経営戦略 Vol.42 ガソリン急騰時にチャンス到来!? 発想をシフトした業態とは。

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
ガソリンの急騰で『車離れ』が急速に進み、時間貸し駐車場の稼働率が大幅に下がりました。駐車場各社は値下げを余儀なくされ、早くも撤退を決める会社も現れるなか、『カーシェアリング』という新しいビシネスモデルをもって、売り上げを伸ばしている会社もあります。この事例は、時代の変化にどう対応すべきかを学ぶ格好の事例ではないでしょうか。

道交法改正特需から2年 ガソリンの急騰で駐車場がピンチ!

 街中の時間貸し駐車場が、値下げや割り引きに動きました。 業界最大手のパーク24株式会社では、すでに2008年6月から100ヵ所以上の駐車場で、料金を「15分100円(1時間400円)」から「20分100円(1 時間300円)」に値下げし、同じく日本駐車場開発株式会社でも、2008年8月よりトヨタファイナンスと提携し、同社のクレジットカードとウェブ上のクーポン券を提示すれば、1時間分の駐車料金が無料になるサービスを始めました。また、株式会社駐車場総合研究所でも、8月中旬から都心の一部駐車場で、10リットル以上給油したことを示す当日付けの領収書と引き換えに、約200円分の駐車割引券を配ることを実行したようです。

 ユーザーにとっては一見ありがたくみえる情報ですが、ガソリンの急騰で『車離れ』が急速に進み、時間貸し駐車場の稼働率が大幅に下がっているのです。パーク24株式会社によると、同社の管理する約22万台分の駐車場の稼働率は、2008年6月まで15ヵ月連続で前年割れを起こし、もう黙って見ているわけにはいかない状況だったようです。

 駐車違反の摘発を強化した改正道路交通法の施行で、“特需”に沸いたのは、2年前、また、現在では値崩れが起こっています。世の中の変化は厳しいものですね。

 

 

駐車場から撤退する業者を尻目に新ビジネス台頭

 改正道路交通法の施行を見込み、とくに数年前からは駐車場各社は開発計画を加速させていきました。そのおかげで、都内では車2台分のほんのわずかな空き地にも、時間貸しパーキングが見られるようになりました。地主さんのところには、常に数社の営業担当者が足繁く通っていたようです。

 しかし、この時流のあおりを受け日本パーキング株式会社では、2009年2月期の駐車場建設を前年より約3割減らす計画なのだそうです。なんと、2008年2月期の決算で、営業利益が前期の3分の1にまで減少したため、収益確保を優先するための施策です。

 

 そんな中、『カーシェアリング』という新しい業態が台頭してきました。

「『カーシェアリング』とは、1台の自動車を複数の会員が共同で利用する新しい利用形態です。利用者は自ら自動車を所有せず、管理団体の会員となり、必要な時にその団体の自動車を借りるという、会員制レンタカーのようなものです。」と、「カーシェアリング普及推進協議会」のホームページでは説明しています。

 

既存駐車場をインフラに会員を伸ばす『カーシェアリング』

 この『カーシェアリング』。実際どんなふうに利用するのかというと、まず運営会社に会員登録を済ませ、ネットや電話で予約をしたあと、会員証(カード)により本人の認証を行うと乗ることができる仕組みになっています。レンタカーの場合だと、利用時間は「最低6時間」といった決め事がある場合が多いのに対し、カーシェアリングの場合、15分単位で利用できるところもあるため、重いものを買いに行きたい場合や雨の日の子どもの送り迎えなど、スポット的に利用ができるのが魅力です。また、会員だけが利用する形態のため、係員が常駐した営業所があるわけではなく、駐車場で無人管理されるわけなのですが、このカーシェアリング用の駐車場として、先の「時間貸し駐車場」が狙い打ちされているようです。

 

 日本には古くから「風吹けば桶屋が儲かる」ということわざがありますが、ガソリンの急騰と駐車場業界の関係はこの逆パターンですよね。しかしそのような中でも、発想を変え、新しいビジネスモデルにシフトすることで、まるでピンチをチャンスに変えるかのように売り上げを上げていく企業もあるわけです。

 ガソリン急騰という状況下でも、この『カーシェアリング』は、分譲マンションとのマッチングで、さらに喜ばれながら会員数を伸ばし続けていたようです。さらに、都心の時間貸し駐車場という整備されたインフラが、さらに勢いに拍車をかけそうですね。

 時代の変化はますます速くなるばかりです。今は順調なビジネスでも、いつどうなるかはわからないもの。そうなってからあわてないためにも、経営者は常に次の手を用意しておく必要がありそうです。参考にしてください(@^^)/~~~。

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