。
    ただし、複数の事業を計画している場合は、事業計画書中に複数の計画の内容を記載して申請することが可能です。

令和二年度第三次補正事業再構築補助金公募要領

https://jigyou-saikouchiku.jp/pdf/koubo001.pdf

わかりやすい事例で解説。事業再構築補助金を申請可能なケースとは?

事業の再構築例としては、次のようなものがあります。

➀ 飲食店での活用例(業態転換)

居酒屋を経営していたところ、コロナの影響で売上げが減少した。

<再構築事例>

店舗での営業を廃止。オンライン専用の弁当の宅配事業を新たに開始した。
※対象となる補助経費の例  建物改修費・機器導入費・宣伝広告費など

② サービス業での活用例(新分野展開)

高齢者向けデイサービス事業等の介護サービスを行っていたところ、コロナの影響で利用者が減少した。

<再構築事例>

デイサービス事業を他社に譲渡。別の企業を買収し、病院向けの給食、事務等の受託サービス事業を開始した。
※対象となる補助経費の例  建物改修費・機器導入費・研修費など

③ サービス業での活用例(新分野展開)

航空機部品を製造していたところ、コロナの影響で需要が減少した。

<再構築事例>

既存事業の一部について、関連設備の廃棄等を行い、医療機器部品製造事業を新規に立上げ。
※対象となる補助経費の例  設備撤去費・機器導入費・研修費など

事業再構築補助金だけじゃない。こんな場合には別の補助金を使おう!

事業再構築補助金は第1次の採択率が36%と他の補助金に比べてハードルが高く、事業再構築要件に当てはまるものを計画しなければなりません。既存の事業に活かせる他の補助金の方が適しているケースがあります。

ここではよく利用されている3つの補助を紹介します。

小規模事業者持続化補助金

「小規模事業者持続化補助金」は、常時使用する従業員の数が20人以下(宿泊業・娯楽業をのぞく商業・サービス業は5人以下)の小規模事業者が、新たなビジネスやサービスを導入する取り組みを支援するものです。令和3年7月より第3回の申請受付が始まりました。

  • この補助金には、主に以下のような特徴があります。
  • 事業の再構築を伴わない既存の事業での取り組みが対象
  • 補助上限額100万円、補助率3/4の小型の補助金である
  • コロナの感染防止と事業継続を両立させるための対人接触機会の減少を目的とすること
  • 機械装置費、宣伝広告費、出店費などの経費が主な対象

現在の事業に関連し、経費額があまり大きくないケースでおすすめです。

https://www.jizokuka-post-corona.jp/

IT補助金

「IT導入補助金」は、中小企業において、自社の課題やニーズにあったITツールを導入する経費の一部を補助する制度です。令和3年3月から公募の受付が開始されています。

補助上限額 補助率
A類型 30~150万円 1/2
B類型 150~450万円 1/2
C類型 30~450万円 2/3
D類型 30~150万円 2/3

この補助金には、主に以下のような特徴があります。

  • 事業の再構築を伴わない既存の事業での取り組みが対象
  • 事業計画期間において、給与支給総額を年率平均1.5%以上増加する
  • 事業計画期間において、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上の水準 にする
  • ITツールの導入経費が主な対象

ソフトウェア等の導入により、働き方改革や賃上げといった経営課題の解決に取り組みたいという方におすすめです。
https://www.it-hojo.jp/first-one/

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金

ものづくり補助金は、中小企業者などが取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援するものです。第7次分は、令和35月13日に公募が開始され、8月17日が締め切りとなっています。

この補助金には、主に以下のような特徴があります。

  • 事業の再構築を伴わない既存の事業での取り組みが対象
  • 補助上限額1,000万円(通常型)、補助率1/2の~2/3の補助金である
  • コロナの感染防止と事業継続を両立させるための対人接触機会の減少を目的とすること (低感染リスク型ビジネス枠の場合)
  • 機械装置費、原材料費、外注費などの経費が主な対象

現在の事業に関連し、ものづくりなどを通じて経営課題の解決に取り組みたいという方におすすめです。

低感染リスク型ビジネス枠」の場合。

補助上限額 補助率
一般型 100~1,000万円 [通常枠] 中小企業者 1/2、小規模企業者・小規模事業者2/3 [低感染リスク型ビジネス枠特別枠] 2/3
グローバル展開型 1.000~3,000万円 中小企業者 1/2、小規模企業者・小規模事業者2/3

https://portal.monodukuri-hojo.jp/about.html

まとめ

事業再構築補助金で採択されるためには、申請内容のポイントをしっかりおさえておくこと必要があります。とくに、この記事で取り上げた3つの要件はとくに重要です。また、事例なども参照にすることで、さらに計画のイメージをつかみやすくなります。

なお、ドリームゲートでは、認定経営革新等支援機関として登録しており、事業再構築補助金のご相談を承っておりますので、お気軽にご相談ください。

執筆者プロフィール:引地 修一/Ichigo(一期)行政書士事務所

創業者と経営者の資金調達から事業再生、記事取材までを幅広くサポート。
保有資格:行政書士、事業再生士補、事業再生アドバイザー、宅地建物取引士、古物商

 

 

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