スタートアップの資金調達のすべて フェーズごとに成功しやすい調達方法を徹底解説

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: 畔上 淳

最近、「スタートアップ」という呼び方が日本でも定着してきましたが、どのような企業が「スタートアップ」なのでしょうか?

また、スタートアップは資金調達をどのように行っていけば良いのでしょうか?

そこで、本記事では、スタートアップと呼ばれる企業の特徴と、その資金調達方法について、解説いたします。

スタートアップとはどのような企業を呼ぶか?

スタートアップとは、今までにない革新的なビジネスで新たな価値を生み出し、社会にインパクトを与える企業のことで、短期間のうちに急激な成長を目指します。

「開始」や「起動」の意味をもつ「start-up」を由来としていて、日本だけでなく、世界的に通じる言葉です。

一方、似た言葉で、ベンチャー企業という呼び方もあります。

こちらは和製英語で厳密な定義はありませんが、一般的に成長企業の呼び方として使われてきました。

両者に明確な違いはありませんが、経済産業省主導の企業支援プロジェクトが「J-Startup」という名称がつけられているように、最近はスタートアップの方が使われることが多くなってきていると思います。

スタートアップは、そのビジネスの性質から、

  • 市場がまだ顕在化していないか、小さい
  • 潜在的な市場は大きいと見られている
  • 収益基盤を確立できている企業がまだない

という特徴があり、ビジネスが軌道に乗れば、上場も可能になってきます。

そして、収益基盤がない中で、急成長を目指すため、継続的に資金調達をする必要性が出てきます。

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スタートアップの「成長フェーズ」とは?

スタートアップの資金調達方法は、その成長フェーズによって大きく異なってきます。

成長フェーズは一般的に、

  • シード期
  • アーリー期
  • ミドル(グロース)期
  • レイタ―期

の4つに分類されます。

そこで、まず自社が成長フェーズのどの段階にあるのかを把握する必要があります。

シード期

シード期は、ビジネスがアイデアや計画の状態で、実際の製品やサービスをまだ提供できていない段階です。

この段階では、アイデアの実現性を詰めたり、事業計画を作ったり、見込み顧客に関して市場調査をしたり、試作品を作ったりすることが活動の中心となります。

使うのは、主に起業家の手間と時間になるので、必要となる資金はまだ大きくはありません。

しかし、アイデアや事業計画しかないので、資金調達の方法も限られてきます。

アーリー期

アーリー期は、製品やサービスを提供し始めたが、まだ市場に受け入れられるように思考錯誤している段階です。

もともと市場が顕在化していないので、製品やサービスを提供し始めても、市場に受け入れられるまでには、機能や価格体系を調整していく必要があります。

そのため、初期の顧客からのフィードバックを受けて、製品やサービスを改善することが活動の中心となります。

この時期は製品やサービスを改善する費用に加えて、組織的に対応するために、スタッフを雇い始めるので、人件費や運営費用もかかってきます。

市場に受け入れられるように、製品やサービスを早く改善していかないと、資金がショートして、倒産してしまうため、資金調達がカギとなる時期です。

ミドル(グロース)期

ミドル期(グロース期とも言います)は、製品やサービスが市場に浸透し始め、利用者や売上が一気に拡大する段階です。

ビジネスの成長を加速するチャンスであるため、積極的に営業やマーケティングに投資すべき時期です。

当然、これまで以上に資金調達の必要性は高まります。

ただ、すでに成果が出始めてきているので、資金調達に関しては有利な状況になります。

レイタ―期

利用者や売上が拡大し、さらに安定的な拡大をしたり、上場やバイアウトを意識したりする段階です。

通常、黒字化しているので、これまでの事業だけであれば、追加で資金調達をしなくても運営できるようになっています。

一方で、新しい成長機会を求めて、新規事業や海外進出を考えるなら、資金需要が出てきます。

レイタ―期は事業が安定して黒字化していることから、非常に有利な条件で資金調達をすることができます。

 成長フェーズごとの具体的な資金調達方法とは?

ここまで、スタートアップの成長フェーズについて簡単に説明しました。

次に、成長フェーズごとの具体的な資金調達方法についてです。

シード期

◎日本政策金融公庫の創業融資、▲エンジェル投資家からの出資

シード期の資金調達の目安は数百万円程度で、自己資金で賄えるのであれば、まだ外部から資金調達しなくても良いかと思います。

もし調達が必要なら、第一に日本政策金融公庫の創業融資、その他に、確実に出会えるとは言えませんが、エンジェル投資家からの出資もあり得ます。

日本政策金融公庫の創業融資

日本政策金融公庫は、政府系金融機関で、起業者向けの創業融資を積極的に行っています。

創業融資の主なポイントは、自己資金と事業計画の準備です。

自己資金が融資を受けられる金額に影響してきます。

実績がなくても、他の融資に比べると審査が通りやすいので、シード期でも融資を受けられる可能性があります。

エンジェル投資家からの出資

エンジェル投資家は、上場やバイアウト時に得られる利益に期待して、スタートアップに出資する個人投資家です。

過去に上場やバイアウトで多額の資金を得た経営者が、エンジェル投資家になっている場合が多いです。

エンジェル投資家は、通常、ベンチャーキャピタル(後述、以下「VC」という)よりも早い段階で投資しますので、シード期でも投資することがあります。

投資金額はVCよりも小さいですが、業界に精通していたり、経営者として成功した経験に基づくアドバイスをもらえたり、人脈を紹介してもらえたりすることがあり、資金調達とは別のメリットも期待できます。

