会社経営に必要な法律 Vol.18 ダスキン・モスフードから資本・業務提携を学ぶ

法務・知的財産

執筆者: ドリームゲート事務局

2008年2月、「ミスタードーナツ」のダスキンと、「モスバーガー」のモスフードサービスは、資本・業務提携をすることを発表しました。そこで、今回は、このニュースを題材に、ベンチャー企業にとっても関わりの深い資本・業務提携について説明をしていきましょう。

1.ニュースの概要

 2008年2月20日、ドーナツチェーン「ミスタードーナツ」を展開するダスキンと、ハンバーガーチェーン「モスバーガー」を展開するモスフードサービスは、両社が展開している外食事業に関して、資本・業務提携契約を締結することを発表しました。

 業務提携では、ノウハウの共有化、商品の共同開発や、両社の共同出店などを検討しているということです。また、資本提携では、相互に19億円あまりを出資し、ダスキンがモスフード株の自己保有株式の4.1%を第三者割当によって引き受け、またモスフードは、ダスキン株の 1.55%を上限に市場買付等により取得するということです。

 

・ダスキンの発表 

資本・業務提携に関して
http://www.duskin.co.jp/ir/information/pdf/20080220.pdf 

・モスフードサービスの発表

資本・業務提携に関して
http://www.mos.co.jp/company/ir_pdf/080220_02.pdf 

第三者割当に関して
http://www.mos.co.jp/company/ir_pdf/080220_01.pdf 

 

2.法律上の問題

(1)業務提携とは

 業務提携とは、企業同士が、事業上の相互協力関係を形成する契約をいいます。一般的には、企業が相互に協力することによる、業務の効率化や市場の拡大などの相乗効果を狙って行われます。業務提携は、大きく分けて、(ⅰ)特定の取り引きのための業務提携、および、(ⅱ)資本参加・資本提携をともなう業務提携、の二つがあります。

 

(ⅰ) 特定の取り引きのための業務提携

 特定の取り引きのために契約により提携関係に立つものです。このケースは、複数の会社がそれぞれの会社の強みを生かし、また弱みを補強しあうために個別の事業のために用いられるものです。例えば、メーカー間の共同開発契約やメーカーと販売会社の間の販売に関する代理店契約などです。これらの場合、契約書において、双方がどのような業務・役割を負担するかにつき、明確化しておくことが重要となります。

 

(ⅱ) 資本参加・資本提携を伴う業務提携

 業務提携にともない、単に契約関係を構築するだけではなく、資本参加・資本提携を行うことにより、企業同士の強固な関係を築こうとするものです。このケースは、広い意味では、M&Aの一つの類型として考えられ、会社が将来、経営統合や合併を行う前提として用いられることもあります。

 今回のダスキンとモスバーガーの提携は、資本提携をともなう業務提携であり、資本・業務提携として発表されています。

 

(2)資本参加・資本提携とは

 「(ⅱ)資本参加・資本提携をともなう業務提携」で説明したように、企業同士の結びつきを強化するために、資本参加や資本提携が、業務提携と同時に行われることがよくあります。資本参加は、一般的には、相手方企業の経営権支配をともなわない程度の株式の取得をするような場合で、資本提携とは、一般的に相手方企業の経営権支配をともなわない程度(通常、持株比率の10%弱)の株式の中・長期的な相互の持ち合いをする場合をいいます。これらの場合は、M&Aとは異なり、双方が経営上の独立性を保ちつつ、関係を強化するという点に特色があるといえます。

 ただし、契約関係以上の関係強化ですから、これは裏を返せば、一度、資本参加を受けた、また、資本提携をした後は、簡単に相手方企業との取引関係を終了させることが難しいということを意味します。そこで、資本参加や資本提携を行う場合には、会社の将来的な計画を十分に検討しておくことが必要になります。

 

3.ベンチャー企業として

 業務提携は、事業を行う上でのさまざまなメリットを享受することができるため、ベンチャー企業でも既に行っている会社が多くあると思います。ただ、資本参加や資本提携をともなう場合、株式公開を控えるベンチャー企業は特に、株主構成が重要となることもあり、資本参加や業務提携目的の株式の持ち合いなどには、慎重さが要求されます。

 また、業務提携は、一般的に、長期の継続的な取り引き関係を築くことを目的としています。このため、取り引き関係を自社の都合により中止することが難しいものとなります。逆に相手方企業との間にトラブルが発生し、意図せず取り引き関係が停止してしまったような場合、その提携業務からの収益が大きければ大きいほど、自社にとってのダメージは大きくなります。特に、株式公開を間近に控えているような場合には、株式公開自体を延期せざるを得ないなどの影響が生じるおそれもあります。そこで、業務提携においては、メリットだけでなく、このようなリスクがあることも認識した上で、相手方企業の選定に十分に注意したり、一つの業務提携に自社の利益が依存したりすることがないように留意することが大切です。

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