開業資金の調達方法6つと資金難にならない金額の見きわめ方を解説

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執筆者: ドリームゲート事務局

起業の準備をすすめているものの、具体的にいくらの開業資金が必要なのか、また資金調達の具体的な方法がわからずに悩んでいませんか?

貯金などの自己資金は重要ですが、じっさいの開業では開業資金の大半をしめているものではありません。また想定よりも開業資金が足りず、資金難におちいる企業も多いです。

そこで今回、6万件以上の起業相談にのってきたドリームゲートが、開業資金の調達先や必要な金額の割り出し方などを案内していきます。起業成功に一歩すすむこと間違いなしなので、ぜひ参考にしてください。

適した開業資金額を開業データからひもとく

日本政策金融公庫の調査によると、開業資金の平均(2019年度)は1,055万円。中央値は600万円でした。ちなみに調査を開始してから500万円未満の割合がもっとも高くなったとのことで、下図のとおり開業資金には下落傾向が見られます。

引用:「2019年度新規開業実態調査」~アンケート結果の概要~|日本政策金融公庫

500万円未満の開業資金だったのは40.1%ともっとも高い割合で、500~1000万円は27.8%でした。ちなみに平均開業資金が1,055万円というのは調査を開始してからもっとも低い金額とのことです。より少ない開業資金での新規開業が増えている傾向がうかがえます。

なお、くわしくは後で解説しますが、一口に開業資金といっても「自己資金」や「金融機関からの借り入れ」など、さまざまな内訳があります。開業資金における自己資金の平均は262万円となっており、金融機関などからの借り入れの平均は847万円です。

調達先を問わずに新規開業時にどのくらい資金調達をしているかというと、平均で1,237万円となります。もっとも融資などを受けるにしても、開業資金の5分の1から2分の1程度の自己資金が必要なのは覚えておくべきでしょう。じっさい、自己資金は平均で開業資金の21.2%をしめており、金融機関などからの借り入れが68.4%です。

資本金の考え方・決め方

起業に必要な資金は開業資金だけではなく、会社を設立するなら資本金も決めなければいけません。つまり開業資金以外にも必要になる資金を理解したうえで企業資金を算出しないといけないわけです。新規開業と開業後に必要になる資金を解説していくので、起業を成功させるためにいくらの資金が必要なのかを割り出していきましょう。

起業資金の内訳

起業資金の内訳を式にすると、おおよそ以下のとおりになります。

起業資金 = 設備資金(会社設立実費) + 運転資金 + 各種税金 + 当面の生活費

上記のなかで大きな金額になるのは、設備資金と運転資金の2つです。起業をはじめてする方の場合、設備資金=開業資金と考えている場合が多々見られます。

しかし、材料費や仕入れにかかる費用、人件費、オフィス代などの運転資金も起業するには多く必要です。そこで、企業資金の多くをしめる設備資金と運転資金について、よりくわしく解説していきます。

設備資金とは有形無形問わずに固定資産にかかる費用

設備資金とは初期費用といえる資金で、有形無形問わずに固定資産にかかってくるのが一般的です。ビジネスに店舗が必要な場合や無店舗、自宅での開業などの場合で設備資金の金額は変わってきます。具体的には、以下にあげるものが設備資金となります。

  • 機械類
  • 建物・オフィス代、仲介手数料
  • 通信機器や事務用品
  • テーブルやイスなどの物品
  • 社用車
  • 営業権や特許権
  • ソフトウェア

くわしくは後述しますが、設備資金の見積もりがあまかったせいで資金がショートした例も多くあります。

運転資金とは収益を生むまでに必要な資金

運転資金とは設備資金で整えたビジネスの基盤から収益を生むまでに必要な資金です。変動費と固定費にわけられ、代表的な運転資金は以下のとおりです。

  • 変動費:材料費や仕入れ費、消耗品、運賃など
  • 固定費:人件費、物件賃貸料、通信費、光熱費など

運転資金は一般的に最低3ヶ月分を用意するべきとされています。なぜなら創業失敗の原因として、開業資金(設備資金)ばかりを意識して運転資金をおざなりにした結果、資金繰りができなくなったというケースが多いからです。

したがって、ビジネスモデルの入れ物になる設備資金だけを意識するのではなく、ビジネスを回す原動力となる運転資金もきちんと算出しましょう。

12業種の平均的な資金繰りを紹介

黒字化に成功している企業の運転資金などを参考にすると、新規開業の成功率を上げるヒントを得られます。そこで飲食業や理美容などの代表的な12業種の平均年間売上高と平均営業利益、1年あたりの平均運転資金を紹介していきます。