エンジェル投資家から出資を受けるのに、決まった方法はありません。

たとえば、ピッチイベントなどで登壇させてもらい、エンジェル投資家に興味を持ってもらうという方法もあります。

また、出資の条件はエンジェル投資家の主観的な基準になりますので、高く評価してもらえるエンジェル投資家を探すつもりで取り組むとよいと思います。

 

一方で、シード期にVCから出資を受けるのはどうかと相談されることもあるのですが、私としてはあまりオススメしていません。

シード期のビジネスに投資しているVCは確かにあって、出資を受けられる可能性はあります。

ただ、起業家にとって良い条件であればよいのですが、なかなか良い条件は出てこないように思います。

アーリー期

◎VCからの出資、〇エンジェル投資家、△日本政策金融公庫

アーリー期は、外部からの資金調達が必須になってきます。

必要な金額も大きくなっているため、VCからの資金調達を中心に考える必要があります。

資金調達の目安としては、数千万円程度です。

VCからの出資

VCは、革新的な技術やビジネスモデルで、将来大成功する可能性があるスタートアップに出資する投資家です。

先ほど説明したエンジェル投資家と比べると、VCは外部の投資家から調達した資金でスタートアップに出資するため、投資金額が大きいのが特徴です。

スタートアップが将来大成功すると、上場やバイアウト時に株式を売却して多額の利益を得ることから、VC自体がビジネスとして成り立っています。

VCから出資を受けるには、知人からVCを紹介してもらったり、スタートアップ向けのイベントやピッチに参加して、ビジネスをVCに知ってもらえる機会を得ていくことが必要です。

※VCは、ビジネスの段階を「シード」「アーリー」「シリーズA」「シリーズB」「シリーズC」という投資ラウンドで表現する場合が多いです。成長フェーズとの関係性で言いますと、

  • 「シード期」=「シード」
  • 「アーリー期」=「アーリー」or「シリーズA」
  • 「ミドル(グロース期)」=「シリーズB」
  • 「レイタ―期」=「シリーズC」

にほぼ対応しています。

また、アーリー期になると、エンジェル投資家に対しても、アイデアだけでなく、実際の製品やサービスを見せてビジネスの説明ができますので、出資をしてもらえる可能性が高くなっています。

もし政策金融公庫の創業融資をシード期に受けていなければ、この段階でもまだ融資を受けることができます。

シード期よりも、製品やサービスができあがっている分、融資も受けやすくなっています。

ミドル(グロース)期

VC、〇銀行融資

 

ミドル期は、アーリー期に引き続き、VCからの出資が資金調達の中心となります。資金調達の金額の桁を一つ上げることもでき、目安としては数億円程度になります。

また、黒字化が見えてきていれば、銀行からの融資も期待できるようになります。

銀行融資

都市銀行、地方銀行、信用金庫、信用組合などからの融資です。

事業を開始して1~2期の決算が終わると、融資してもらえる可能性が出てきます。

ただ、最初の融資では、貸倒リスクが高いと銀行は評価しますので、通常は、信用保証協会の保証付融資になる可能性が高いです。

 

レイタ―期

◎VC、◎銀行融資

レイタ―期は、VCからの出資も銀行からの融資も受けやすい段階です。

10億円以上の資金調達を行うことも可能になってきます。また、上場でさらに多額の資金を調達することもできます。

この段階まで来ると、資金繰りも楽になっているでしょう。

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まとめ

ここまでスタートアップの成長フェーズと、フェーズごとの資金調達方法について解説してきました。

スタートアップの資金調達の中心はVCなどの投資家からの出資であり、投資家対応が重要になります。事業計画やビジネスモデルなど、投資家にいかにわかりやすく伝えることができるかがポイントです。

資金調達を成功させたい方は、ドリームゲートのアドバイザーに相談してみましょう。

 

執筆者プロフィール:
ドリームゲートアドバイザー 畔上 淳(あぜがみ じゅん) /元上場企業CFOが、あなたのCFOになります!

複数の大手企業において、経営戦略や財務、法務関連に従事し、自らも事業を立ち上げてきました。M&A、資金調達、新規事業立ち上げにおける支援に特化したアドバイザーです。

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