Vol.2 はじめての法人税から節税しよう

会計・ファイナンス

執筆者: ドリームゲート事務局

法人税は、1年間の決算で利益が出ると発生しますが、節税対策は初年度からしっかり行ったほうがお得です。

まずは、起業の流れに沿って1年間で出来る節税策をみていきましょう。

1.起業の時に使える便利な費用は?

会社設立の時に発生する費用として、
・創立費:会社設立までにかかった費用
・開業費:会社設立後から営業開始までにかかった費用
・開発費:新たな技術、新たな経営組織の採用、資源の開発、市場の開拓又は新たな事業の開始のために特別に支出する費用

の3つがあります

これらは、繰延資産として、税務上、任意償却が認められているので、設立時に全額償却できます。また、繰延資産として翌期に繰越し、設立から5年以内に黒字化した時に、費用化することもできます。
そのためには、起業を決めたら、こまめに領収書を保管しておくことが大切です。

2.オフィスをどこにする?

会社を設立した時に最初に決めなければならないことの一つに、オフィスがありますが、はじめのうちは、自宅をオフィスにすると、資金を節約できます。 その場合は、会社から賃料を取ることもあるでしょう。

賃料を取れば会社の損金となり節税となりますが、そうするためには賃貸借契約を締結し、実際に賃料を支払うことが必要です。 また、会社からの賃料収入は個人の不動産所得となりますので、逆に個人の所得税が発生する場合があります。

そのため、経費として
・自宅を借りている場合、賃借料の一部を経費とする
・持家の場合は、建物の減価償却費や固定資産税、火災保険料、住宅ローンの利息など のうちオフィス分を面積などで按分し、経費とする
という2つの場合があります。

なお、賃料収入から経費を差し引いた不動産所得が20万円以下であれば、確定申告は不要となり、個人でも節税になる場合があります。

3.設備や備品は、中古にしよう!

スタート時は、機械や備品、店舗設備、自動車など、様々な設備投資にもお金がかかります。 そこで、資金面・税務面でも有効な、中古資産を利用することをおすすめします。

中古資産は、新品よりも安く、税制面でも中古資産の耐用年数は、 「法定耐用年数の残存年数+経過年数×0.2」 となるため、新品よりも短い期間で減価償却ができます。

例えば、自動車の法定耐用年数は6年ですが、3年走った自動車を中古で買った場合は、わずか3年で償却できます。
 

4.一番の節税、役員報酬

役員報酬は、まとまった金額を自分の裁量で決めることができるので、やはり節税のキーとなります。さらに家族を役員とすれば、節税の余地が広がります。 ただし、役員報酬は、期首から3カ月目以内に決めなければならず、その後、基本的には1年間変更ができません。

起業をした時は正確な1年間の売上を見通すことは難しいため、予想以上の売上となってもいいように、役員報酬を少し多めに決めておくのも一つの方法です。

5.まだ間に合う、決算直前の節税策

起業から1年、業績も好調で予想外の利益が出そうな時に、決算前でも間に合う節税策があります。

1)お金のかからない節税策
まずは、お金が流出しない節税対策です。期末に未払になっている費用、例えば、
・締め後の従業員の給料 ・社会保険料
・固定資産税
などは、帳簿上で未払費用を計上すれば、費用を増やすことができます。

2)一年分を前払い
次に、一定のサービスを受けるような費用、例えば、
・家賃
・保険料
・利息
などは、期末に1年分を前払いすれば、全額損金にすることができます。
家賃については、大家さんの承諾が必要ですが、自宅をオフィスにしている場合は、1年分の家賃を前払いすることも可能です。

3)節税しながら、やる気向上!
1年間頑張ってくれた従業員へ、決算賞与を支払うことで、社員のモチベーションのアップを図りながら節税ができますね。しかしそのためには、
・決算日までに、決算賞与の支給額を全員に知らせていること
・決算日から1ヵ月以内に全て支払っていること
・決算で未払計上していること
が必要です。
なお、これには役員は含まれないので注意してください。

このように、決算直前でも様々な節税対策を打てるのですが、そのためには、ある程度正確な月次決算を、毎月早めに行える体制が必要です。

6.法人税、一体、どれくらいかかるのか?

起業して1年、無事、黒字となれば法人税を支払いますが、正確には法人税の他に、事業税と住民税も、決算から2か月以内に国や地方公共団体に申告・納税します。
それぞれの税金の具体的な税率は、課税所得(税務上の利益)に応じて異なりますが、 およそ、課税所得800万円以下で、実効税率が約34%から約26%へ低くなります。

ただし、
・事業計画などを作る時や、
・大体どのくらいの税金がかかるか考える時には、
余裕をもって利益の35%が法人税になると覚えておくと良いでしょう。

※ 課税所得が年800万円超の場合、400万円超~800万円以下の場合、400万円以下の場合で、法人税・事業税・住民税の税率が異なるため、それぞれ実効税率が異なります。
※ 利益に対する合計税率は、各税金の税率を単純に合算するのではなく、次の計算式で出された実効税率になります。 「実効税率=(法人税×(1+住民税)+事業税+)/(1+事業税)」

7.赤字になってもかかる税金は?

日本政策金融公庫のアンケートでは、起業から1年経っても約4割の会社は赤字となっています。起業1年目は、赤字決算の覚悟も必要ですが、そんな時でも“均等割”という税金がかかってきます。

この均等割、基本的に、
・資本金等(資本金と資本準備金の合計)と
・従業員数、

そして
・事業所数や所在地
によって異なります。

例えば、東京都に事務所があり、
・資本金1000万円以下
・従業員50人以下
の場合、均等割は7万円になります。

8.赤字決算、これからどうする?

赤字の場合、 実は、“繰越欠損金”として、翌期以降9年間※繰り越し、翌期以降の黒字と相殺し、税金を払わなくて済むメリットがあります。

例えば、
・1期目、▲100の赤字で、
・2期目、40の黒字の場合、

2期目は、利益40を、1期目の繰越欠損金と相殺できるので、税金を払わなくてすみます。
3期目には、繰越欠損金のうち2期目に使われなかった▲60(=▲100+40)が繰越されます。 そのため、起業1年目の決算が赤字の時でも、翌期以降の利益計画も考えながら節税策を考えましょう。

※平成30年4月1日以後に開始する事業年度において発生する損失の繰越期間は10年となります

9.最後に

法人税は、利益の約35%と重い税金です。しっかり節税をして会社にキャッシュを残すことは大切なことです。
しかし、起業した時から節税や赤字決算にすることばかりに意識が向いていると、会社がどのような状況にあるのか分からなくなってしまいます。 まずはビジネスを成長させることに集中しましょう!

※なお本文は、平成29年4月時点の制度を前提としております。

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