インバウンドビジネスにおける「アフターコロナ」を考える

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: 吹田 滋

私は、インバウンドビジネス、特に旅館業、民泊についての許認可を中心に業務を行っている行政書士です。

2020年3月期の外国人の入国者数が前年同月比で90%以上減という状況になっています。これで”インバウンドビジネスを”と現在、弊所は大きく喧伝することはできません。

しかしながら、ノアの箱舟の洪水のように一旦リセットされたという考え方もあります。つまり「誰もが同じスタートラインに立った」ということでもあるのです。

そこで今後どういったインバウンドビジネスを構築すればいいのかを考察しました。

オリンピック延期を「時間猶予」と捉える

今、インバウンドビジネスをやっておられる方は「撤退」か「継続」か、という選択を迫られているかと思います。

部屋や店舗など不動産を賃貸している、そして従業員を雇用している場合は、撤退基準を定めること、さらには様々な公的支援、融資制度、補助金等の申請などをしてみることを早急におこなってください。これらの支援を受けるには、許認可や労働法などの法令順守をすることが大前提です。しかしそれを守っている事業者が少ないという話も聞きます。

東京オリンピックで収益性を担保するという事業計画であれば非常に難しい状況かと思います。延期にはなりましたが、世界中のコロナ禍が無くなるという保証はまったくありません。

あまり刹那的な話ばかりだと怒る方もいるかもしれませんが、東日本大震災とは違って全世界が今、被害を被っている状況であることを認識する必要があります。

そして継続を考えるなら、この一年の延期が、法順守を整えるいい時間猶予だと考えてください。

弊所のお客様も法順守に対応するために経営をクリーンにしたいという方もいます。そのために新たに法人設立をするという大きな決断をされた方もいます。

色々と具体的な事業計画を聞き、金融機関も紹介し、こんな時こそチャンスだとコンサルしています。

「ネオインバウンドビジネス」を考えよう

前述のように弊所は、数社の顧問先の法人さまと今後の事業相談を行っています。

その中で気が付くのは収益分散をしているか、しなかったかの差が歴然とあるということです。

「外国人観光客のみをターゲットにしていた」というのと、「外国人と日本人観光客をターゲットにしていた」というのとで何が違うかは、ターゲットが外国人だけか日本人もかの違いだけではないのです。観光客という共通のとらえ方なのです。

「観光客と宿泊、飲食」この狭いアイデアも捨てなければインバウンド回帰を迎えてもジリ貧になるだけかと思います。

「ネオインバウンドビジネス」を考え、構築していくことに時間を割くべきだと思います。

「アフターコロナ」も以前の考えでいけるか

日本がなぜ民泊ビジネスに向いているかという点で私は、「安全」と「衛生」、この二つのことが日本には無形の資産としてあり、この二つが民泊ビジネス、インバウンドビジネスに親和しやすいからだと主張してきました。

コロナウイルスの影響で今、世界中に「衛生」、「抗菌」、「免疫」、「健康」などのキーワードが根付きつつあります。

日本はこれらに取り組んで世界にアピールしないと生き残れないと考えています。

これらキーワードを大きくまとめると「医療」にあたるかと思います。

コロナ騒ぎの前の話ですが、例えば、私の知り合いのクリニックは都内一等地にあります。患者さんは保険診療の日本人もいますがCTスキャンやMRIなどの高度な治療機器を持っていて「脳ドック」、「腎ドック」「がん検査」のように外国人をターゲットに日帰り検診を行っています。自由診療なので見方によっては自由に報酬設定が可能になっています。

こういったサービス形態は医療ツーリズムとして市場に存在しています。

これに宿泊、患者の家族の観光、送迎サービスなどを組み込んでいく、海外の健康に関心のある富裕層をとりこめるというわけです。

従業員もネイティブ言語で会話ができる医療クラークを雇用するなど雇用を創出することもできるのです。

今後は「観光」、「宿泊」、「飲食」そして「医療」がインバウンドビジネスの切り札になるかと思います。

「医療」といっても「抗菌」、「免疫」など健康グッズもいいかと思います。

時間は買えない「延びた一年を有効」に活かす発想が大事

経営の神様と言われた松下幸之助さん、また、その薫陶を受けた多くの経営者は、「不況の時こそ投資をしろ!」ということを言っています。

それは金銭的な投資ではなく、人的投資も含めてです。また京セラの稲盛和夫会長は「利他の心」で考えろと説いています。

ある電器メーカーは不足するマスクを生産し、航空会社の職員もマスクを生産しました。こういった設備への投資や労働力のシェアリングは素晴らしいことだと思います。

その反面、あるタクシー会社では600名のドライバーが解雇されました。

こういった運転のスキルを持った人たちを、物流の肝でもあるトラック運転手に転用するとか、介護施設の送迎車両の運転手として雇用するなどワーカーシフトを国ではなく、民間大手企業が率先して行うべきです。営業許可やら規制など色々問題があるかもしれませんが、コロナ危機が去った後に規制やら法的クリアを立法府(国会)が合法的に処理していくことで済むはずです。

大きなパラダイムシフトがビジネスには起きています。テレビカメラや会議ソフトなどが当たり前のようになり、ライブハウスの代わりに動画配信。テイクアウトが主流になり、宅配サービス業者が忙しくなる。

今まで普通に享受していた社会サービスが受けられなくなって、新しいビジネス価値が生まれてきています。

そこにアフターコロナのビジネスチャンスが出てくると思います。

インバウンドビジネスのお手伝いをします

弊所は、行政書士の域を超えたベンチャー創業のお手伝いをいたします。

あなたの夢や構想、法人設立、許認可や外国人ビザ、他にも他士業に係わる専門家のご紹介や金融機関へのご紹介も行っています。

インバウンドビジネスを行なっている事業主の方は、ぜひご相談ください。

執筆者プロフィール:
ドリームゲートアドバイザー 吹田 滋(すいた しげる) /見晴らし坂行政書士事務所

前職は経済情報番組で1000社以上の企業取材をしたTVディレクターという異色な経歴を持ち、現在は民泊・旅館業許認可を中心に活躍する行政書士。インバウンドビジネスのスペシャリストです。

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ドリームゲートアドバイザー吹田 滋氏

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