ホームページ制作委託契約・システム開発委託契約と著作権

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
今回は、ホームページ制作やシステム開発などの委託契約における注意点を見ていきましょう。

1.著作権の概要

 法律上、ホームページやシステムのプログラムは、著作権法によって保護される「著作物」にあたります。

 このため、ホームページ制作やシステム開発の契約を検討するにあたっては、前提として、著作権法の理解が必須となります。著作権法の概略については、従前の記事(「カタログ・HPなどの作成に関わる権利関係」)ですでに説明していますので、参考にしてください。

 

2.契約書のポイント

 ホームページ制作やシステム開発の委託契約において、重要となるポイントは、次の点です。

(1)著作権が誰に発生するか(著作権の帰属)の確認

(2)著作権を利用許諾するか(利用許諾を受けるか)、譲渡するか(譲り受けるか)の確定

 これらの規定は、委託する側の会社にとっては委託契約の目的が果たせるか否かに影響しますので、自社の意図するところと合致しているかについては、慎重に検討しなければなりません。

 

3.著作権の帰属の確認

 著作権の帰属とは、著作物である、ホームページやシステムについて、誰に著作権が発生するかの問題です。

 著作権法では、まず著作者に、著作権が生じることになります。ホームページやシステムの制作・開発においては、まず、制作・開発会社に著作権が帰属することになりますが、このままでは、委託会社は、ホームページやシステムを利用することができません。そこで、委託会社がホームページやシステムを利用するためには、

(1)ホームページやシステムのプログラムについての利用許諾を受ける

(2)ホームページやシステムのプログラムの著作権を譲り受ける

の2つのどちらかの対応をしておかなければなりません。

 

4.著作権の利用許諾(ライセンス)

 開発会社から委託会社へ著作権の利用を許諾する場合、利用許諾契約(ライセンス契約)において定められるのは、主に次のような内容です。

(1)許諾の範囲:著作権は、いくつかの権利(複製権、上映権、公衆送信権など)にわかれているので、どの権利について許諾をするか(どのような利用を認めるのか)につき、定めることが必要です。

(2)許諾地域:著作権は、通常は日本国内での利用の許諾で足りるのですが、全世界における利用の許諾も可能です。例えば、インターネット上で利用するものである場合には、全世界における利用権の許諾を受けることが必要となる可能性があります。

(3)独占形態の有無:著作権の利用許諾には、許諾を受けた一人にのみ利用を認め、それ以外の第三者に対しては、同様の利用許諾を行わないとする「独占的利用権」、第三者への利用許諾を認める「非独占的利用権」があります。独占的利用権のほうが、一般的には、委託会社にとって有利といえますが、ある程度汎用的なシステムである場合には、非独占的利用権とされるのが通常でしょう。

 

5.著作権の譲渡

 これは、ホームページやシステムの著作権につき譲渡を受けるものです。著作権の譲渡を受ければ、委託会社は、ホームページやシステムを自由に利用することができます。ただ、譲渡の際にはいくつかの注意事項があります。

(1)従前からの、または、汎用性あるプログラムの問題

 譲渡対象となる著作物(プログラム)については、委託契約に関わるすべての著作物につき一括して譲渡することもありますが、「従前から開発者が有するプログラム」、「汎用性のあるプログラム」は、譲渡してしまうと開発会社が、以後、他の開発において自由に利用できなくなってしまうことから、これらについては譲渡せず委託会社に対して利用許諾をするのみとするケースが通常です。

(2)特約が必要な権利

 著作権法においては、翻訳権、翻案権(著作権法27条)、二次的著作物の利用に関する原著作者の権利(著作権法28条)は、譲渡することを明記しない限り、譲渡されないものとされます。そこで、すべての著作権を譲渡する場合には、「すべての著作権(著作権法27条および28条の権利を含む)を譲渡する」というように記載する必要があります。

(3)著作者人格権

 著作者人格権(氏名表示権、同一性保持権、公表権)は、著作権法上、譲渡することができません。そこで、著作者人格権を行使しないという内容の契約(著作者人格権不行使特約)をすることが必要です。

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