Vol.10 経費として認められる「修繕費」の税務上の注意点

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固定資産の保守点検の結果、異常な箇所があれば修理を行いますが、修理をしたときの費用は、会計的に修繕費として会計処理をするのが原則です。しかし、税務上はすべての修繕費が経費として認められるわけではなく、限定的に認めています。税務調査の現場においても必ずチェックされる修繕費の会計処理において、そのポイントをお伝えします。

資本的支出と修繕費の区分

 固定資産の修理・改良費用については、税務上、経費として認められる「修繕費」とするか、あるいは固定資産の取得価額に算入する「資本的支出」とするかの判断をしなくてはなりません。「修繕費」に該当するならば、そのまま一時の経費となりますが、「資本的支出」に該当するならば、固定資産の取得価額に算入した上で「減価償却費」として耐用年数にわたり経費としていく必要があります。

 税務上で資本的支出となるのは、原則として次の(1)と(2)のうち大きいほうの金額とされています。

 (1) その資産の耐用年数を延長させる部分の金額
 (2) その資産の価値を増加させる部分の金額

 

資本的支出と修繕費の具体例

 しかし、具体的にどの部分が固定資産の耐用年数を延長させ、どの部分が価値を増加させるのかを測定することは容易ではありません。

 そのため、法人税の通達では、具体的に資本的支出になるものと、修繕費になるものの例示が次のようにされています。

 【資本的支出になるもの】

 (1) 物理的に付加した部分の費用
 (2) 用途変更のための模様替えまたは改装の費用
 (3) 機械の部品などを品質や性能の高いものに取り替えた場合で、通常の取り替えにかかる費用を超える部分の額

 

 【修繕費になるもの】

 (1) 建物の移えい(移動)または解体移築をした場合の費用
 (2) 機械装置の移設の費用
 (3) 地盤沈下した土地を沈下前の状態に回復するための地盛りの費用
 (4) 建物、機械装置などが地盤沈下により、海水などの侵害を受けるようになったための床上げ、移設の費用
 (5) 現に使用している土地の水はけをよくするためなどに行う砂利、砕石などの敷設の費用

 

簡便的な区分方法

 上記のように具体例があげられたとしても、実際にはどのように区分したらいいのか難しいものです。そこで、課税上弊害のない範囲内での簡易な経理方法として、次の3つの方法が認められています。

 (1) 修理や改良などのための費用が20万円に満たない、もしくはおおむね3年以内の期間を周期として支出しているときは、全額修繕費として処理できる。
  (2) 上記(1)に該当しない場合であっても、資本的支出と修繕費の区分ができず、次のいずれかに該当すれば、修繕費として処理できる。
  ・ その支出金額が60万円未満
  ・ その支出金額がその資産の前期末取得価額のおおむね10%相当額以下
 (3) 上記(1)、(2)の判断をしても区分ができない場合は、継続適用を条件として、支出額の30%かその資産の前期末取得価額の10%のいずれか少ない金額を修繕費とし、それ以外を資本的支出として処理できる。

 

まとめ

 資本的支出と修繕費の区分については、税務調査においてもこれを巡っての指摘が多いものです。

 税務上の取扱いをしっかりと理解し、間違いのない会計処理を心がけましょう。



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