起業・経営FAQ:債権の回収と、新規事業のビジネススキームについて

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

課題・悩み

新規にスポーツジムを始めたいと思い、準備を進めておりました。はじめは経験者の方に運営をお願いしたいと考えていたときに、経験者のA氏と出会い、事情を説明した上で運営をお願いすることとなりました。

業務委託契約を締結し、初期費用と運転資金として計500万円をお貸ししました。
そして、A氏から私への借入金の返済と、私からA氏への業務委託費の支払いを相殺することになりました。
借入金である旨と金額は契約書に記載されておりますが、返済方法(相殺であること)は明記されておりません。ちなみに、ジムの名義や契約はA氏です。

ところが当初の予定よりも経費が多くかかることから、A氏に約束よりも多くの支払いを請求されました。それを私が拒否したことなどから、A氏が度々圧力をかけてくるようになりました。

「返済する意思がある旨の念書を取っておいてほうがいい」という弁護士からのアドバイスを受け、支払いを増やすことと合わせて記載した覚書を作成して署名をお願いしましたが、「お金は借りたものではなく運営資金としてもらったものだ」という発言をされて拒否されてしまいました。

もし契約を途中で解除した場合、貸付金が返済されるのか不安です。

また、今後スポーツジムを運営していく上での

【1】資金をどうやって出すか
【2】お金の流れをどうするか
【3】利益はどう分配するか
【4】リスクはどうコントロールするか

などのビジネススキームについてもお話をうかがいたいです。

回答:債権回収については、相手の交渉態度によっては訴訟を提起することも1つの解決策です。

この質問への回答者

大部 博之(おおべ ひろゆき) / 「提案力とフットワーク」小笠原六川国際総合法律事務所
フリーランスのライターの後に弁護士になったという異色の経歴の持ち主である大部アドバイザー。法律問題だけでない総合的な支援を多くの企業で行っております。企業の法律問題に関わる様々な相談にご対応頂けます。

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1.500万円の債権回収について

A氏の「お金は借りたものではなく運営資金としてもらったものだ」という反論しているということは、貸付けについての契約書はないということですね。

この場合でも、相手に返済の意思があると認定できる証拠があれば、返済義務を発生させることができます。業務委託契約書の中に「借入金」との記載があることや、業務委託料について相殺処理をしてきた事実などから、総合的に立証することになると思います。

相手の交渉態度からすれば、まずは訴訟を提起したほうが早いと思います。
どのような立証方針で臨むかは、もっと詳しい事情をお聞きしてからになります。

2.新規でスポーツジムの経営をする際に検討すべき事項について

【1】共同経営者がいるとのことですので、まずはこの方との間で

①新設する会社の資本金
②株式の配分
③役員構成
④それぞれの役割分担

を明記した契約が必要になります。
株式の配分については、半分ずつにしないことがポイントです。意見が割れた場合に意思決定ができないからです。

【2】設立時に会社に投入した資金の使途についても明確にしておくべきです。一定額以上の経費支出については承認が必要で、無断では使用できません。また、銀行口座の管理自体を任せるのであれば、常に、モニタリングできる状況を作っておく必要があります。

【3】利益の分配方法については、まずは役員報酬という形になります。売上を確認しながら、赤字にならない程度に設定することになります。はじめは株式の利益配当というプロセスまでは、なかなか進まないと思います。

【4】リスクは段階によっていろいろあります。現場管理者との関係では、運転資金の持出しや無断使用などの問題がありえます。クーリングオフ制度などにも注意が必要です。消費者法上のトラブル対策を考えておく必要もあります。
従業員を採用していく段階になれば、人事労務上のコンプライアンスの遵守も必要となってきます。他にも状況に応じて多岐にわたるリスク管理が必要であり、段階に応じて場面場面で対策をしていくことになります

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