36年分の経験と人脈が自信に。ITコンサルタント / 株式会社 NABE Consulting

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

亘鍋省次さん

亘鍋さんが36年に及ぶ会社員生活を経て、自宅の一室でITコンサル会社を立ち上げたのは2003年8月。定年まで2年足らずを残しての決断だった。還暦を 過ぎてなお意気軒昂、「第二の青春。今がいちばん楽しいですね」と笑う亘鍋さんに、起業の経緯、経験を活かす楽しさを聞いた。

ITと二人三脚で突き進んだ人生

ビー トルズ来日の翌年、1967年。世はまさに高度成長真っ只中、人々がコンピュータなる機器の存在をおぼろげながら知り始めたこの時代に、亘鍋さんは某大手 製靴メーカーのコンピュータ専任技師第一号として社会人生活をスタートさせた。以来、事務系、販売系、製造系と、各部門の電算化を先頭に立って指揮。コン ピュータが身近な存在になりつつあった80年代には、従来は研究開発系に特化していたUNIXの事務システムへの応用、オープン化やダウンサイジング化な ど、今に続く最先端技術を他社に先駆けて矢継ぎ早に導入。DWH(データウエアハウス)を使ったSCM(サプライチェーンマネジメント)で日経コンピュー タのシステム大賞を受賞したこともあった。
「日経BP社主催のパネルディスカッションにパネラーとして呼ばれたり、ね。このころのあだ名は“日本のハゲゲイツ”でしたよ(笑)」と、亘鍋さんは輝ける頭をなでながら明るく振り返る。
50代に入ると、要職中の要職ともいえる情報システム部長と物流部長を兼任し、役員の椅子も視野に入ってきた。が、好事魔多し。56歳のとき、原因不明の難病が亘鍋さんを襲う。
「突然、足腰が立たなくなって…何軒も病院を回って、どうやら血管の異常らしいということがわかったころには、完全に歩けなくなっていたんです」

経験と人脈に自信を掛け合わせると

半 年に及ぶ入院、手術、闘病生活。奇跡的に杖を使って歩けるまでに回復したものの、会社員人生の集大成を期す時期には、決して小さくはないブランクだ。「役 職定年」の58歳を間近に控え、事実上、役員の道は閉ざされていた。しかし、自分の禿頭(失礼)さえ笑いのネタに転化する亘鍋さんである。気持ちの切り替 えは速かった。
「思い出したんです。同じ部署にいた家内と結婚した70年に、58歳になったら独立する!って宣言したことを」
もうひとつ、たまたま参加した「久留米起業塾」で得た手ごたえが、亘鍋さんの背中を起業へと強く押し出した。
「私が発表した中小企業向けITコンサルのビジネスプランが審査員に高く評価されて、これはイケるぞ、と。もともと、業界団体の仕事などを通じて中小企業 の多くがIT化を進めたくても相談相手がいない現実を見てきていたので、思いついたプラン。実際、業務外で地元のシルバーセンターや鉄工所のIT化をお手 伝いした経験もありましたし」
何より、亘鍋さんには36年分の経験と人脈、そして揺るぎない自信がある。幸い、業種的に特別な開業資金や設備も不要。もはや起業に迷いはなかった。
2003年7月、58歳の亘鍋さんは全社の物流システム改革という大仕事を置き土産に、長年勤めた会社を退職。そして8月には自分の会社、 NABEConsultingを設立。と同時に、旧知の電機メーカーやベンダーなど4社と顧問契約を結び、順風満帆のスタートを切った。

自分には、涸れない井戸がある

豊かな森は豊富な地下水脈を育て、こんこんと清水を送り出す。36年もの経験もまた、汲めども尽きない財産となっている。
「東京や大阪の会社からも、“ぜひお願いしたい”というオファーが寄せられますが、申し訳ないけれど、ほとんどお断りしてるんです。地域の中小企業をサポートしたくてつくった会社ですし、あまり仕事を増やしたら会社を大きくしなきゃいけませんからね(笑)」
設立3年目を迎えた今も、事務所は自宅。実質的な社員は亘鍋さんひとりである。
「毎日、楽しいですよ。今がいちばん楽しいかもしれない。なにしろストレスがない。会社員時代もわりと好きにやってきたほうですが、今は100%自分の思いとおりに動けますからね」
36年分の経験の重みあればこその言葉であろう。
「若い人の起業、大いに結構。でも長年の経験を活かした起業は、もっと素晴らしい」。なるほど、先立つものは多ければ多いほどいい。資金であれ、経験であれ。
オールマイティにITコンサルをこなす亘鍋さんだが、物流システムにはことのほか自信がある。遠くない将来、業種の垣根を超えて地域の中小企業が利用でき る共同受注・配送センターをつくるのが夢だという。また本業とは別に、起業家の育成を図るNPO法人「メッセージ21」にも参加。若い起業家の卵たちを支 援している。
還暦を過ぎてなお、光り輝く日々。それは、長い歳月をかけてひとつのことに打ち込み、じっくりと蓄えた力の賜物にほかならない。

 
亘鍋省次(わたなべ・しょうじ)さん
●昭和19年、大分県臼杵市生まれ。熊本大学理学部卒業後、大手製靴メーカーに就職。一貫して電算畑を歩いた経験を活かし、入社36年目の58歳の時に会社を辞し、独立起業。職場結婚の奥さんも地元の通信関連企業で取締役を務める事業家夫婦。
(株)NABE Consulting:
http://www.ne.jp/asahi/

自らの半生を振り返り、持論をまとめたDVDも制作。

起業を支援するNPOに参加し、若い人に檄を飛ばす。「障害を抱えた自分でも、ここまでできた。その気になれば、できないことなどありません」

 

Q&A

Q1:起業を決意したときの周囲の反応は?

A:実は家内も、ある会社の取締役を務めるキャリアウーマン。2人の娘も含めて「お父さんならやれるわよ」と大賛成でした。

Q2:起業の際の失敗談は?

A:特にない、というか失敗しないように慎重に準備しましたね。開業資金は新たに導入したクルマやパソコンを含めても約300万円でポケットマネーの範囲内。開業時には固定客もいましたから。

Q3:現在の充足度は?

A:100%といいたいところですが、あえて95%に。杖ナシで歩けるようになったら100%。事業と同様、諦めずにリハビリしてますからね。

Q4:もし、起業していなかったら・・・?

A:うーん、定年まで勤めて日向ぼっこでもしてたのかなあ。正直、わかりません(笑)

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