会社経営に必要な法律 Vol.31 自分で撮った写真なのに『著作権侵害』!?

会社経営に必要な法律
読売旅行は、同社のチラシやパンフレットに、著作権者の許諾を得ずに写真を掲載していたことを発表しました。そこで今回は、このニュースを題材に、写真を利用する場合の問題について説明をしていきましょう。

1.ニュースの概要

 報道によれば、2008年10月11日、株式会社読売旅行は、同社の新聞折込チラシやパンフレットに、著作権者の許諾を得ず、写真を使用していたことを発表したということです。これは、写真レンタル会社による抗議を受け、読売旅行が調査委員会を設置して調査を行っていたことで明らかになったものです。

 

 

 

 

2.法律上の問題

 今回のニュースでは、写真の著作権が問題になりましたが、写真に関する法律上の権利としては、次のように、さまざまな問題があります。

 

(1)被写体の肖像権

 被写体が人である場合には、被写体の肖像権が問題となることがあります。肖像権とは、判例上認められてきたもので、事前の許諾等を得ることなく自己の肖像を撮影されない権利をいいます。これは、主に個人のプライバシー保護を目的としたものです。

 

(2)パブリシティ権

 被写体が、芸能人であるなど、その肖像に経済的価値がある人の場合には、さらに、パブリシティ権が問題となります。パブリシティ権は、芸能人などの肖像は、広告などに利用されることにより顧客吸引力を有する点で一般私人とは異なる経済的価値を持つことに着目したものであり、判例上認められています。

 

(3)被写体の著作権

 著作権法上、著作物として保護を受けるものは、思想感情を創作的に表現したものであるとされています(著作権法2条1項1号参照)。そこで、被写体がこれにあたる場合には、被写体自体に著作権が認められます。

 例えば、被写体が絵画である場合などは、その写真を利用するにあたってその絵画自体の著作権が問題となります。これに対し、被写体が富士山などである場合、被写体自体は誰かによって創作されたものではないため、被写体の著作権は問題となりません。

 

(4)写真の著作権

 著作権法上、被写体を撮影した写真は、被写体とは別個に著作物としての保護を受けます(著作権法10条8号)。この場合、写真を撮影した者が著作者となります。

 ただし、写真にも、さまざまなものがあり、アングルの工夫など写真そのものに創作性が認められない場合には、著作物として保護の対象にはなりません。そこで、例えば被写体をそのまま平面的に写し取っただけの写真や証明写真などには著作権が認められにくいといえます。

 【参考】

社団法人著作権情報センター「コピ-ライトQ&A(著作権相談から)

 

3.利用方法

 サイトやパンフレットなどに利用しようとする写真が、以上のいずれかに関わる場合には、それぞれの権利者すべての許諾を得る必要があります。具体的には、まず写真の撮影者に許諾を得、また被写体の権利関係について確認をし、必要であれば被写体の権利者に対しても許諾を得ることになります。なお、第三者から提供を受けた写真は、提供元の第三者自身が適法に権利者から利用許諾を得ていたとしても、これを他の者に利用させることまでの許諾を得ていない可能性もありますので、同様に権利関係を確認することが必要です。

 また、写真に関する権利につき利用許諾を受けたとしても、かかる利用の範囲は、契約上限定されていることがありますので、利用許諾契約の内容を確認しておく必要があります。なお利用許諾契約の場合には、利用範囲が限定されることが多くありますので、会社の紹介として利用する写真など何度も利用することが想定されるようなものについては、利用許諾ではなく権利譲渡を受けることも1つの手段でしょう。

 

4.ベンチャー企業として

 今回は、特に写真を利用する場合の権利関係について説明してきました。写真には、多くの権利が複雑に関わっています。このため、自社で撮影した写真など、権利の帰属が明らかな写真を除いては、利用にリスクが伴うともいえます。他人に権利が帰属する写真を、勝手にサイトに掲載するようなことが許されないことは明らかですが、このほか利用許諾契約の内容によっては、一度適法に提供を受けた写真であっても、それを勝手に改変したり、当初の目的とは異なる利用をしたりすることはできないなどの制限がありうることにも注意が必要です。

 著作権は、権利関係が複雑で、また違反した場合に刑事罰の適用がありうるなど大きなリスクを伴うことですので、疑問に思うことがあれば、弁護士などの専門家に相談することがよいでしょう。