Vol.9 ニセモノに負けるな!中国の知的財産権対策

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
模倣品による被害 は、いまや世界中に拡大し、国家レベルの問題となっています。最近では、インターネットを使った裏取引をはじめ、分業による細分化、運搬手段の発達など、 手口が総合的に巧妙化しています。模倣品の被害は、金銭的なものに留まりません。適切な対策を怠ると、信用の失墜はもちろん、市場からの締め出し、最悪な 場合は倒産となります。

 

知的財産権の常識。模倣品と海賊版の違いは?

  簡単に分類すると、模倣品は、特許権、実用新案権、意匠権、商標権を侵害する製品です。例えば、有名ブランド品、時計、電化製品などで本物そっくりに作っ てあるものです。海賊版とは、著作権や著作隣接権を侵害する製品です。例えば、音楽CD、DVD、ゲームソフトなどが当てはまります。これらを総称して、 知的財産権の侵害といいます。言い換えると、知的財産権を無視して無断で創作を利用し、作成されたものが模倣品や海賊版なのです。このような権利侵害に対 して、創作の利用禁止や損害賠償を求めることができます。

 注意しなければいけないのは、日本の商標法や特許法は日本の法律なので、日本国 内だけでしか有効ではないことです。海外でも当然に通用すると勘違いしてはいけません!もし、中国での侵害行為を追及したいのであれば、中国においても商 標権や特許権を取得しましょう。各国ごとに権利が存在することを認め、その効力も各国の法律によって定められるのが基本です。これを「属地主義」といいま す。

中国の知的財産権制度の光と影

商標・・・登録日より10年で、10年ごとに 更新可能

意匠・・・出願日から10年

特許・・・出願日から20年

実用新案・・・出願日から10年

  意外に思われるかも知れませんが、中国は知的財産権に関する国際条約に多数加盟しており、国際スタンダードの基準に達しています。それではなぜ、模倣品被 害が多いのでしょうか?これは、知的財産権に限らず、中国のあらゆる分野で共通する「地方保護主義」の問題と重なります。

 知的財産権の侵 害行為者は、時に善良な企業と見間違えるほどの体をなし、それが地方の雇用を生み出せば、地場産業となってしまうこともあります。そうなると、地方政府も 簡単に処理できないのが実情です。結局は消極的な姿勢を見せてしまいます。
中国地方政府の裁量権 は大きいので、このような歪んだ地方経済保護の発想が生まれるのでしょう。もちろん、これが許されないことは誰もが理解しています。今後の中国の発展は、 この問題の解決と大きな関係があると私は考えます。

 

模倣品や海賊版を取り 締まる方法

 中国では、民事訴訟にかかわる証拠資料は、基本的に当事者が集めなければならず、時間と手間がとてもかかります。単純に海賊 品などを販売する店の摘発だけでは、トカゲのしっぽ切りとなり、抜本的な問題解決にはなりません。その製造元を探り出し、根絶するのが適切な選択です。し かし、よほどの場合を除いて、これらの調査をすべて自ら行うのは、地の利がない海外ではとても危険です。そこで、ここでは二つの方法をご紹介します。

  一つは、調査会社を使う方法です。中国には、探偵会社の業務に類似した業務を行う調査会社が存在します(法律上、探偵会社の設立は禁止されています)。日 本と同じように、調査会社には専門分野や得意分野がありますので、依頼する場合は事前にできるだけのことを確認します。具体的には、過去の調査実績と結 果、費用、時間、手法、報告回数などです。中でも、真贋の判断をどのように行うのか、調査会社と入念に打ち合わせをします。

 もう一つの方 法は、中国事情に詳しい専門家事務所や法律事務所に依頼することです。多くの事務所は、緊密な調査会社を抱えているので信頼できます。前述の独立調査会社 に比べるとコスト高にはなりますが、若干のコストを渋ったために、多額の損失を抱えては本末転倒です。

 次回は、模倣品等の違法製品を発見 したときの対処法についてお話します。

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