わずか4カ月で150万件の利用!“モノ”の百科事典を目指すベンチャー「Sumally(サマリー)」

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

展開している事業内容・特徴
モノの百科事典を目指す、東京発・世界を目指すベンチャー

sumally12011年9月1日にローンチし、開始4ヶ月強で150万件のアクションをユーザーが行ったインターネット上のサービスがある。「Sumally(サマリー)」というソーシャルサービスがそれだ。

世界に存在する、すべてのモノの"百科事典"の作成を目指しているという「Sumally(サマリー)」の仕組みはとてもシンプルである。

まず会員登録を済ませ、自分の持っているモノを登録する。登録する作業自体も簡単で、+Sumallyと呼ばれるブックマークレットの仕組みでブラウザ上にボタンを追加し、そのボタンを押すとブラウザ上に表示されたものが登録できる。持っているものを登録することを、同サービスでは「have」するという。

もちろん、自分以外の会員が持っているモノも閲覧できる。そして、ほかの会員が持っているモノで、自分も持っているものには「have」、持っていないけど欲しいと思ったモノには「want」というアクション機能が付加されている。Facebookで気になった情報を「いいね!」する感覚といえばおわかりだろうか。

それぞれ、会員がが登録しているモノに、 have・want する行為(この行動をアクティビティと呼ぶ)がこのサービスの基本である。そうやって、個人の持ちモノをどんどん公開し、そのうえで、モノ同士がどんどんつながっていく。これが、「モノの百科事典」をつくり上げようという「Sumally(サマリー)」のコンセプトだ。

ちなみに、このサービス名は「Sum」(足す)と「all」(すべて)をつなげて、すべてを積み上げる、という意味をこめて「Sumally(サマリー)」と命名された。

最初は、有名人100人・500点のモノの登録からスタートしたそうだが、瞬く間に利用者が急増し、現在の登録アイテムは約25万点、150万件ものアクティビティが行われている。

まだサービスが始まったばかりなので収益化はこれからだが、「誰がそれを持っている」という情報と「誰がそれを欲しい」という情報に加えて、「誰がそれを売っている」というところまでをつなぐと、まったく新しい電子商取引の仕組みができ上がる可能性がある。それが、「Sumally(サマリー)」の生みの親、山本憲資(けんすけ)氏の狙いだ。

最近になって言われはじめた「ソーシャルコマース」という概念を、少し遠回りして具体化しようとしているものといえる(山本氏はソーシャル”ウィズ”コマースと言っていた)。例えば1000ドルで取引されるスターウォーズのレアなフィギュアを10人が欲しいと言っていれば、そのフィギュアを販売している世界中のおもちゃ屋がそこで販売したいと思うはずだ。売り手側からすると、「買いに来てもらう」から「売りに行くことができる」というパラダイムシフトが起こることになる。

山本氏によれば、既存の電子商取引は売り手が自分の売っているものを、自社のWebサイトなどにリストアップして、「買いに来てもらう」というのが基本的な構造。つまり、リストto Sell。

企業が在庫にあるものをリストに乗せて売ってるだけではつまらない。しかし、そこを前述のように本当に逆転させることができれば、購買活動における主導権が、売り手から買い手に移り、何よりユーザーにとって面白いのではないかと山本氏は考えた。

ビジネスアイデア発想のきっかけ
編集者時代から思い描いていた世界を実現するために起業

Sumally」(サマリー)」を立ち上げた山本氏は、一橋大学でゲーム理論を専攻した後、大手広告代理店の電通に入社。その後、『GQ JAPAN』というファッション誌を発行しているコンデナスト・ジャパン社に転職し、雑誌編集の仕事に携わっていた。

sumally2「とにかく、モノが大好き」という山本氏は、世の中のモノの情報があまり整理されていないことに不満を感じていた。「誰がどんなモノを持っているかを知りたい。それがみんなにわかったら面白いのに……」という思いが、「Sumally」(サマリー)」誕生の原点である。そのアイデアを実現すべくコンデナスト・ジャパン社を退職し、起業に踏み切った。

しかし、これまでは編集者として紙の仕事をしてきたため、Webサービスやインターネット上のビシネスについては深い知識はない。そこで、Web業界で世界的に有名なエンジニア・クリエイターである中村勇吾氏にアポイントをとり、いきなり開発の相談を持ちかけた。中村氏も、はじめは面食らったそうだが、山本氏が熱く語る未来像を聞いているうちに、「イケるかも」と感じ、「Sumally(サマリー)」の開発を引き受けたという。

