うつ病になってしまった社員の処遇

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

課題・悩み

正社員で雇用している従業員が半年ほど前からうつ病のようで、仕事に支障をきたしてきたため、パートとして雇用するようにしようかと考えています。
この正社員の処遇ですが解雇することはできるのでしょうか?
また、パートに変更することはできるのでしょうか?

回答

労働基準法には次のように定められています。

「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効であること」

ですから、ご質問の社員の病状が「仕事に支障をきたす」程度で、客観的・合理的に解雇に相当する程度かどうかの判断になります。
私傷病の場合は、労働者が労務を提供するという契約について債務不履行になるため、解雇することができると考えられますが、精神疾患の場合、他の傷病のように長く続けて欠勤することがないと思われるので、解雇は困難でしょう。
メンタルヘルス不全が疑われた場合、医師の指示に従うのが基本ですが、通院治療は受けているでしょうか。

一般的な次の2つの対応策を紹介します。

(1)「仕事に支障をきたす」程度が著しく(医師が業務継続不能と判断しているとベター)、かつ就業規則に、解雇事由として「身体・精神の故障で業務に耐えないとき。または不完全な労務提供しかできないとき」という解雇事由がある場合。
→これを根拠に、当該社員に解雇勧告を行います。なお、解雇が有効となるには、次の要件のすべてを満たす必要があります。
・就業規則や労働協約の、解雇事由に該当すること。
・就業規則や労働協約に、解雇手続きに関する定めがあれば厳守すること。
・30日前に予告するか、解雇予告手当を支払うこと。
・法律上の解雇禁止に該当しないこと。
・解雇の理由が正当であること。

(2)上記(1)に該当しそうにない場合
→解雇はあくまでも最終手段として、まずは休職を勧められてはいかがでしょうか。パートへの転換ということは、本人にとっても会社にとっても根本的な解決になりません。従業員の家族や身元保証人を交えて話し合いを行い、合意の上で休職させると良いでしょう。

最終的に解雇に至るとしても、例えば、有給休暇→無給休暇(3ヶ月程度)→休職(1年半程度)→依願退職もしくは解雇、というステップを踏ませる場合が一般的です。
休職期間が満了しても復職できない場合は解雇あるいは退職扱いとします。精神疾患の場合は休職期間満了後の復職の可否の認定が困難な場合が多く、できれば合意の上で退職してもらうか、退職金を出すなどして会社都合退職のかたちをとることも有効でしょう。
うつ病でも医師の診断書があれば、無給休暇以降は健康保険から「傷病手当金」を1年半受給できますので、きちんと医師に診断してもらうよう、家族の方の協力をいただくことがとても大切です。

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