起業・経営FAQ : 売上月160万円のハンドメイドECサイトを200万円で買収。妥当ですか?

この記事は2026/03/28に専門家 畔上 淳 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

ポイント/結論

Q. 売上月160万円のハンドメイドECサイトを200万円で買収するのは妥当ですか?

    • 「利益率」と「集客の仕組み」次第では、非常に賢い投資になり得ます 。
    • 小規模なWEBサイトM&Aの譲渡価格の相場である「営業利益の1〜2年分(実質利益の1年分~1.5年分)」を基準に判断してください 。
    • 集客の「蛇口」(SNSか広告依存かなど)と、製作体制の引き継ぎなどの実務面のリスクも併せて確認が必要です 。
この質問への回答者

畔上 淳(あぜがみ じゅん)氏は、元上場企業CFOで公認会計士の資格を持つ専門家です。大手電機メーカーのM&A部門を経て、ファーストリテイリングやホットランドなどで財務・経営管理の要職を歴任し、上場や企業買収を主導しました。現在は複数社のCFOを務めつつ、起業家の資金調達や財務戦略を伴走型で支援しています。

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質問

現在、ハンドメイドアクセサリーのデザイナーとして小売店への卸売をメインに活動しています。この度、知人が運営しているアクセサリー販売のWEBサイト(ECサイト)を200万円で譲り受けないかという提案を受けました。

【案件の概要】
売上規模:月間 約160万円(年間 約2,000万円弱)
譲渡内容:WEBサイト(独自ドメイン)、顧客リスト、Instagramアカウント(フォロワー5,000人)
譲渡価格:200万円

知人からの提案なので無下にはできませんが、個人で出すには大きな金額です。この「200万円」という価格が妥当かどうか、判断基準や注意点を教えてください。


専門家による回答: 売上月160万円のハンドメイドECサイトを200万円で買収。妥当ですか? (回答者:専門家・畔上 淳氏)

回答者
畔上 淳
畔上 淳
元上場企業CFO・元公認会計士
「実践的な資金調達支援と伴走型対応」を強みに、融資・出資交渉から事業計画策定、経営戦略まで幅広く対応。複数社の現役CFOとしての経験と自身の起業実体験を踏まえ、事業ステージに応じた最適な財務戦略を提供し、「あなたのCFO」として起業家を支援している。

月商160万円という規模は、個人運営のハンドメイドブランドとしては「成功している」部類に入ります。
これを200万円で譲り受けるのは、「利益率」と「集客の仕組み」次第では非常に賢い投資になります。

以下の4つのポイントで、投資判断の妥当性をチェックしてください。

1. 「実質利益」の1年分~1.5年分が目安

小規模なWEBサイトM&Aでは、「営業利益の1〜2年分」が譲渡価格の相場です。

  • 利益率20%の場合:月利益32万円 × 12ヶ月 = 年間384万円。この場合、200万円は「利益の約半年分」となり、超割安です。
  • 利益率5%の場合:月利益8万円 × 12ヶ月 = 年間96万円。この場合、200万円は「利益の約2年分」となり、適正〜やや高めの判断になります。

※材料費、梱包送料、広告費に加え、知人の自分自身への運営報酬相当額(知人が運営に使っている時間から推定)を引いた後にいくら残っているかを必ず確認してください。

2. 集客の「蛇口」がどこにあるか

月160万円を売り上げるための集客ルートを確認してください。

  • SNS(Instagram)からの流入:フォロワーが「ブランド」に付いているなら、オーナーが変わっても売上は維持しやすいです。
  • 広告依存:もし月30万円以上の広告費をかけて売上を作っているなら、買収後の利益を圧迫します。
  • モール依存:BASEやShopifyなどの自社サイトではなく、Creemaやminne等のプラットフォーム内の「知人のアカウント」に依存している場合、アカウント譲渡が規約で禁止されているケースがあるため注意が必要です。

3. 「実務トラップ」:運営負荷と権利の確認

ハンドメイド特有の落とし穴にも注意が必要です。

  • 製作体制の引き継ぎ:知人が一人で製作していた場合、あなたが同じクオリティで月160万円分(数百個単位)を量産できるか、外注先もセットで紹介してもらえるかを確認してください。
  • 商標権の有無:ブランド名が商標登録されているか。されていない場合、買収後に他社から差し止め請求を受けるリスクがゼロではありません。

4. あなたのデザインのテーストとあっているか

あなたが作るハンドメイドアクセサリーと同じ顧客層かどうかも考慮するポイントです。
もし同じ顧客層であれば、既にあるあなたの商品がそのまま売れますので、あなたにとってのこのWEBサイトの価値は高くなります。

●ステップアップアドバイス

あなたは既にプロのデザイナーですので、このサイトを「新規顧客を獲得するためのマーケティング装置」として捉えてみてください。
自力でフォロワー5,000人を集め、月160万円売れるサイトを育てるには、広告費と時間だけで200万円以上かかるのが一般的です。
「時間を200万円で買う」という視点で、直近3ヶ月の試算表(PL)を見せてもらうことから始めましょう。

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元上場企業CFOで公認会計士の資格を持つ畔上淳が、複数社の現役CFO経験やM&Aの実績を活かし、小規模WEBサイトM&Aにおける「実質利益の適正評価」から「集客構造の検証」「商標権などの実務リスク評価」まで実践的にサポートいたします。
「このECサイト案件は適正価格か判断したい」「買収後の運営負荷や潜在的リスクを事前に把握したい」という方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

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