開発は、2011年5月にスタートし、3カ月ほどでデモ版が完成。1カ月間のテスト期間を経て、2011年の9月にローンチした。この時はまだベータ版としてのリリースで、招待制のクローズドなサービスだったが、山本氏はこのベータ版でのユーザーの呼び込みに、徹底して力を入れた。

多くの人が知っているような有名人が最初から参加しているサービスであれば、そこにつながりたいと思うユーザーが爆発的に参加するはず。そんな狙いがあったというが、この戦略が「Sumally(サマリー)」に、予想以上の成功をもたらしてくれた。

Facebookやツイッターといったソーシャルサービスは、すでに巨大なサービスに成長しているが、「Sumally(サマリー)」の目指すところは、そういった先行するSNSとは違い、「City in the Web~ネットの中に街的な場所をつくる」という概念にある。

「今のインターネット上では、渋谷や青山のような街をブラブラする感覚がまだ実現できない」と、山本氏は言う。ZOZOTOWNのようなサービスは、専門店が集積したリアルでいうところのショッピングモールだが、「Sumally(サマリー)」は、さらに広い概念で、インターネット上でいろいろな“街”を形成することを目指している。

ここでいう街とはシムシティ的ものではなく、似たような価値観の人たちがゆるやかに一つの場所に集まって、それに付随する商業施設がついてきて、そこにまた人がついてきて、、、というそのサイクル自体を山本氏は”街”と定義している。

そんなビジョンのもと、インターネット上にでき上がった街でモノを買えるプラットフォームが実現すれば、非常に興味深いオンライン上のマーケットプレイスになるだろう。

将来への展望
インターネットの世界をトーキョー化させる。日本発の世界的ベンチャーを!

これまでのところ、山本氏の戦略は順調に進んでいるように見えるが、本人曰く、「まだまだ物足りない。今年はどこかのタイミングで、爆発的なユーザー増のスイッチを押したい」というコメントが返ってきた。それほど山本氏のビジョンは、我々が想像する先の先を見ているのかもしれない。

Sumally(サマリー)」のマネタイズは、2012年内に開始予定。まずはB2Cのコマースの仕組みを構築するところからはじめる計画だという。

山本氏は、ネットの反対はリアルというより「フィジカル」だという。これまでの10年はネットとリアルが離れていたが、これからの10年はリアル側がメインになる。iPhoneのような肌身離さず使うツールが普及してきたことも手伝い、体感的・直感的なサービスが求められるようになるとみている。

ちなみに、山本氏に近々のベンチマークとして意識しているサービスを聞いたところ、「pixiv(ピクシブ)」という名前が挙がった。ピクシブはユーザーが自作のイラストを投稿し見せ合う、ソーシャルサービスの一種だが、国内ですでにユーザー数が400万人に迫ろうとしている。ここに、日本発で世界に通用するサービスのヒントがあるようだ。

「Sumally(サマリー)」の狙うマーケットは世界。「Sumally(サマリー)」のユーザーインターフェースは、世界中の誰でも使えるよう、すべて簡易な英語で表示されている。現在のユーザー分布は国内9割、海外1割。海外に向けてはまだ何も手をつけていないそうだが、すでに自然発生的に使われ始めているようだ。世界的に有名な日本人クリエイターやアーティストが何人も使っているサービスということもあり、登録数が増えているのかもしれない。

最後に、具体的な事業計画を聞いたところ、投資家向けの計画値はあるものの、細かい数字はあえて意識しないようにしているという。まったく新しいサービスをやっているということは、大企業が新しい飲料水を売るような考え方とはまったく違う。それこそマーケティングひとつをとっても手探りの状態なのだ。まして、何がきっかけでサービスがブレイクするかはわからないうちは、とにかく試行錯誤を繰り返して行くしかない。

非常に壮大なビジョンのもと、素晴らしいスタートをきった「Sumally(サマリー)」。どこまで世界の壁に挑めるか。とにかく、これからの展開が非常に楽しみなベンチャーである。

株式会社サマリー
代表者:山本憲資 社員:4名
設立:2011年9月 URL:http://sumally.com/
事業内容:
インターネットサービス「Sumally(サマリー)」の開発・運営

当記事の内容は 2012/1/24 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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