契約社員の契約打ち切りでの手続きと注意事項を教えてほしい

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

課題・悩み

弊社には雇用期間1年間(4月~翌年3月末まで)で契約をむすんでいる契約社員がおります。
今までは毎年、契約更新をして勤務していただいていたのですが、来年度はその方の契約更新を打ち切ろうと思っています。
それは雇用する側の理由(契約職員が雇用側の経営方針に沿った行動をしない為)なのですが、この場合雇用している弊社としてはどのような手続きが必要でしょうか。

回答

労働問題で裁判に持ち込まれるなどのリスクを避けるため、会社として適切な処置を取る必要があります。
では、まず最初に契約打ち切りの法的な位置づけを考えてみましょう。
何度か契約が更新された後の更新の打ち切り(雇い止め)は、期間の定めのない雇用と同じようにみなされ、解雇扱いとなります。
解雇ということになれば、「会社の経営が悪化して手を尽くしたけれどどうしようもない。」「勤務態度が並外れてひどい」「仕事上の不正行為を行った」などの客観的で合理的な理由が必要です。
さらにその場合は解雇に準じて、少なくとも30日前までに解雇予告をするか、30日分以上の平均賃金にあたる解雇予告手当が必要です。

次に会社として必要な手続についてお話します。
まず契約社員に契約打ち切りの話をする前には、いくつかのシナリオを想定してどんなケースに該当しても対応できるように準備しておくことが大切です。
本人が契約打ち切りを納得せず労働基準監督署や労政事務所などに相談する場合や、最悪の場合は裁判を起こすケースなどです。
これに備えて、行政官庁や裁判所が「解雇もやむをえない」と判断するだけの理由があり、その具体的事実を裏付ける根拠をきちんと書面で残しておく必要があります。
そこで会社としてどのような根拠に基づいて契約打ち切りをするのかを整理してみましょう。(1)契約内容の確認まずその契約社員の雇用契約書や契約社員用の就業規則について、下記の契約内容を確認してください。

1.契約期間(雇用期間の更新について)
2.退職に関する事項(契約期間の満了について)
3.解雇(雇用契約期間の途中であっても会社が契約を解除できるのはどういう場合か、またその場合の予告期間や予告手当などをどう取り決めているか)

(2)契約を打ち切る理由は何か雇用側の経営方針に沿った行動をしていないことが打ち切りの理由ならその具体例を、その契約社員の上司とともに書き出してください。
その契約社員がいつ、どこで、どんな行動を行って、会社側はそれに対してどのような対処をしてきたか、感情的にならずに客観的に事実を一つ一つ書き出していくことがポイントです。
その具体例を洗い出していく過程で、本人の問題行動のパターンや注意の方法も見えてくると思います。

今まで契約を何度か更新してきたいきさつを考えますと、今までは特に問題行動がなかったか、あるいは問題行動があっても今まであまり本人に注意をしてこなかったのではないかと考えられます。 本人としてみれば今まで会社から何の注意も受けていないのにいきなり契約打ち切りを申し渡されたらどう受け止めるでしょうか?
いきなり契約の打ち切りという話ではなく、勤務成績(遅刻・欠勤など)がはなはだ悪い、業務上の指示命令に従わないのであれば、「あなたのそういう行動が 会社としてこういう理由で困るのだ、だからこうしてください」ということを本人にきちんと説明してください。それに対して本人が態度を改めなければまず口頭での注意、口頭の注意で直らなければ文書で注意、それでもだめなら始末書を取るなど、状況に応じてぺナルティを重くしていくことが必要です。
以上が契約を打ち切る前に会社の取るべきステップです。

あくまでも、社員の問題行動をあげつらうのではなく、会社はチームワークで事業活動を進め、利益を上げることが最重要課題であるということを念頭において、そのために社員として何が求められるのかという原理原則を頭に入れて話してみてください。

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