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課題・悩み
現在、フロントエンジニアの人材確保について悩んでいます。
当社の事業特性として、年に数回だけ繁忙期があり、その期間は開発業務が集中しますが、繁忙期を過ぎると業務量が大きく減り、比較的落ち着いた状態になります。
このような状況のため、
・繁忙期に合わせて即戦力となるフロントエンジニアを確保したい
・一方で、閑散期に固定費として人件費を抱えることには不安がある
という課題があります。
正社員として雇用すれば、ノウハウの蓄積や中長期的な体制構築ができる一方で、業務量が少ない時期の稼働や人件費が気になります。
業務委託であれば柔軟な調整ができそうですが、指揮命令や業務の進め方によってはリスクがあるとも聞きます。
このような条件の場合、
・正社員と業務委託、それぞれのメリット・デメリット
・法的・労務面で注意すべきポイント
・初期フェーズの事業者が判断を誤りやすい点
について、一般的な考え方を教えていただけないでしょうか。
また、最終的な判断をする際に、どのような前提条件を整理すべきかも知りたいです。
回答:正社員と業務委託、それぞれのメリット・デメリットを解説します (回答者:大城 敦子氏)
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繁忙期と閑散期の差が大きい事業におけるエンジニア確保は、多くの事業者が悩まれる
テーマです。
以下では、一般的な考え方として整理します。
1.正社員と業務委託、それぞれのメリット・デメリット
■正社員として雇用する場合
メリット
• 社内ノウハウや事業理解が蓄積されやすい
• 中長期的な開発体制・品質管理がしやすい
• 指揮命令関係が明確で、業務の進め方を柔軟に設計できる
デメリット
• 閑散期でも人件費が固定的に発生する
• 業務量が少ない時期の稼働調整が課題になりやすい
• 採用・育成に一定の時間とコストがかかる
■業務委託を活用する場合
メリット
• 繁忙期のみなど、業務量に応じた柔軟な人材確保が可能
• 固定費化を抑えやすく、コスト管理がしやすい
• 即戦力となる人材を短期間で確保しやすい
デメリット
• 業務の進め方次第では「雇用」と判断されるリスクがある
• ノウハウが社内に蓄積されにくい
• 長期的な体制構築には不向きな場合がある
2.法的・労務面で注意すべきポイント
業務委託を利用する場合、最も重要なのは「実態として雇用関係になっていないか」という点です。
特に以下のような要素が強いと、業務委託であっても「労働者性」が問題となる可能性があります。
• 勤務時間・勤務場所を細かく指定している
• 業務の進め方や手順を具体的に指示している
• 他社案件を事実上制限している
• 成果物ではなく、作業時間そのものに対して報酬を支払っている
業務委託の場合は、
「成果物・役務の完成に対して報酬を支払う」
「業務の裁量は受託者側にある」
といった点が実態として確保されているかが重要です。
3.初期フェーズの事業者が判断を誤りやすい点
初期フェーズの事業者では、次のような点で判断を誤りやすい傾向があります。
• コスト重視で業務委託を選んだが、実態は社員と同様の使い方をしてしまう
• 「契約書を業務委託にしているから大丈夫」と実態を軽視してしまう
• 繁忙期対応を優先するあまり、長期的な体制設計を後回しにしてしまう
契約形態よりも、実際の働き方・関係性が重視される点には注意が必要です。
4.最終判断をする際に整理すべき前提条件
最終的な判断にあたっては、次のような前提条件を整理すると考えやすくなります。
• 繁忙期と閑散期の業務量の差はどの程度か
• 繁忙期の業務は一時的な作業か、継続的な改善が必要か
• 社内にどの程度ノウハウを残したいか
• 指揮命令を行う必要がある業務か、成果物ベースで切り出せる業務か
• 将来的に正社員化する可能性はあるか
これらを整理したうえで、
「中核業務は正社員、繁忙期対応は業務委託」
「初期は業務委託、事業が安定した段階で正社員化」
など、段階的・併用型の選択肢を検討するケースも多く見られます。
●ステップアップアドバイス
正社員・業務委託のいずれが正解ということはなく、事業フェーズ・業務内容・将来像によって適切な選択は変わります。
重要なのは、
• コストだけで判断しないこと
• 契約形態と実態を一致させること
• 短期と中長期の視点を分けて考えること
これらを踏まえ、必要に応じて専門家の助言を得ながら設計することが望ましいでしょう。
・繁忙期と閑散期の差が大きい事業で、エンジニアを正社員か業務委託かで悩んでいます
・エンジニアを業務委託で活用する場合の労務リスクと適切な体制設計について相談したい
・事業初期フェーズにおけるエンジニア採用(正社員/業務委託)の判断基準を整理したい
上記の様な採用について、社労士として回答致します。
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