日本の農業の救世主へ。月3150円~手ぶらで農業ができるサービス「マイファーム」

企業紹介

執筆者: 石黒 敬浩

手ぶらで農業? 新しい農業ビジネスが急成長中!
展開している事業内容・特徴

myfarm1初心者でも簡単に農業に参加できる体験農園「マイファーム」は、耕作放棄地をリメイクして、指導・管理サービスを付けることで、農業初心者のサラリーマンなどでも手軽に農業ができる、今、大人気のサービスだ。2011年10月末時点で日本全国に68の農園が開設されており、利用者は2000名弱。一人当たりの耕作地は15平米で、ファミリー向けマンション一室程度の面積。これが初期費用1万円、月3150円から借りられる。道具や指導者はマイファーム側が用意してくれるので、借り手は手ぶらで耕作地まで出向き、農業ができるのも魅力だ。

主な利用者層は30~40代。特に小さい子供がいる家庭の利用が多い。子供に農業体験をさせることで情操教育に役立つ、また、自分の子供に安全安心な野菜を食べさせることを願う人々の参加が多いという。

日本の農業は農家の高齢化、後継者不足などの影響もあり、専業農家の人口がどんどん減少している。そんな背景から、耕作放棄地は確実に増えていて、その面積は38万ヘクタール。国内に埼玉県と同じくらいの面積の耕作放棄地があるという。

ただ、東京や大阪などの大都市近郊で、交通アクセスの良い耕作地は人気で、すでに空きがない状態。一方、アクセス手段が車しかないような場所の耕作地は、体験農園としての開設が厳しい。農家から耕作地をマイファームに提供したいという問い合わせは多いが、体験農園に適切な耕作地が足りないのが現状だ。

体験農園を提供するビジネスモデルは、マイファームがパイオニアであり、現在のところ目立った競合はいない。あえて競合を挙げるとすれば、行政機関が行っている市民農園などだろうか。ただ、市民農園は利用料こそ安いものの、マイファームのように手ぶらで農業ができるようなサービスではなく、借り手には、ある程度の農業に関するノウハウが必要となる。そこを取り払い、“手ぶらで農業”の仕組みを考案したのが、マイファームの強みである。

「子供に農業体験をさせたい」がきっかけ。震災農地を復活させた商品も大反響!
ビジネスアイデア発想のきっかけ

myfarm2マイファームを運営する株式会社マイファームは、2007年9月に、同社代表の西辻一真氏が創業した会社である。西辻氏は、学生時代、京都大学農学部で大豆や小麦の研究をしていた。卒業後、一旦はIT系の会社に就職したが、1年後に退職し、自ら“株式会社おこし”を起業した。この会社は地方の伝統品を、ネットショップで販売する事業だった。 マイファームを始めたきっかけは、共同創業者である岩崎氏との出会にある。岩崎氏は、2004年に、テニスのゲームマッチングなどを企画・提案する“株式会社マイテニス”を立ち上げた起業家だ。岩崎氏が「自分の子供に農業をさせてみたい」という思いが、今のマイファームの原型となっている。

一方、西辻氏は福井県の出身で、実家の裏庭で野菜を育てていたり、学校の同級生が農家であったりと、農業が生活の近くにある環境で育った。しかし、減反政策などで年々荒れ地になる田んぼが増えるさまを見て、「もったいない」という思いを抱いていたという。

そんな、「耕作放棄地を何とかしたい」という西辻氏の思いと、「子供に農業をさせてみたい」という岩崎氏の思いが交わり、マイファームの創業につながった。

同社はマイファーム以外にも、本格的な農業専門学校である「マイファームアカデミー」や、動画で気軽に農業を学べる「はたけ部」、農業資材のオンラインショップ「畑師」など、様々な事業を展開している。西辻氏は、「日本国民の農業や食に対する意識はまだまだ低い」と言う。そんな現状を覆すため、最初は気軽に農業に触れ、その後、より意欲の高いユーザーには本格的な農業技術を身につけられる仕組みを整備する仕組みも検討している。日本の農業の再生には大きく2つの課題がある。1つは、農業人口そのものを増やす量の拡大。もう1つは、高度な農業技術を身につけたプロの農家を育てる質の向上。この両面から取り組んでいるのがマイファームである。

また、2011年9月に発売した、「塩害農地専用改良材」は、発売後わずか2カ月で売り上げ1400万円を超えた。改良材に含まれる微生物の働きが、塩害を被った土地が再生するのだという。通常は3年かかるといわれている塩害農地の再生が、この商品をを使えば、わずか3カ月で回復するという優れ物だ。

この商品を開発するキッカケは、2011年3月11日の東日本大震災だ。講演のため、震災前日から仙台にいた西辻氏は、津波に襲われた広大な農地を見て愕然とした。そして、この現場に居合わせたことに運命を感じ、震災で塩害被害を受けた農地復活のために自分は何ができるかを考え、塩害農地専用改良材の開発に取りかかったという。

塩害農地を再生させる技術自体は、すでに大学などで研究が進んでおり、それらを組み合わせれば商品化できるという確信があったという。そうして日本中から使える技術や研究成果を集めて、わずか半年で商品化に成功。西辻氏は「自分がやらなくても数年後には同様の商品は誰かが実用化させたと思う。が、悠長に待っていられなかった」と語る。農学部で学んだ知識と、経営者の直感と行動から生まれた商品だ。

今回の震災被害も含めて、日本には塩害農地が2.4万ヘクタールもある。同社の改良材の販売数は、わずか7ヘクタール分。まだ数百億円分の市場が残されている。「少しでも早く震災被害のあった塩害農地を再生させたい」と、西辻氏はたびたび現地に入り、自らも農地再生の支援活動を続けている。「先日も宮城県亘理町の塩害農地に改良材と菜の花の種をまいてきました」。その場所には、来年の春、一面の菜の花畑が広がることだろう。

世界に通じる農業モデルを日本から!
将来への展望

世界の人口が、2011年10月末に70億人を超えたという報道があった。食糧危機が叫ばれているなか、逆に世界中で耕作放棄地は増えている。そして、耕作可能な農地を増やす技術や仕組みは世界中から求められている。そうした要望に応えられる新しい農業のかたちづくりを、マイファームが担おうとしている。

同社は、2014年までに日本の農業人口(家庭菜園も含む)を1200万人にするという目標を掲げている。TPPに参画するか否か……。結論はまだ出ないが、日本の農業が逆風のにさらされているのは事実。そんな日本から、世界に通用する農業モデルを発信していくのが同社のミッションだ。

株式会社マイファーム
代表者:西辻一真 設立:2011年4月
従業員数:60名(社員11名、アルバイト44名、業務委託5名) URL: http://www.myfarm.co.jp/
メッセージ
2011年秋より、マイファームアカデミーの週末就農準備コースを立ち上げてプロ就農コースと合わせて2コースを開講しました。
通常の農業塾や農業大学校とは違い、体系的に様々な野菜の種類について学ぶことができます。また、作業の意味や、そもそもの理論などについてもわかりやすく解説する授業ですので、初心者の方でも農業が手に取るようにわかります。
2012年春より、関東・東海でも開催していく予定です。農業に興味のある方はぜひhttp://www.myfarm.co.jp/をご覧ください。

当記事の内容は 2011/11/8 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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