店舗の従業員の定着化に何が必要か?

人事・労務

執筆者: 田口 勝

人手不足で悩む店舗型ビジネス

最近の話題として、飲食業や小売業、サービス業などの店舗型ビジネスでは人手不足が非常に問題となっております。実際に店舗のオペレーション業務を行う従業員さんが不足しているために、時間短縮や閉店まで出てきている状況となっております。

そのため、店舗では従業員の確保に非常に大きな予算をつかって募集を実施しているのが現状です。しかし、募集や採用も重要ですが、それ以上に重要なことがあります。
それは、「従業員の定着化」です。人をどれだけ募集をして採用が出来たとしても従業員さんが定着化できなければ、継続して従業員の募集や採用活動を実施しなくてはなりません。

これは、店舗型で永遠に新規客の誘引ばかりに力を入れているのと同じであり、必ず限界がきます。そのため店舗では当然リピーター対策を取りますが、この従業員さんという視点が従業員の定着化ということになります。

従業員が定着化しない理由とは何か?

従業員が様々な理由で退職をしていきます。例えば、「学校の都合であったり、やりたいことが見つかったであったり、時給や給料が安いから」等です。
私も仕事柄様々な従業員さんとお話をする機会があります。そのような従業員さんの相談に乗ることもありますが、本当の理由を店長に話をして辞めていくケースは少ないのではないかと思っています。

私は一番の理由は、
「職場環境が合わない」や「やりがいを感じない」
ではないかと思っています。それ以外は環境の変化(転勤や進学等の都合等)以外では比較的少ないのではないかと思っています。時給や給料についてはどうかという話をよく言われますが、時給や給料が本当の理由であれば、最初から明示している事項であり、最初に誇大的な話を面接でしていない限り、ある程度は従業員さんとしては想定しているものであると思っています。

また、店舗で時給や給料を上げるには、生産性を上げる他ありません。
生産性とは、売上を上げたり、利益を上げたり、同じ人件費で今まで以上の仕事が出来るようになってもらうということです。つまり、従業員の仕事が出来るようになってもらわないことには、時給や給料に還元することは、なかなか出来ないというのが実状です。

また、「やりがい」は基本的には仕事ができるようになれば、「やりがい」は必ず感じるものであり、職種ではないと思っています。そのため「やりがい」と「従業員の戦力化」は相関関係があるものと思っています。

そのため、店舗の定着化で改善をして頂きたいことは、「職場環境の改善」「従業員の戦力化」であると思っています。

職場環境の改善

職場環境の改善はどのようなことを実施すれば良いのでしょうか?
働きやすい職場ということが目的ですので、従業員がどのような職場を働きやすいと感じるかが重要となります。

仲の良い職場

仕事をしている仲間との関係が非常に良い職場です。昔はよく実施していたのが、仲間と飲みにいく等ですが、最近は敬遠されるようになってきています。そのためには、休憩時間に楽しく過ごせるような会話や休憩場所の配慮や手軽なランチ会等が行われるようになってきています。

全従業員では難しくても仲の良いメンバーだけで気軽にプライベートも楽しめるような環境をあえてつくると効果的です。従業員間でのもめごとや仲が悪いようであれば店長が間に入り、関係を修復することも必要であると思います。

その他、個人面談を定期的に実施し、仕事だけでなく、プライベートも何に悩んでいるのかをしっかり把握していることが重要です。従業員の定着化をしている店長は、従業員のプライベートの悩みもよく相談を受けていることが多いものです。最終的には、店長の従業員への配慮が一番この環境をつくる源泉となりますので店長の役割が重要となります。

ワークラーフバランスの取れる職場

働きやすいとは、例えば主婦の方であれば、子供さんに熱が出た際に休めたり、学生であれば、試験期間中の休暇や自分の都合で働ける職場を好む傾向があります。上記を実現するためには、代わりに入れる人が必要ということになります。

人数を多く抱える必要があるということです。学生であれば、同じ学校ではなく、様々な学校から採用することであったりすることですが、私の過去の経験ですと、もう少しシフトに入りたいという程度で個人毎にシフトをコントロールした方が、このような事態を避けることができます。
これはあくまでも採用がある程度順調にいっている場合に取れる方法ですし、採用をしても職場に定着しなければ実現ができませんので、採用と両輪での活動が必要になります。

