「事業再構築補助金」大幅改定!今まで申請をあきらめていた企業も可能性あり!

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: 神吉 耕二

新型コロナの収束に伴って、「事業再構築補助金」の第10回公募の中身が大幅に刷新されました。第9回公募までは、基本的に新型コロナの悪影響で売上高が10%以上減少した企業が対象でした。

しかし第10回公募より、その売上高減少要件がなくなりました。これはポストコロナ・ウィズコロナの時代になり、成長分野に向けた大胆な事業再構築に取り組む事業者を主軸に支援することに切り替わったことを意味します。

そして今まで条件を満たしていないと断念していた多くの企業が申請できるようになりました。今回は大幅な変更点に加えて、新しく申請を目指す企業向けに改めて事業再構築補助金のポイントをわかりやすく解説します。

事業再構築の効果

2022年版中小企業白書によると、事業再構築による売り上げ面での効果は下図の通り明確に表れています。第10回になり内容が大幅に刷新されましたが、各事業者にとっても、大きく収益を改善するまたとないチャンスになりますので、変更点やポイントをしっかり押さえて採択を勝ち取りましょう。

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令和5年度第10回事業再構築補助金の概要

応募締切

令和5年6月30日(金)18時

申請方法

電子申請システム ※事前にGビズIDの取得が必要

対象者

中小企業、中堅企業、その他法人

事業類型

8つの事業類型から選択

  • 「成長枠」「グリーン成長枠」「卒業促進枠」「大規模賃金引上促進枠」「産業構造転換枠」「サプライチェーン強靭化枠」「最低賃金枠」「物価高騰対策・回復再生応援枠」

補助金額

最低100万円、最高1500万円~5億円(事業類型と従業員数による)

補助率

1/2~3/4 ※賃上げ等により補助率が上がる場合あり。

補助対象要件

  1. 3~5年の事業計画書を作成し、認定経営革新等支援機関の確認を受けていること。
  2. 補助事業終了後3~5年で付加価値額を年率平均3.0%~5.0%以上増加、または従業員一人当たり付加価値額を年率3.0%~5.0%増加させること。
  3. 補助金額3,000万円を超える場合は、金融機関による事業計画の確認が必要。

補助対象経費

事業拡大につながる事業資産への相応規模の投資

  • 建物費、機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費、研修費、廃棄費

※補助対象外経費も明記されていますので、要確認。

事前着手申請

最低賃金枠、物価高騰対策・回復再生応援枠に申請する事業者のみ可能

参考)事業再構築補助金公募要領

「事業再構築補助金」の基本的な流れ

今回新しく事業再構築補助金を申請される方向けに、申請から補助金をもらうまでの流れでのポイントをおさらいします。

1.GビズIDプライムアカウント取得(必須)

電子申請システム

2.認定経営革新等支援機関の選定・依頼(必須)

事業計画を一緒に作成します。申請書の中で、認定経営革新等支援機関名の記述が必要です。金融機関でも可能です。経済産業省のサイトから探すことが可能です。

3.金融機関の選定(任意)

補助金額は必要経費の一部であり、また実際に補助金がもらえるのは補助事業を終えてからです。通常1年先となりますので、それまでは自己負担か金融機関からの借入が必要となります。

補助金額が3,000万円を超える場合は、金融機関からの確認書が必要です。その場合、金融機関から事業計画の提出を求められますので、早めの対応が必要です。

4.事業計画の策定

認定支援機関と一緒に策定します。公募要領には、記載されるべき内容の指針や15ページ以内などの注意事項が明記されています。必要提出書類の不備や記載漏れなどがなければ、事業計画の内容が採否に大きく影響します。

5.添付書類の準備

添付書類不備は即、不採択となります。決算書等の数値が事業計画書と合っているかも確認しましょう。経済産業省ミラサポplus「電子申請サポート」により作成した事業財務情報、市場拡大要件を満たすことを説明する書類など、手間がかかるものがありますので、漏れがないようにしましょう。

6.電子申請

すべてオンラインでの申請です。事業者様のGビズIDで、電子申請システムにログインしなければいけないので、基本的に事業者様自身が入力し、添付書類をPDFに転換してアップロードする必要があります。

ZOOMなどのコミュニケーションツールを使えば、認定支援機関など複数人で画面を見ながら入力や確認をすることができるので、漏れやミスを防ぐことができます。

7.採択通知

 経済産業省の事業再構築補助金サイトで発表されます。個別に通知も来ます。精緻な見積りを複数取り直すなど、交付申請の準備をします。採択通知は、補助金をもらうための交付申請の権利を得たにすぎません。交付決定までは発注はしてはいけません。ただし、最低賃金枠、物価高騰対策・回復再生応援枠、サプライチェーン強靭化枠の3つだけは事前着手申請で、早期の補助事業開始が可能です。

8.交付申請・交付決定

通常、早いもの順です。採択が取り消されることはありませんが、修正や追加書類提出を求められることも多いです。採択された補助金額を超える補助金額をもらうことはできませんが、最新の設備に変更するなどは事務局に相談すれば認められることも多いものです。わからないことは早めに事務局に相談しましょう。

