Vol.9 IPO寸前にライブドアショック⇒信念で上場 ドリコム内藤社長【IPO編】

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
前回に引き続き、 株式会社ドリコム 内藤社長へのインタビューをお届けします。今回は【IPO編】です。

 

—–上場を目指したきっかけは何ですか??

  2004年ごろはITバブルの崩壊後、ネット企業にとって厳しい時代を乗り越えた会社が次々と上場し始めました。例えば、マクロミル、オプト、ゴルフダイ ジェスト・オンライン、ケンコーコム、ネットプライス、エキサイトなど・・。

 同じ2004年の夏に僕自身が先頭を切って京都から出て、東 京支社を立ち上げました。会社も順調に成長をし始めていたので、更なる成長を目指して東京に支社を出しました。その頃から少しずつ上場するということにつ いて考え始めました。

 そんな中グロービスが中心となって行われている「New Industry Leaders Summit」という経営者だけのカンファレンスがあり、IT業界の経営者ばかり90名ほどが宮崎に集まり、僕もこの”NILS"に出席しました。この集 まりにはGMOインターネットの熊谷会長やサイバーエージェントの藤田社長など、業界のキープレイヤーたちの講演がありました。彼らと過ごした宮崎での時 間は大きな刺激を与えてくれた一方で、上場企業のファイナンスを絡めた戦略を聞いて、「上場していないことで、いつか自社の成長戦略の幅が狭まるのではな いか」という不安を感じました。また、すでに上場を果たしている会社の社長から「上場はできるときにしろ。いつでも上場できるというのは嘘だ。上場はタイミ ングだ」とアドバイスを受けて、このときに上場することを決めました。

—–IPO の準備過程で苦労した点は?

 先ほど話した“NILS”が終了した後、東京に戻って急遽役員を集めて「2006年2月に上場しよう」と宣 言しました。この宣言をきっかけに管理部長、営業部長の招聘、主幹事証券会社の選定、営業部・管理部の構築などの多くの課題に取組んでいきました。

  なぜ2006年2月だったかというと、3つの追い風が僕らに吹くだろうと考えていました株式市場の回復、ブログブームの到来、新規事業の成果が見えるタイ ミングです。これらを考えると2006年2月がベストシナリオでした。

 しかし、どの証券会社が提案してくるスケジュール案は、当初僕が考 えていたものより半年、さらには1年も遅いものばかりでした。上場を決意してから金融の勉強を始めて自分で詳細な上場までのスケジュールとシナリオを作り ました。IPOに向けての作業スケジュールだけでなく、毎月の事業部別の詳細な予算を短期間で作って、「この予算を達成すれば2006年2月で上場できま すよね?」と証券会社を説得しました。当初描いた上場スケジュールを証券会社に納得させる所がまず苦労したところです。

 その後は急速に上 場準備が進んで、当初僕が考えていた株式市場の回復、ブログブームの到来、新規事業の成果という3つの追い風もすべて読みどおりでした。そして2005年 11月に東証マザーズに上場申請を行い、2006年1月には無事に上場承認を得てすべてが順調にいっていました。しかしロードショーの終盤だった1月16日 に「ライブドアショック」が起きました。日経平均株価は急落し、東証の売買システムが止まるという事態まで発生しました。その他にもインターネット上での 根も葉もないデマが蔓延していました。さすがにこれらの連発する事件にはまいりました。

 しかし、一度決めた目標は絶対にやり遂げようとい う信念と「なんとかなる」という楽観主義でこの事件を乗り切る事ができました。

—– 今後上場を目指される経営者に一言お願いします

 「IPOはゴールではなくて、スタートだ」ということですね。上場したことによって株主 に利益還元をしていかないとだめですし、社員も日に日に増えています。これからも今まで以上に会社を成長させていかないとダメです。先日の社員総会で社員 のみんなに「IPOの成功は忘れよう。そしてまた一歩前に進もう」と伝えました。上場前と上場後でドリコムの目指す方向は変わりません。これがドリコムの 上場後の戦略なんです。

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