より詳しくは、継続企業をつくる法則を専門的にまとめたページをご覧ください。たとえば飲食業なら運転資金の大半が人件費と仕入れの費用で、成功企業は食材の急な高騰に備えて5ヶ月分の運転資金を確保しているといった情報をまとめています。

飲食業 平均年間売上高:2,322万円
平均年間営業利益:303万円
平均年間運転資金:1,860万円
理容室 平均年間売上高:1,524万円
平均年間営業利益:257万円
平均年間運転資金:840万円
小売業(店舗) 平均年間売上高:1億1,011万円
平均年間営業利益:646万円
平均年間運転資金:1億1,364万円
ネットショップ 平均年間売上高:4,594万円
平均年間営業利益:414万円
平均年間運転資金:1,908万円
マッサージ・整体・リフレクソロジー 平均年間売上高:1,664万円
平均年間営業利益:287万円
平均年間運転資金:1,236万円
Web、モバイル 平均年間売上高:8,876万円
平均年間営業利益:864万円
平均年間運転資金:3,384万円
ITシステム 平均年間売上高:3,215万円
平均年間営業利益:406万円
平均年間運転資金:2,604万円
建設業 平均年間売上高:4,812万円
平均年間営業利益:803万円
平均年間運転資金:3,480万円
運輸業 平均年間売上高:6,291万円
平均年間営業利益:579万円
平均年間運転資金:3,924万円
不動産業 平均年間売上高:1,598万円
平均年間営業利益:375万円
平均年間運転資金:1,260万円
ライター業 平均年間売上高:637万円
平均年間営業利益:- 万円
平均年間運転資金:444万円
デザイン業 平均年間売上高:659万円
平均年間営業利益:- 万円

できるだけ開業資金をおさえる定番の方法4つ

業界やビジネスモデルしだいで開業資金をおさえる方法はさまざまですが、一般的によくとられている方法は以下のとおりです。

  • まず二等地や三等地で出店し、成功したら一等地に進出する
  • 開業当初は自宅やバーチャルオフィスを活用する
  • 広告やホームページは自作する
  • 外注はクラウドソーシングなどを活用する

運転資金をおさえられれば、収益がない期間が長くなっても耐えられる期間ものび、起業の成功確率を上げられるので、上記のような方法でなるべく資金をおさえましょう。

開業資金の調達方法6選

一口に資金の調達方法といっても、さまざまな方法があります。主な調達方法を紹介すると以下の6つです。

  • 自己資金
  • 新創業融資制度(日本政策金融公庫)
  • 中小企業経営力強化資金(日本政策金融公庫)
  • 地方自治体の制度融資
  • 補助金・助成金
  • その他

先述のとおり、開業資金は金融機関からの借り入れが大半をしめる傾向にありますが、自己資金はもちろん返済不要の補助金・助成金という手もあります。まんべんなく調達手段を検討することでより多くの開業資金を集められる可能性が増し、ビジネスの成功確率も上がるので、それぞれの方法をくわしく解説していきます。

自己資金

会社の設立じたいに20万円以上の費用がかかりますし、資本金を振り込むためにも自己資金は必要不可欠です。また、後述する日本政策金融公庫の新創業融資制度を利用するには、開業資金の10分の1以上の自己資金が必要になります。自己資金を増やす手段は主に以下のとおりです。

  • 貯金
  • 退職金
  • 株式や投資信託の売却
  • 生命保険の解約
  • 自宅の売却
  • 身内から贈与(110万円をこえると贈与税の課税対象)

新創業融資制度(日本政策金融公庫)

基準利率の場合、2.41~2.80%の金利で最大3,000万円の資金を借りられるのが、日本政策金融公庫の新創業融資制度です。無担保無保証人かつ、融資実行までは1ヶ月程度と比較的早いのがうれしいポイントです。ちなみに、自治体からの融資などは長いと半年かかることもあります。

ただし、最低でも10分の1の自己負担が必須で、審査がとおりやすいのは4分の1から3分の1の自己資金がある場合と考えられています。

なお、制度名に新創業と入っているとおり、利用できるのは新たに事業を始める場合に限られます。具体的には事業開始から税務申告を2期終えていない人が対象です。

中小企業経営力強化資金(日本政策金融公庫)

中小企業経営力強化資金は、無担保の場合でも基準利率で2.06~2.45%と金利が低くおさえられているので、新規開業時に検討したい制度の1つです。自己資金要件はありませんが、認定指導機関の指導や指定の事業計画書、定期的な報告が必要になります。融資限度額は7,200万円で、運転資金がしめてよいのは4,800万円までです。

地方自治体の制度融資

信用保証協会という公的機関の保証のもと、開業や事業拡大などをするさいに融資を受けられるのが制度融資です。自治体と信用保証協会、金融機関の3つの組織がからんでおり、全体の把握が難しく感じられがちですが、実体は下図のとおり単純なので利用を検討してみてください。