9.補助事業実施

基本的に、交付決定から12カ月以内、採択通知から14カ月以内に補助事業を終了しなければいけません。

10.補助事業終了・実績報告・確定検査・補助金請求

報告書や領収書など必要書類をすべて揃えたうえで、確定検査が入ります。領収書不備や交付申請と異なった経費は却下されます。交付決定された補助金額の全額をもらえない可能性もありますので、補助事業実施期間中の管理の徹底と懸念事項や問題発生時は必ず事務局に相談するようにしましょう。

11.補助金受領・事業化状況報告

補助事業が早く終われば早く補助金ももらえますが、終了後5年間の事業化状況の報告義務があります。返さなくていいお金を数千万もらえているのだから当然の義務だと思ってください。

ちなみに、補助金で得た設備を勝手に売ったり移動させたりすることはできませんので、都度、事務局に相談してください。

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注意すべき主な変更点

第10回公募では、新型コロナで打撃を受けた中小企業の復活支援から、ポストコロナ時代に積極的かつ大胆な挑戦への支援に目的が少し変わっています。それに伴い、対象者や枠の増設など多くの変化がありますので、しっかり押さえておきましょう。

8つの枠

メインとなるのが「成長枠」です。従来は「通常枠」でしたが、変更となりました。ポストコロナ・ウィズコロナ時代に合わせて、大規模な事業転換や新分野展開に取り組む事業者の支援です。「成長枠」と共に「産業構造転換枠」、「サプライチェーン強靭化枠」の3つが新設されました。

従来と同様にコロナの影響で10%以上売上高が減少している、業況が依然厳しい事業者向けに「最低賃金枠」、「物価高騰対策・回復再生応援枠」があります。補助率が、最大3/4などと高いことが特徴です。

付加価値額

第9回までは、補助事業終了後3~5年で付加価値額が年率平均3.0%以上の増加する見込みの事業計画の策定が条件でしたが、第10回では、「成長枠」「グリーン成長枠」では、付加価値額の年率平均が4.0%以上増加となりました。より実現可能性の高い事業計画の策定が求められます。

賃金引上げ・規模の拡大へのインセンティブ強化

成長枠およびグリーン成長枠の補助事業を通して、中小企業から中堅企業へステップアップすることを支援する「卒業促進枠」と大規模な賃上げに取り組む企業を支援する「大規模賃金引上促進枠」が新設されました。

また通常枠では、大規模な賃金引き上げで、補助率が1/2から2/3に引き上げられるなど、賃金引上げをする中小企業を増やしたいといった意向がみられます。

審査項目・加点項目

上述の通り、成長枠、グリーン成長枠では、付加価値額を年率平均4.0%以上増加のより高い成長を実現する事業計画を求められています。

「事業化点」では、「事業化に向けて、中長期での補助事業の課題を検証できているか」の文言が追加されました。売上減少や人材不足などの問題の裏に隠された本質的な課題をしっかり検証できているか、そしてそれを目先の短期的な対応ではなく、5~10年の中長期の視点で考えて事業計画を作成しているかがもとめられています。

「再構築点」では、事業再構築の必要性についてのより深い分析と、複数の選択肢の中から最適なものを選択するよう求めています。また既存事業とのシナジー効果や、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に適切に対応できていることの説明が求められています。

「政策点」では、より生産性の向上が見込まれる分野への大胆な事業再構築の取組みや賃金の引き上げを求めています。

「加点項目」では、選択する枠別に、より細かく内容が拡充されています。主には、大幅な賃上げを実施する事業者に対する加点やパートナーシップ構築宣言を行っている事業者への加点、ワーク・ライフ・バランス等の取組に対する加点などがあります。

「減点項目」が今回追加されました。過去に採択された事業者や複数事業者の連携に対して、内容によっては減点の対象となります。

事前着手制度

第10回から事前着手申請が可能な申請枠は、「最低賃金枠」と「物価高騰対策・回復再生応援枠」、「サプライチェーン強靭化枠」の3つだけとなりました。基本的に、交付決定以前の発注は無効となりますが、事前着手申請をすれば事業をいち早く始めることができます。ただし採択されないリスクがあるので注意が必要です。 

まとめ

一発で採択を得ることは理想ですが、簡単ではありません。最低2回連続申請を想定して臨むことをお勧めします。以前と違って、今は事務局の対応が手厚くなっており、不採択だった場合の理由もある程度教えてもらえます。よって2回目の採択率はかなり上がるはずです。1枚の書類不備や記載ミス、条件や枠の認識間違いなどケアレスミスでの不採択に陥らないよう、念には念を入れて公募要領と申請書類を何度も確認しましょう。そして余裕をもって取り組むことをお勧めします。

第11回目以降のスケジュールは未定ですが、年度内にあと3回実施することは決まっています。新しくなった事業再構築補助金に積極的にチャレンジしてみましょう。

私も認定支援機関として事業再構築補助金のサポートをしています。メール相談・初回面談は無料です。お気軽にお問い合わせください。

執筆者プロフィール:
ドリームゲートアドバイザー 神吉 耕二(かんき こうじ) /KMC株式会社

補助金採択率90%、補助金に精通したベテランの中小企業診断士です。創業前の方を含めた、若手経営者ゼミナールを毎年開催しており、起業家の育成に力を注いでいます。

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神吉 耕二(かんき こうじ)

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