創業融資の面談時に聞かれる7つの質問と回答例

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: 小峰 精公

私は東京・池袋でV-Spiritsグループの資金調達担当として活動しているドリームゲートアドバイザーの小峰精公です。これから創業融資を考えている方や、すでに開業していて資金繰りに困っている経営者および個人事業主を対象にコンサルタントとして支援しています。

中小零細企業にとって、資金調達は事業の行方を左右する大事な局面です。

私自身は朝日信用金庫で10年間、事業融資を中心に営業担当をしていました。10年間で累計300社を担当し、1,000件を超える融資に携わってきました。

信用金庫担当者として、また起業支援をしている今の立場を踏まえた上で、創業融資の面談時に聞かれる7つの質問と回答例についてお伝えしていきます。

創業融資の時にはなぜ面談を行うのか

創業融資の時に金融機関が面談を行う理由はいくつかあると考えられます。第一に全くわからない新規企業に対し書類のみで融資判断はできないからです。当然、書類上の審査が大半を占めていますが、経営者の人柄についても審査事項の一つとして考えられています。特に注意しなければいけないのが、時間や期日などの約束を守ることや、嘘をつくこと、横柄な態度は金融機関が一番嫌う人物像になります。このような点も含めて面談はとても大事です。次からは本題の面談時に聞かれる7つの質問と回答例について解説していきます。

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面談時に聞かれる7つの質問と回答例

中古車販売業で起業する経営者をモデルケースにしています。

1.創業の動機

<質問>

今回創業されるのはどのような目的や動機からですか?

<回答例>

私は大手自動車ディーラーでの経験を活かして、私の出身地である〇〇県〇〇市周辺の交通事情を改善したいと考えたからです。具体的には一家に二台の車が必要な地域性となっていて、かつ2台目は軽自動車である比率が高いです。ニーズがある地域にも関わらず近隣に軽自動車の品揃えが良い自動車店が無かったため、自身の手で地域の生活質の向上に寄与したく起業することを決意しました。

*ワンポイントアドバイス

  • 創業の動機はご自身の内側にある想いを素直にアウトプットしてください。間違っても、儲かりそうとか簡単そうなどの理由は心象が悪くなりますので控えるべきです。

2.経営者(事業者)の略歴

<質問>

これまでの事業経験等について教えてください。

<回答例>

私は20053月に〇〇大学を卒業し、翌4月より大手自動車ディーラー株式会社〇〇で営業職として入社しました。営業職時代にはお客様11軒のニーズを観察し、地域ごとの特色を掴み上位の営業成績を残すことができました。その後、2018年に店長に昇進。約4年間店長としてマネジメントはもちろんのこと、整備技術に関する知識や業界関係者との人脈形成ができています。本事業を行うにあたり、販売経験を通じて地域性を考慮した戦略を立てることができます。また、外部の整備工場2社とも提携が決まっていますので、事業運営における問題点はありません。

*ワンポイントアドバイス

  • 融資審査員はただあなたの略歴を聞いているだけでなく、これから行う事業に対してプラスかどうかを判断しています。当然、未経験分野での起業となるとマイナス要素にもなりかねません。審査において事業経験はとても大切な要素の一つといえます。

3.事業の具体的内容

<質問>

具体的な事業内容(取扱商品・サービス・ターゲット)を教えてください。

<回答例>

中古自動車販売を行います。取扱商品は軽自動車を中心にラインナップを取り揃えています。メインターゲットは一般個人を想定しています。事業の流れは、①一般個人から車を買取り→②買取り車を整備→③販売をひとつの流れとしています。販売ルートは、店頭販売を50%、インターネット経由が50%の比率で行い、集客は業界専門誌を中心にWEBを活用していきます。

*ワンポイントアドバイス

  • ここでは、誰に・何を・どのようにといった形で伝えていくことが審査員にとっても理解しやすいです。注意したいのが審査員はその業界に特化した専門家ではないので、先端的な技術や専門的な内容をそのまま伝えてもどの程度理解できるかはわかりません。そのため、誰が聞いてもわかるレベルの内容にしてから伝えることをおすすめします。

4.他社との差別化要因と強み

<質問>

あなたの事業の強みと他社と差別化している点について教えてください。

<回答例>

強みは約16年間、自動車ディーラーで培った営業力と目利き力です。特に、中古車販売で大事なのが車の状態です。車の状態を見極められることにより、適正な仕入と販売が可能となります。