申込者全員に融資されるわけではありませんが、日本政策金融公庫の制度も同様です。金利も低い場合が多いので、開業予定地の制度融資を確認してみてください。

補助金・助成金

返済不要の補助金や助成金を開業資金にする手もあります。開業時に使える補助金・助成金としては、以下が代表的です。

  • 創業助成事業
  • ものづくり・商業・サービス革新補助金
  • 小規模事業者持続化補助金
  • IT導入補助金
  • キャリアアップ助成金
  • 女性・若者/シニア起業家支援資金
  • 新規開業資金
  • トライアル雇用奨励金
  • 高年齢者雇用安定助成金

返済不要ですが、審査が厳しい傾向にあります。また、補助金・助成金は後払いです。それぞれ特有の条件や特徴があるので、使えそうな補助金を見つけたら詳細を確認していくとよいでしょう。

その他

多額を用意するのは難しいかもしれませんが、その他の方法として配偶者や親戚、友人などから出資してもらうのは定番の方法です。実際、日本政策金融公庫の調査では2019年度開業資金のうち平均53万円が配偶者や親戚から、平均39万円が友人などからの借り入れや出資となっています。

他にも銀行やベンチャーキャピタルなどから資金調達する方法もありますが、スモールビジネスには基本的にむきません。

開業時には事業計画書を書く

開業時には資金の調達以外にも事業計画書を書くのが重要なので、役割と作成手順を紹介していきます。

事業計画書の役割

現状の高層で事業がうまくいくかどうかを客観的に判断したり、融資を受けるのに必要だったりするのが事業計画書です。ビジネスとしてきちんと実現できそうかをある程度シミュレーションできます。

だからこそ融資のさいに各機関は事業計画書を見て審査をするわけです。新創業融資制度などは実績のない段階の起業者が集まるので、ぜひ事業計画書に時間をさいて作成してください。

作成の手順とポイント

作成の手順とポイントとしては、まず下図の6つのSを明確にして、6W2Hにおとしこんでいくがおすすめです。

6つのSが明確できれば、以下の順番で6W2Hに落としこんでいけばビジネスプランとして成立していきます。

What / Where / Whom / Why / How to / When / Who / Who

各ステップでのポイントなどは、「プロ直伝!必ず伝わる事業計画書の書き方【2020年専門家監修】」の記事で詳しく紹介しているので参考にしてみてください。その後、「5分でわかる、日本公庫の事業計画書PDFの見方を解説」の記事を見ながら作業をすれば、融資を受けるのに必要な書類もつくれます。

実際の計画例2つを紹介

事前に考えていた資金繰りとのギャップがあったという実例を2つ紹介するので、事業計画書を入念につくる必要があることを理解するためにご参考ください。

例①飲食店

1期目の年商は600万円という事業計画でした。堅実にみつもった計画とのことでしたが、実際には労力の想定の甘さなどから売上は低迷しています。より詳しくは「事業計画書サンプル&解説集~飲食業編~」の記事をご覧ください

例②ITシステム関連業

1期目の売上目標は1200万円で、ある程度計画どおりにすすんでいましたが、世界特許の取得などに想定以上の費用がかかって資金不足におちいった事例です。より詳しくは「事業計画書サンプル&解説集 ITシステム関連業編~」の記事をご覧ください。

事業計画書作成サポートツール

実際の計画例のとおり、はじめての開業はなかなか想定どおりにいきません。しかし、ビジネスのプロや先輩経営者のアドバイスやデータを見れば、開業の成功確率は上げられます。6万件近い起業相談などにのってきたドリームゲートも5分で診断できる事業計画作成サポートツールを提供しているので、ぜひ活用してみてください。

【無料】5分で診断!事業計画作成サポートツール

事業計画作成サポートツールでは、健全経営をしている先輩経営者を独自調査した結果と、あなたが作成した事業計画とを比較・判定が出来ます。
開業資金と売上見込みを入力するだけで、あなたの事業計画の安全率を測定することが可能です。

さらに、作成した事業計画はCSV形式、Excel形式、PDF形式でデータをダウンロードでき、日本政策金融公庫の融資申請時の事業計画書としてご利用頂けます。

あなたの事業計画は成功する計画かどうか、ぜひチャレンジしてみてください。

まとめ:必要な開業資金を見きわめて起業を成功へ!

一口に開業資金といってもさまざまなところに費用がかかり、なんとなく想定では資金ショートになってしまうケースは多々あります。重要なのは、綿密な事業計画書の作成や開業する業界の傾向や特徴をきちんとおさえておくことです。

事業計画作成サポートツールなどを使って的確な開業資金を算出し、起業の成功確率を高めてください。

 

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