質問
フリーランスのWeb制作をしています。制作過程でChatGPTや画像生成AIを活用したいのですが、著作権の帰属がどうなるのか不安です。
もしAI生成物が含まれる場合、クライアントに報告せずに納品しても法務上の問題(契約違反など)になりませんか?プロとして、どこまで開示すべきか実務的な基準を知りたいです。
専門家による回答: Web制作でChatGPTを使ったら著作権はどうなる?クライアントに黙ってていい? (回答者:特定社会保険労務士・弁理士 永田 由美氏)
「労務と知財を武器にしたリスク回避と生産性向上」を強みに、就業規則策定、著作権・商標管理、職場環境整備まで幅広く対応。30年近いマスコミ業界経験を活かし、従業員満足とワークエンゲージメント向上を重視した実践的支援を提供している。
【結論】AI生成物と著作権の基本原則
AI生成物は基本的に「人間が表現を主導」しない限り著作権が発生しない、と考えられていますが、それでも生成AIが自動的に生成したものには、AIがそれまで学習したデータの中に既存の著作物が含まれている可能性があり、第三者の権利を侵害するリスクが全くないわけではありません。
実務上は、AIをあくまで「着想の補助」に留め、主要な部分は人間が加筆・修正を行うことで著作権を確保し、その運用方針をクライアントへ明示することが最も安全な進め方です。
弁理士が指摘する知財管理の3大重要ポイント
①「創作的寄与」の証明リスク
AIが自動生成した素材は原則として著作物になりませんが、学習データにより既存の著作物に酷似したものが生成される可能性もあります。
AIを使用した生成物により模倣品トラブルが起きた際に「自社(またはクライアント)に著作権がある」と主張できるよう、人間がどの工程で、どのような具体的な指示や修正(創作的寄与)を加えたかの記録を保存することが重要です。
②依拠性による権利侵害(既存著作物との類似)
生成AIの学習データに既存の著作物が含まれている場合、既存の著作物を模倣する意図がなかったにもかかわらず、模倣して他人の権利を侵害したとされてしまう(依拠性の認定)リスクがあります。
特に画像生成AIを利用する際は、商用利用の可否だけでなく、出力結果の類似性チェックを徹底する必要があります。
③契約書における「非保証」の明確化
コンテンツの制作者と発注者の間で交わされる従来の契約書には、制作者について「他人の権利を侵害することがないことを保証する」という条項が含まれていることが一般的です。ですが、生成AIを利用したコンテンツについては、これが大きな負担となるおそれがあります。
弁理士としては、制作者が他者の著作物を意図的に模倣しないことを前提としつつ、AIを利用している場合はその旨を公表した上で「AI生成部分については、現在の技術水準・法制度の範囲内で責任を負う」といった限定的な条項を設けることを推奨します。
実務上の安全な運用指針
Web制作でAIを活用する際の実務的な安全策をまとめると、以下のようになります:
- AIは「アイデア出し」や「下書き」段階に限定し、最終成果物は必ず人間が加筆・修正する
- どの工程でどのような指示・修正を加えたかの記録を残し、創作的寄与を証明できる体制を整える
- 画像生成AIの出力結果は類似画像検索ツールで既存著作物との類似性をチェックする
- 契約書に「AI利用の事実」と「技術水準内での責任範囲」を明記し、クライアントと合意形成する
- クライアントへの報告は「AIを補助ツールとして活用している」という事実ベースで行う
プロフェッショナルとして、透明性を保ちながらAI技術を活用することが、長期的な信頼関係構築につながります。
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特定社会保険労務士・弁理士の永田由美が、30年近いマスコミ業界経験と知財管理の専門知識を活かし、生成AI活用時の著作権リスク、契約書の条項設計、知的財産管理体制の構築まで実践的にサポートいたします。
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