他社は人気のファミリーカーや高級外車を中心に販売しています。当社では軽自動車を中心としているため対象顧客が被りません。この点が他社と差別化が図れているポイントです。

*ワンポイントアドバイス

  • 他社との差別化や強みについては、審査員が頭の中でイメージできるものがよいでしょう。あまりにも尖りすぎている場合には、それが差別化や強みなのか見当違いなのかの判断もつきません。あくまでも審査員が理解してこその差別化や強みになりますので、伝え方には注意が必要です。

5.売上計画について

<質問>

初年度売上計画について教えてください。

<回答例>

初年度売上は2,000万円を目標に活動していきます。詳しくは事業計画書に記載してありますので参照ください(作成していると仮定)。1年後、軌道に乗った際の説明をさせていただきます。月間売上は350万円を想定し、中古自動車5台を販売予定です。販売単価は1台あたり70万円前後であり、1台あたりの仕入値は50万円前後と設定。粗利として100万円が確保できる計算となります。月間諸経費が60万円必要ですので、単月営業利益は40万円確保することができます。また、自動車業界は例年、年末年始にかけてボーナス商戦が行われ販売増加する時期であることから、先がけて積極的に営業活動を行っていきます。

*ワンポイントアドバイス

  • 売上計画はわかりやすさが大事です。業種によって販売方法は異なりますが、「販売数×単価」で算出するのが基本です。

6.資金計画について

<質問>

今回、融資申込金額は700万円ですが、事業運営に必要な資金計画を教えてください。

<回答例>

総額1,000万円を要する資金計画となっています。調達面ですが、資本金300万円に加えて金融機関からの融資700万円を受けて1,000万円とします。一方、資金使途は中古自動車仕入資金800万円、整備にかかる外注費や販路拡大のための広告宣伝費を中心とした諸経費として200万円が必要となります。本事業では長期の掛売りがなく翌月末までには資金回収が可能となるためキャッシュフローの懸念はないものです。

*ワンポイントアドバイス

  • 資金計画は明確にしましょう。最近借りられるだけ借りておきたいといった声が多いです。金融機関は運転資金だとはいえ目的が不透明な資金については前向きに融資はしません。売上計画同様、資金計画もしっかりと立てる必要があります。

7.個人資産及び借入状況について

<質問>

自己資金として事業へ捻出する資金以外の個人資産を教えてください。また、借入等ございましたら併せて教えてください。

<回答例>

A銀行に定期預金100万円と終身保険の解約返戻金で200万円あります。

また、妻と子供名義ですが100万円あります。借入については住宅ローンがあります。残高は2,500万円、残り返済期間は25年間です。個人的なフリーローンの利用はありません。

*ワンポイントアドバイス

  • 金融機関では自身の資産状況が中心ですが、親族の資産背景もプラスとして判断されます。
    借入については、目的のある住宅ローン・マイカーローン・教育ローンなどと、目的のないフリーローンやキャッシング等に分かれます。目的のない借入についてはマイナス評価となります。また、とても大事なこととしてクレジットカード関係の引落しを中心とした個人信用情報もチェックされます。個人信用情報の状態によっては土台にも乗らないこともありますので、日々気をつけていかなければいけません。

さいごに:自分の言葉でわかりやすく説明することがもっとも重要

創業融資における面談について紹介しました。あくまで一般的な事例となっておりますので、別の質問が来ることも考えられます。また、金融機関や担当者によっても変わります。私自身も信用金庫の営業担当の時には、定型的にヒアリングすることと、自分が興味を持って話を聞きたいと思う事項を分けていましたので。面談で必ず押さえておくべきは、自分の事業を自分の言葉でわかりやすく説明することが一番重要だと思います。これから面談を迎える方はぜひ活用してみてください。

V-Spiritsグループでは、税理士法人を母体とした起業家支援の各種専門家が在籍しています。融資相談はもちろんのこと、資金繰り・補助金・税務相談等の相談も承っております。

初回面談無料ですので、ぜひお気軽にお問合せください。

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執筆者プロフィール:
ドリームゲートアドバイザー 小峰 精公

累計15億円を融資してきた、元信金マン。起業コンサルティンググループV-Spirits(代表 中野裕哲)で資金調達コンサルティングを担当している小峰アドバイザー。明るく朗らかなお人柄と野球一筋で培ったエネルギッシュな対応力が魅力です。

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ドリームゲートアドバイザー 三村 智子

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