お餅の切れ目が15億円の賠償に!?
特許から学ぶ起業・経営の注意

法務・知的財産

執筆者: 五味 和泰

特許による事例

2009年に起こったサトウの切り餅事件をご存知でしょうか。
「サトウ食品工業株式会社」(以下、サトウ食品という)が製造・販売する、CMなどでお馴染みの「サトウの切り餅」。この商品がきっかけで、2つの訴訟が起き、業界最大手のサトウ食品に対して計15億円余りの損害賠償が命じられました。

サトウの切り餅

(gontabunta/shutterstock)

訴訟の相手は、当時業界売上2位の「越後製菓株式会社」(以下、越後製菓という)。2つの裁判は、およそ5年間にも及びました。

訴訟の論点は、各社が製造・販売するお餅の“切り目(=スリット)”にあります。
越後製菓は、自らが特許権を取得したスリットをサトウ食品の「サトウの切り餅」に無断で使用されていたため、「サトウの切り餅」の販売差し止め、及び賠償を求め提訴にいたったそうです。判決は、上述の賠償のほか、製造及び販売の禁止、在庫品及び製造装置の廃棄も命じられ、サトウ食品に対して大変厳しい結果となりました。

特許権とは?

今回の事例は、“特許権”の侵害による紛争です。“特許権”とは、優れたアイデア、技術など発明した個人又は組織に対して与えられる、独占的な権利のことをいいます。“特許権”を取得するためには、まず特許庁に特許出願をし、審査によって特許性を満たす要件をクリアしなければいけません。特許庁の審査では、数年の期間を要する場合があり、出願時に既に同じ発明が世の中に存在していたか、その発明を着想するのは困難であったかなどをチェックされます。

また、出願してから1年半後には、その出願内容が一般に公開されます。よって、同業他社としては、1年半前の技術開発レベルを知る絶好の機会となるとともに、自社商品又はサービスが特許侵害してしまう可能性があるかをチェックする機会ともなります。

訴訟の論点は“スリット”

切り餅

上図は越後製菓とサトウ食品のそれぞれの商品のスリットです。越後製菓の側面スリット対して、サトウ食品は平面表裏に十字スリット、側面に2本のスリットを使っています。サトウ食品は、越後製菓より早く側面にスリットが入った商品を市場に投入していました。しかし、それよりも先に特許出願をしていたのは越後製菓です。“特許権”は、出願日より前に世の中に公開されていない発明に対してのみ有効であるため、越後製菓は特許権を取得することができました。他社の側面スリット入りの切り餅の市場投入が、越後製菓の特許出願より前であったら、越後製菓の特許にはならなかったでしょう。

特許権取得のメリットと留意点

“特許権”の取得は、技術競争が激しい業界において、同業他社の追走を振り切る鍵になります。
さらに、取得したライセンスを他者に与え、使用料として収益を得ることも戦略の一つとして有効です。特に中小零細企業においては、自ら取得したライセンスを大手企業と共有することができれば、その使用料だけで大きな収益源になりますし、大手企業に侵害の監視及び対応をお願いすることもできます。
また特許出願は、商品化の段階だけではなく、アイデア創出や研究開発の段階においても有効です。つまり、早めに特許出願を行うことで技術が確立してから特許登録の流れがよりスムーズになります。

“特許権”は、目に見える簡易な構造のアイデア・技術であるほど注意が必要です。権利者側にとっては、特許権を取得した後、特許庁の審査では発見できなかった証拠が他者によって見つけられる可能性があり、その証拠があれば特許権は無効なってしまいます。今回の事例でも、越後製菓の特許出願より前に、切り餅の側面にスリットが入った商品が販売されていたか否かが争点となりました。切り餅のスリット構造などは、販売している商品を見れば直ぐにわかります。うっかり同じ構造のものを販売してしまったでは、済まされません。

特許庁の特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)で、特許公報を閲覧することができます。特許公報には権利の“範囲”、つまり、“特許権”として独占できる範囲が明記されていますので、ぜひ自社又は同業他社の特許公報をチェックされてみると良いでしょう。

特許権の取得は専門家に! 

特許調査や特許出願については、自分一人でも行うことが可能です。しかし、調査すべき文献に記載されている権利範囲や内容を正確に把握することは難しく、または出願書面の作成時には、欲しい権利が取れるような書き方をしなければなりません。今回のような“特許権“による企業間のトラブルは山ほどあります。このようなトラブルを防ぐためにも、特許調査や特許出願については専門家に依頼することをおすすめします。

知的財産権の取得を“AI”で実現!

ところで商標権って知っていますか?
本章で解説した特許権と同じく、知的財産権の一つに位置し、商品やサービスの“名前”・“図形(ロゴ)”・“色彩”などを保護するための権利です。
当社では、独自開発のAI技術を使ったオンライン商標サービス「Cotobox」、昨年11月からベータ版を公開しています。
思いついたネーミングを、検索画面で検索することで簡単に同じ又は似ている登録商標が存在しているかをチェックすることができます。また、わかりにくい商品やサービスの区分も、自分の商品・サービス内容を入力するだけで簡単に検索することができます。特許庁手続きは提携弁理士に依頼するだけで、依頼後の情報交換は全てCotoboxプラットフォーム上に記録され、いつでも確認することができます。徹底した定型業務の自動化により、リーズナブルかつシンプルな料金体系を実現。ぜひ、お試しください。

執筆者プロフィール:
ドリームゲートアドバイザー 五味 和泰氏
(cotobox株式会社 代表取締役/はつな知財事務所 代表)

早稲田大学理工学部卒。南カリフォルニア大ロースクール卒。
弁理士。自らベンチャー企業を立ち上げ、オンライン商標サービスを提供。今まで知的財産権に縁がなかった中小企業・小規模事業者に対して知財サービスへのアクセスの容易化を目指している。

プロフィール | 無料オンライン相談受付中

ドリームゲートアドバイザー 五味 和泰氏
ご相談はこちら

起業、経営ノウハウが詰まったツールのすべてが、
ここにあります。

無料で始める