アマゾンジャパンの法人税が増えた理由と、タックスヘイブンについて考える

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日本法人のアマゾンジャパンは、かねてより日本においての納税額が少ないと指摘されていました。

アマゾンの米国法人と業務委託契約を結び、米国法人で多く売上と利益が発生するスキームとなっており、その結果日本で納税するよりも節税効果があったことも事実と言われております。

しかしながら、ここ2〜3年については、アマゾンジャパンの日本での法人税の納税額が急激に増えております。法人税については、直近2年で約300億円の納税があったと言われております。

タックスヘイブンは本当に有利なのか

近年アマゾンジャパンの日本での売上、利益増による納税が増えた理由として、外国法人が契約主体では日本の医薬品や医療機器販売に参入できない点や、事業展開における融資などの制約が増えてきたことが挙げられております。

節税のための外国主体の法人設立としては、シンガポールや香港などを本社とした法人を設立することで、納税負担を軽減する方法なども有名です。いわゆるタックスヘイブンに法人を設立するということです。

ネット社会である今日において、会社の本拠地が外国であっても、日本を含めてグローバルに事業展開が可能であることから、新規に法人を設立する際に、日本で取引を行う場合でも海外で法人を設立するケースは今後も増えてくることになると思います。

ただし、これから中小企業が新規事業を立ち上げる際に、グローバルな取引を行うものの、メインの取引が日本で行われることが想定される場合は、現状としては日本を本店として設立するメリットはじゅうぶんあるものと考えられます。

日本法人を本店とするメリット①金融機関との取引

まず重要なのが、日本で融資を受けるには、日本の法人の方が圧倒的に有利であるということです。特に日本政策金融公庫は、日本において公益性が高い金融機関であり、融資に際して日本の税金などをきちんと納税しているか否かが審査の対象となります。日本政策金融公庫は日本で新規事業を行う際、資金面で重要なサポート機関であり、商工会議所とのつながりも強く、日本政策金融公庫との円滑な取引無しでは、日本における円滑な事業展開は難しいと言えるでしょう。

さらに、近年は民間の銀行でも、税金の支払い状況などを審査の際にチェックする傾向にあります。やはり日本で融資を受けるためには、日本での取引内容や取引規模、納税状況が有利に働くのが現状と言えるでしょう。

また、日本の開業資金を受けるための制度融資や助成金制度も、情報を集めれば意外と充実していることも理解できると思います。制度的には、日本は起業者に優しい国という側面もあるのです。

日本法人を本店とするメリット②輸出免税取引

日本では消費税が10%となり、国内取引における中小企業の負担が大きくなっていると言われております。しかしながら、特に輸出取引などを行っている大企業においては、日本の消費税制度が大きなプラスとして働いているケースがあることをご存じでしょうか。

日本の消費税制度では、「輸出免税制度」という制度があります。これは、日本から海外へ商品やサービスを輸出した場合、その商品・サービスには日本の消費税を課さないという制度です。

さらに特筆すべきなのは、海外に輸出するために国内で仕入れた商品などに係る消費税については、確定申告することで還付を受けることができるのです。つまり、日本から海外に輸出するビジネスについては、仕入や経費、売上のすべてにおいて、日本の消費税の課税を受けずに取引ができることになります。

さらに自動車産業など、多額の輸出取引を行っている会社などは、消費税の還付を受ける際に、還付加算金という利息が上乗せされて税金が戻ってきます。

この制度は、中小企業においても大きなメリットと言えるでしょう。国内で融資や取引を受けるには日本法人であることが有利に働き、海外への輸出取引においては消費税の優遇制度があるという現状は、日本を本社としてグローバル事業を行うメリットが十分あるものと私は考えます。

さらに観光事業についても、海外からの観光客に物品を販売する際も、免税店として登録すれば、販売品に消費税がかからず、輸出と同様、仕入に係る消費税も還付を受けることができます。海外観光客が増えてきている日本の現状においては、メリットの高い制度かと思います。

タックスヘイブンの危険性

タックスヘイブンといわれる、税負担が少ない国を本社として事業を行うケースは多々ありますが、日本とタックスヘイブン国で同盟を結び、租税回避を行っている実態の無い会社(ペーパーカンパニー)の摘発に積極的になってきております。

中小企業においては、日本の消費者、企業と取引をするにしても、グローバルに取引を展開するにおいても、日本における税制や金融機関との取引のメリットを最大限活用し、法人設立のスタートは日本で行うという優位性も考慮して、起業を検討してもらいたいものです。

執筆者プロフィール:
ドリームゲートアドバイザー 加賀谷豪(税理士、ファイナンシャルプランナー)
株式会社ピクシス 代表取締役/税理士法人アクシオン 代表社員

1981年 北海道札幌市生まれ
同志社大学卒業後、税理士事務所業界経験12年の内、起業者の税務顧問をメインとして携わる中で、より起業支援に特化した研修、勉強会などのサービス提供を目的として、平成26年に株式会社ピクシスを設立。マーケティング戦略・ネット集客に係るプランニングにより、売上のビジョンを明確化するという目的と、それによる充実した事業計画を作成活用することで、融資対策につながるご提案を目的とした起業者向け勉強会を継続的に行っている。平成28年に税理士登録とともに、税理士法人アクシオンを設立

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ドリームゲートアドバイザー 加賀谷 豪氏

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