自己成長の場としての起業

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

出題・解説: 羽根 拓也(アクティブラーニングスクール代表)

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あ なたは起業家になることに興味を持っている。起業家になってより多くの収入を得たい。起業家になってより多くの自由を満喫してみたい。さまざまな憧れをもって 起業家を夢見ていているに違いない。しかし、現実は甘くない。信じられないような苦難の日々が、起業後にあなたを待ち構えている。今回は、このコラムの最 終回!私自身、起業家の先輩として、起業することがいかに厳しいことであるのか、包み隠さず、その実情を話してみよう。その上で、起業家になる真の意義が 何であるのか、このコラムの核心に踏み込んでみたい。

 

「起業したいんですよ。自分のやりたいことができるじゃないですか?このまま会社の歯車になるだけの人生なんてつまらないですからね。家族を大切にしたり、趣味の時間をもったり、もっと自分の自由な時間をもちたいんですよ。」  

起業を目指している、ある20代の男性から聞いた言葉だ。悪いことは言わない。やりたいことができそうだから起業したいというのならやめた方がいい。実際は、反対だ。起業すれば、自分のために自由な時間を使うことなど全くできなくなる。

起 業して7年目になるが、私自身、休みらしい休みをとったことがない。もちろん、公的に仕事がない日もある。しかしそんな日であっても会社のために何がしか の仕事に追われ続けている。そうしたいわけではない。休むことができないわけでもない。しかし、厳しい市場で生き残り、かつ事業を成長させていくために は、常にそれまで以上の努力をすることが強いられる。結果、休みはいつも後回しにされていく。会社で徹夜する日が週に1日となり、2日となり、今では、毎 日、会社で寝泊りをする生活を送っている。自分の家に帰らなくなってもう3年以上になる。

雇われていた時には、すべて自分で決められる起業 家にあこがれたものである。起業後、自分ですべてを決めなければならないということが、こんなに苦しいことであるのかと思い知らされた。経営者のもとには、 すべての従業員が片付けられなかったもっとも困難な問題が上がってくる。あなたの決定が会社の命運を左右することになるので、プレッシャーも最大級のものとな る。しかし胃を痛めている暇などない。難問奇問が会社の成長に合わせて、休むことなくあなたの前に列を並び始めるからだ。顧客からのクレーム、信頼してい た従業員の退社、社会情勢の突発的な変化、それらすべてに対して即座に対応することが起業家には求められる。

ビジネスの世界で求められてい ることは実に単純である。インプット(入金)をアウトプット(出金)より増やすこと、それだけである。形態や方法は違えど、どの事業もそのために、日夜、 鋭意努力している。「入金を出金より増やす」。言葉だけ聞けば、小学生でもできそうな簡単なことである。ところが、これをやり続けることは並大抵のことで はない。世界的な企業でさえもこのために苦しみ抜いている。

1回や2回ならできないことではない。しかし、ビジネスにおいては継続的に成 果を出し続けることが求められている。これは想像以上に困難なことだ。マラソンで例えると、走るスピードを徐々にあげながら走り続けよと言われているよう なものである。ある意味、不可能を求められているのだといっていい。だれもが途中で失敗する。

例えるなら、「起業」は、人生でもっとも過酷な マラソンに出場するようなものだ。7年間このレースを走り続けてきた者として、保障しよう。人生においてこの 7年間ほど苦しかった時期はかつてない。今後、会社の成長に応じて、このレースは益々過酷なものになっていくということもよくわかっている。

さて、そんな人生最悪のレースであるが、私はこのレースからしばらく降りるつもりはない。私の周囲の起業家も、皆、同じように、走り続ける道を選んでいる。なぜか?それは起業して得るものが、それらの苦難を補っても余りあるものだということを知っているからだ。

私 が起業後、この7年間で手に入れた真の価値、それは自分自身の「成長」である。起業し、自分が起こした事業を成長させるために、どんな起業家も、かつてな いほどの努力を強いられることになる。苦難やプレッシャーに押しつぶされそうになりながら最大限の努力を繰り返す。そのことが、結局、起業家を大きく成長 させることにつながっているのだ。

起業家の道は険しい。しかし、それを補って余りのあるすばらしい価値がそこにはある。起業に本当に価値 があるのは、収入を上げられるからでも、自由を得られるからでもない。幾多の困難に挑み、最大限の力を振り絞ることで、人として得られる最高の成長を手に することができる可能性を与えられるから、起業はかくも魅力的なのだ。

あなた自身の人生を、本当に意味あるものにするために、起業家という生き方を選択肢の一つに入れておくことをお勧めする。予想以上にすばらしいものをあなたに与えてくれるに違いない。
 

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 【羽根 拓也 プロフィール】

日 本で塾・予備校の講師を勤めた後、1991年渡米。ペンシルバ大学、ハーバード大学等で語学専任講師として活躍。独自の教授法はアメリカでも高い評価を受 け、94年、ハーバード大学より優秀指導賞(Certificate of Distinction in Teaching)受賞。「知識を与える教育」から、「自己成長力を向上させる教育」こそが、世界に求められていると考え、97年に東京に「アクティブ ラーニングスクール」を開校。これまで日本にはなかった「自己成長力」を育成する教育機関として各界より高い評価を得ている。独自の教育理論えおその指導 方法に、有名企業、政府関係機関、教育機関などより指導依頼が絶えない。

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