必要な給与が獲得できる職場

これは、面接の段階で非常に重要なのですが、あくまでも従業員は、給料をもらうためにきていますので「いくら必要なのか?」を正式に把握しておかなければシフトを組むことができません。面接の段階で最低限必要な給料をしっかり聞いておくことが必要です。

従業員の戦力化

「仕事ができれば仕事は楽しい」これは私の持論でもありますが、仕事が出来れば評価もされますし、楽しくもなります。良く「褒めて育てる」という話もありますが、店長という管理者として「なにもかにも褒めることはできない」というのが実状ではないかと思います。

そのためには、従業員さんには「仕事が出来るようになってもらう」ことが必要であり、そのために重要なことは「責任と権限」「情報の共有化」「検証」の3つではないかと思っています。

責任と権限

「仕事を任せる」これは当然、その権限をもらうと同時に責任も負うことになります。「任せることができない店長」は、従業員に責任と権限を与えていないことが多いものです。

「人は責任で育つ」という考えもありますし、私は積極的に仕事を任せる必要があると思っています。そのために注意すべきことは責任だけ与えて権限を与えない場合は、従業員は何もできないため、責任も与えるのであれば権限も与えるべきです。

店舗でリーダー制をとる企業もあります。従業員の中からリーダーを作り、店長はリーダーとコミュニケーションを中心に行い、リーダーから従業員教育やコミュニケーション、評価等も行う方法です。この方法は同じ従業員という立場から格が一つ上になるため、従業員の尊厳の欲求を満たす方法ともなりえます。

情報の共有化

「情報の共有化は実施している」と言われている店長も多いものだと思います。しかし、実際には、充分な情報共有が出来ていない場合も非常に多いというのが実状です。

店舗の目標や具体的な達成行為、現在の現状、そして従業員さんにやって欲しいことを明確に伝えることは、非常に従業員戦力化で重要なことです。店舗がどのような方向に向いているのか?自分は何をしてなければならないのか?を伝えることが従業員の戦力化を図る上で非常に重要なポイントです。

そのために朝礼や従業員ミーティングを実施して頂くことをお勧めしております。その中では最低限、先日(先月)の検証と本日(今月)の目標設定と具体的な行為計画、成功事例の共有は実施して欲しいポイントとなります。

従業員の戦力化としては、まずは情報共有の場をつくることが重要であるため、ぜひご検討や内容の再検討を実施して頂きたいと思います。

検証

従業員の戦力化を図る上で最重要なことは検証です。これが店舗では一番抜けがちになります。指示を出したことに対して検証をする。実際に店舗で取り組んだことについて検証をする。検証は数値だけでなく、具体的な行為も検証を実施した上で、何が出来た要因で何ができなかった要因なのかを明確にする必要があります。

従業員としては、検証がないと「やってもやらなくても同じ」ということになり、実行の徹底度が大幅に下がる結果になるだけでなく、店舗の公平性も欠く結果となります。

店長が意識的に検証を実施すれば、従業員の戦力化は大幅に進みますし、従業員の動機付けにも大きく繋がります。つまり「やりがい」に繋がるということになります。

この検証も随時実施するでは抜けや漏れが発生しますので、場が重要となります。朝礼や従業員でその場を設けることが重要となります。また、従業員個別との目標面接を実施し、検証を行うことも有効であると存じますので、参考にして頂ければ幸いです。

さいごに

従業員の定着化は即効性のある施策はなく、店長の地道な職場環境づくりや従業員の戦力化が重要な施策になると存じます。採用も重要ですが、それと同じ程度定着化を図らなければ、今後の人手不足の環境を打破することができません。このような課題をお持ちの皆様につきましては、我々専門家にご相談いただければより具体的なアドバイスをさせていただきます。

執筆者プロフィール:
ドリームゲートアドバイザー 田口 勝氏
(株式会社販路企画 代表)

経営コンサルティング会社勤務後、フランチャイズ業界最大手の株式会社セブン・イレブン-ジャパン本部でSV及びマネージャを経験。店舗売上拡大のエキスパート。
17年以上のコンサルティング経験で支援実績:200社以上。
ドリームゲートアドバイザーグランプリ:市場調査・分析部門で1位を獲得。

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ドリームゲートアドバイザー 田口 勝氏

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