Vol.26「アプリのアイコンのデザインを知的財産として保護できる?」

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

ゲームやエンターテイメント、ビジネス向けなどスマートフォン用のアプリは日々増えています。

アプリを利用するときには、スマートフォンの画面上に現れているアイコンやメニューをタップしますよね。これらのアイコンは、一目で見てどんなアプリなのかわかるように工夫されています。

でも、同じような機能のアプリがあった場合、アイコン画像もすごく似てしまったり、あるいは模倣されたりするかもしれません。このような画像を保護する方法はあるのでしょうか。

ゲームやアニメのキャラクターのように、アプル画面やアイコンも著作権で保護できる?

画像の保護手段というと、まず思い浮かぶのは著作権という方もいらっしゃるかと思います。

アニメやゲームのキャラクターは、著作権で保護される場合があることから、画像も著作権の保護対象になると思われるかもしれません。

ここで、キャラクターが著作権で保護されるのは、それが著作物と認められた場合です。著作権の保護対象は著作物なので、画像が著作権で保護できるかどうかは、著作物になるかどうか、が問題となります。

でも、著作物というのは、法律上、「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」となっています。

キャラクターは、美術の範囲に入ることから著作物として著作権の保護対象になれる場合が多いです。

でも、アプリ画像のような画像は、さすがに美術作品ではないことから、著作権で保護されるのはちょっと厳しくなります。

そこで、デザインという観点から意匠権による保護が検討されてきました。

意匠権の保護対象は、当初、「物品の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であって、視覚を通じて美感を起こさせるもの」とされていました。

でも、単に「物品」としてしまうと有形物に限定されてしまいます。

そこで、法律が改正されて、新たに「物品の部分の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合には、物品の操作(当該物品がその機能を発揮できる状態にするために行われるものに限る。)の用に供される画像であって、当該物品又はこれと一体として用いられる物品に表示されるもの」も意匠に含まれることになりました。

これによって、画像も意匠権で保護される道が開けました。

意匠権で保護できる画像デザインとは?

では、意匠権で保護可能な画像とはどういうものでしょうか。

たとえば、体重計で有名なタニタ社の意匠登録第1457720号は、体組成計の液晶表示盤上で人型のマークが目盛りの先端部近傍の上方に表示され、その位置に応じてアスリートの体にどのくらい近いのかどうかを表示する画像が意匠として登録されたものです。

また、意匠登録第1489641号は、鉄道車両内側の乗降口上部にほぼドア巾に合わせて設置される鉄道車両用情報表示器の表示画像が意匠として登録されたものです。

通常、この表示機には、路線図や次駅案内が表示されます。この横長の画面を情報内容により区分けし、乗客にとって便利な多様な情報(例えば天気、ニュース、株価、広告、提携するデパートの催事等)も提供できるようにした画像が意匠登録されています。

これらは、物品の機能を果たすために必要な表示である、と認められて意匠登録されています。

他にも、デジタルカメラの背面に設けられた表示部に表示される画像や、機械の状態に関する各種情報を表示するモニタ表示の画像や、エレベーターの操作盤に表示される進行方向、階数および日時等の表示画像なども意匠登録されています。

ただし、このような画像は、何れもその物品の機能を発揮するための操作に用いられる画像であって物品と一体として用いられる表示器等に表示される画像です。

つまり、物品から独立して創作され、販売されるアプリケーションソフトウェア(OSも含む)をインストールすることで表示される画像(プリインストールされたものも含む)は、意匠権の保護対象となりません。

アプリ画像は物品から独立して創作されるものなので、そのアイコンを含めて意匠権で保護することは現状では難しそうです。

ゲームの画像も、すでにゲーム機能を発揮した状態の画像であるため、操作画像とは認められないことから、意匠権の保護対象とはならないのです。

変化する画像も一つの意匠として意匠権で保護できることがある。

一方、意匠権で保護できる画像としては、複数の画像が、物品の同一機能を果たすために必要な表示を行う画像又は物品の同一機能を発揮できる状態にするために行われる操作の用に供される画像も含まれます。

例えば、意匠登録第1469785号は、スマートフォンの有する複数の機能の中から特定の機能を選択するメニュー画面の画像が意匠として登録されたものです。

これは、ディスプレイの外周縁にタッチすることでメニュー画面を引き出し、漸次拡大させ最大となった変化後に、通話やメールといった希望のメニューを選択するための、変化を示す一連の画像がすべて含まれています。

また、意匠登録第1477175号は、給湯機用リモートコントローラの表示部に表示される給湯機の各種設定を行うためのメインメニュー画面の画像が意匠として登録されたものです。

これには、初期画面だけでなく、この初期画面に表示される「おふろメニュー」を選択すると、画面が切り替わって表示されるふろ温度の設定についての表示画面やその他のオプションメニューを選択するための一連の画像表示がすべて含まれています。

このように、形態的な関連性があるものと認められる場合は、これら複数の画像を含んだ状態で一つの意匠として認められます。

権利関係を明確にできる意匠権を活用しよう!

特定の専用機向けに作成されこの専用機にあらかじめ記録されたプログラムにより表示される画面デザインの保護であれば、権利関係を明確にできる意匠権を活用して模倣からの保護を図ることができます。

また、それ以外のアプリ画面で全く保護方法がないかというと、そんなことはなく、デッドコピーに対しては、不正競争防止法という法律を使って保護を図ることができます。

なお、アプリ画面についても意匠権による保護の必要性が叫ばれており、今後、保護する方向で検討が進められることになっています。
http://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/toushintou/pdf/design_chizai/houkoku.pdf

せっかく工夫して作成した画像です。模倣からの保護を図るため、知的財産の制度を利用してみませんか。

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