Vol.03 VC(ベンチャーキャピタル)出資話が白紙に戻された失敗事例

会計・ファイナンス

執筆者: ドリームゲート事務局

VC(ベンチャーキャピタル)からの出資のアプローチがあったのに、折角のチャンスを台無しにしてしまった事例をご紹介します。

事例研究

 A社の社長はベンチャー企業を立ち上げた後、順調に業績を伸ばしてきました。順風満帆で経営的にも安定してきました。そんなとき、ベンチャーキャピタル(以下VC)から連絡がありました。「投資を前提に話がしたい」とのこと。社長は、資金的にも厳しさを感じていたので、早速会うことにしました。話し合いの末、社長はさらなる業務拡大を図るためVCからの出資を受けることにしました。現状の業績を説明するため、過去の決算書を基に説明を行い、A社の今後の事業計画書を作成しました。

 業績はよい会社なので、VCにとっても好印象だったようです。いい流れで打ち合わせも進み、出資話に期待が持てそうで、社長もほっとしたのと同時に、自信が湧いてきました。

 

甘いワナ

 数日後、VCの担当者から連絡が入りました。「最初は小額だけど出資をしたい」とのことでした。社長は有頂天になりました。一から自分でやってきた事業が認められたのですから、嬉しいものです。今後は資金繰りから開放されるし、経営的にも安定する。自分にご褒美をあげたいぐらいです。

 嬉しくなってしまった社長は、早速、記念に買い物に行きました。そして、欲しかったけどなかなか買えなかったブランドの腕時計を購入することにしました。これで、他の経営者仲間に自慢ができそうです。今までがんばってきた自分へのご褒美と考えれば安いものです。

 VCの方もちょくちょく会社に顔を出してくれます。いつも他愛もない話をしたりしています。「いろいろ気に掛けてくれるよい方たちだぁ、特にうるさいことも言わないし…」うまく付き合っていけば、希望金額通りの出資をしてくれるはず。会社の今後の展望について、毎回、丁寧に説明しました。業績も徐々に伸びています。

 

突然の「白紙」話

 ある日、いつものようにVCの方が見えました。いつものように会社の未来について話し始めました。ところが、今日は雰囲気が違います。

 「すべてを白紙に戻して欲しい」、厳しい態度です。
 社長はあっけに取られてしまいました。決して業績はわるくないし、会社の事業計画も完璧に作ったはずだ。なぜだろう…わからない…。
 
 「白紙に戻すとはどういうことですか?」
やっとの思いで聞いてみました。今後の出資はなしで、さらに前回の出資も併せて引き揚げたいとのこと。どういうことなのか?
 契約書を改めて見ると、「VCの判断によっては出資後半年以内なら出資額と利子相当分を負担の上買い戻さなければならない」ということが書いてある。
 そんなのよく読んでいなかった。ちゃんと読んでおけばよかった。どうしよう。あんなにウカれていた自分はなんだったんだろう。
 では、何でこのようなことになってしまったのかを検討してみましょう。

 

VCの視点

 VCは数多くの会社に出資していますが、そのなかのすべてが上場するわけではありません。20%前後という話もあります。ベンチャー企業は実績という実績がないのが普通です。ですから、判断材料として経営者の資質により評価する部分が多大にあるのです。

 実は、社長は出資が決定した後、ブランド物の時計を買ってしまいました。VCの方たちは社長の時計が替わっているのを見逃しませんでした。ちょっとした成功で事業以外のものに投資してしまう、しかも、個人的に浪費してしまうことなど、経営者の資質としては不合格です。

  VCはそれを見極めるために、あえて小額の出資を申し入れたのです。そして、ちょっとした気の緩みによって、社長は不合格と評価されたのです。仕方がありません。

 ここで、注意しなくてはいけないことが二つあります。

1、出資してもらうお金は株主のものであって、あなたのお金ではないということ。
 銀行からの借り入れであっても同じことがいえます。事業拡大のために出資して
 くれたものであることを忘れてはいけない。あなた個人に出資をしてくれたわけ
 でではありません。あなたの使命を忘れないようにしなくてはいけません。
 

2、契約書をきちんと確認していなかったこと。
 経営をする以上は、さまざまな契約書にサインをすることになります。それが何
 を意味するのかを理解した上で、サインをするようにしましょう。基本的なこと
 ですが、内容がよく分からないと、「まあいいか」とサインしてしまうことがあ
 ります。自分で内容を確認しましょう。わからない場合は、専門家を活用するこ
 とも重要です。

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